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2010年10月10日日曜日

五劫院の阿弥陀さま*東博へ!

東京国立博物館で開催中の「東大寺大仏〜天平の至宝」展に
奈良倶楽部の2軒お隣の五劫院より「五劫思惟阿弥陀如来坐像」が
出陳されています。(展覧会HPのここに写真が掲載されています。)

「五劫」というあまりに長い時間 思惟していたために
髪の毛(螺髪)が伸びるにまかせて縮みあがってしまったという
アフロヘアのようにボリューム感のある独特のヘアスタイル。
螺髪によって時間の経過を表した五劫思惟阿弥陀仏は
鎌倉時代に大仏殿を再建した重源上人が宋から招来したものです。

また五劫院には江戸時代に大仏様を復興した公慶上人の墓所もあり
東大寺再興に尽力のあった二人の上人とご縁の深いお寺であります。
その五劫院から、今回は五劫思惟阿弥陀如来坐像が東博にお出ましになるのでした。

先日10/5に、東京への搬出作業が行われました。ご近所のよしみで
見学させていただき写真撮影とブログ掲載の許可を得ましたので
仏像運搬のプロフェッショナルな仕事の一こまを少し紹介致します。

お御簾から仏像をおろす作業は7人かかりで。4人が御簾の中に入り
3人が下で受けるというような手順でした。
おろす時に見えたのが仏像の真下からの様子です。
一木造りなので中は空洞になっていました。案外軽いということです。

一旦内陣におろして、傷がないか、螺髪の取れている箇所がないかなど
博物館の方が念入りにチェックされます。
その間に日通チームは用意した薄紙を丸めて緩衝材を素早く作り上げていきます。その作業の早いこと、美しいこと!


私も内陣に入って間近に五劫思惟阿弥陀仏を拝ませていただきました。
こうしてみると、頭部のボリューム感がよくわかりますね。
点検されている間、ずっと間近に見て感じたことですが。
一木造りで中は空洞で軽いと言われていますが
私は大変な重力を仏像が発しているように感じました。
これはずっと今でも思惟して、う〜んと唸ってらっしゃるようにも
思えるのです。久しぶりにお御簾から出て新鮮な空気に触れて
すっきり気持ち良さそうな表情の背中ですね。

結局、螺髪は8個取れていて6個が御簾の中に落ちていたのですが
2個は行方不明だそうです。取れた6個も一緒に東博へ運ばれ
きちんと修理して帰ってこられるのだそうです。

点検の済んだ後は外陣に移され、いよいよ梱包作業の始まりです。

この紐の結ぶ方締め方が独特でした。↓


梱包作業が済んで、トラックまで運び出しです。
仏像の周りをきちんと片付けて
では参りましょう。



御簾から出してトラックに乗せるまで1時間もかからなかったような
手際のいい作業がプロの仕事ぶりで、見惚れるほどでした。

道中の安全をご近所のみんなで祈りながら、いざ東博へ。
日通のトラックが出発しました。行ってらっしゃ〜い☆
ということで、展覧会が終わるまでしばらくは五劫院には
五劫思惟阿弥陀如来さまはいらっしゃいません。
東博の会場で見かけられたら、奈良倶楽部のご近所の・・・と
思い出して下さいね!

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トップの画像、展覧会ポスターの八角燈籠の写真は木村昭彦氏の撮影です(展覧会図録表紙の写真も木村さんの撮影です)
この八角燈籠は6月の朝6時から7時半頃にかけて撮影されたと聞きました。朝の柔らかな光に包まれて美しく輝き、神々しいですよね。

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展覧会の詳細は公式ホームページで→
この中のスペシャルブログがこまめに情報発信されていて
展覧会も近頃ではこうして楽しむのだと改めて感心しています。