富本憲吉といえば美しい創作模様、特に
「四弁花」と「羊歯」模様が大好きなのですが
今回は富本憲吉の着目点に大いに刺激を受ける模様がありました。
それは、第一展示室のテーマである「風景を模様に」の
故郷 安堵村の何気ない、ごくありふれた風景、名所や風光明媚な場所ではなく、普通の眺めの場所に美点を見いだし「竹林月夜」や「曲がる道」など情趣豊かな模様へと昇華させていったエピソードにです。
例えば「大和川急雨」という模様は
急な雨宿りの時に見た風景を記憶しておくためにマッチを点けてすぐに消して木炭を作り、簡単な図の覚えを煙草の裏紙に描き留めておいたものを元にして創作したもの。
「竹林月夜」は幾千の皿に描いたか知れぬと回想する程
多くの作品に描かれた模様で、こうして描き続けることで
描線が整理され模様が洗練されていくと自身も高く評価している模様。
「曲がる道」もよく描き込まれて
筆致に勢いとのびやかさがある模様です。
私なら、こんな何もない風景を、ここまで普遍的に模様として昇華できるのかと感心してしまいます。単に実物を写生するのでなく、実物から必要最小限の要素を取り出し
生き生きとした筆致で描ききって模様化しようとした富本憲吉。
この姿勢に多いに学ぶべきものを感じた展覧会でした。
数ある創作模様の中でも「四弁花」↓と
「羊歯」模様↑は
本当に美しくて見飽きない見事なデザインです。
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「富本憲吉~模様の世界~」展
会場：奈良県立美術館
会期：10月10日まで
開催時間：9:00〜17:00（入館は30分前まで）
休館日：月曜日（但し祝日の場合は開館し、翌火曜日が休館）
講演会「富本憲吉の創作模様」
講師：山本 茂雄氏（富本憲吉記念館 館長）
日時：9/17（土）13:30～
会場：美術館多目的ホール（要観覧券・約50席）
学芸員によるギャラリートーク
日時：9/24（土）10/1（土）10/8（土）14:00～1時間程度
会場：美術館展示室
