6/1、開園記念日の依水園で「煎茶 美風流」によるお煎茶席がありました。私は偶然にもこの日に訪れてお茶会に参加することができました。会場は依水園を入ってすぐ右側にある、350年前に建てられた茅葺屋根の三秀亭です。ちなみに、「三秀亭」の三秀とは、部屋から望む三笠山、春日山、高円山のことだそうです。
上の写真↑の「通仙」の茶旗は開筵の印だそうです。
実はわたしは、お煎茶席に入るのも全く初めて、知らないことも多くありますので、このブログでの説明は、当日にお家元の美風先生からお聞きしたことプラス美風流のFBページより引用させていただきます。
今年のテーマは、明治~大正期に頻繁に開催されていた煎茶席を再現。当時活躍した文人達の書画を茶席の周囲にめぐらし、その空間でお茶を頂いて揮毫席で遊ぶという趣向です。
そのために選ばれた掛軸が上の写真↑です。
掛軸は依水園旧蔵の寄せ書き。
股野蘭田、杉聴雨、そして当主の関藤次郎。あと一名。
依水園を頻繁に訪ねていた文人達の足跡。
花は人参。花器は鋳鉄。
香炉は古銅器。香筒を添えて。(FBより)
床の間の花はお家元自宅庭の人参の花です。お茶席にふさわしくないかもしれませんが、かつての農家を移築した建物で、きらびやかな装飾を好まなかった当主の暮らしに沿うのではという趣向だそうです。
掛軸の寄せ書きのルールとしては、下から描いていく、下位の者が下になるように描く、最初に描かれた絵と関連のあるものが次に描かれ、それに沿う言葉も関連付けられたものが選ばれ・・・これは、教養がないとできない遊びの世界ですね。
そして、煎茶席の後に寄せ書きをして文人画を完成させるというのに、お茶席でご一緒したみんなで描くのかなと思っていたら・・・
「私が絵を描きますから、谷さんは文を書いてください」という突然のご指名がきて、びっくり仰天!
先生が「何の絵を描いてほしいですか?」と尋ねてくださったので、今日ここで見てきた、とても美しかった依水園の風景を伝えました。
特に睡蓮の鮮やかなくれない色が美しく、そのことを伝えましたら「文人画は写生ではなく、写意と言って、心に浮かんだ風景を描くのです。でもそのためにはそのものを見て観察して知っていなければ描けない」というような意味のことをお話されながら、さらさらと描いてくださいました。
これに添える言葉!しばらく頭が真っ白になりながら、結局は状況説明の文になってしまいましたが、瞬時に書けたので良しとしましょう。
美風先生が描かれた文人画に文を添えるという、緊張しながらも、楽しいひととき。優雅な遊びの世界を体験できました。
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