ページ

2012年12月29日土曜日

2012年の年の瀬に*

2012年、今年もまもなく暮れようとしています。
振り返ってみれば、あっという間の一年でした。
そして、そのあっという間の一年一年が積み重なって
来年、奈良倶楽部は開業25年目に入ります。
自分でもびっくりな「25年」という年月。
過ぎてしまえば それほど長かったとも思わないのですが
こうして続けてこられたのも
たくさんの方々に支えられ応援していただいたからこそ。

年の瀬に年賀状を書きながら
奈良倶楽部を始める前からの友人達には、開業当時 随分とお世話になったし心配もしてもらったなぁとか、奈良倶楽部を通して出会った友人達やお客樣方には、いつも元気で楽しい気持ちや、好奇心や向上心も分けてもらっているんだなぁとか。そんなことを思い浮かべながら
25年目を迎える来年を前に感謝の気持ちでいっぱいになっています。

ところで、今年は、古い友人や先輩、夫の元会社の同期や上司の方々、以前のご近所さんが、奈良倶楽部を訪ねて来て下るという嬉しい偶然が重なってありました。
開業当時にご宿泊いただいたお客様や、子供の時に家族で泊まったことがあって、という方の再訪もありました。曖昧だった記憶を頼りにネットで検索して見つけて下さって、ネットの恩恵もありますが、このような嬉しい出会いも長く続けてこられたからこそと思っています。

2011年のあの大きな震災以来 自分の中で確かに何かが変わって
旅に関わる自分の仕事の価値や意義を考えたりする一年でしたが
来年は初心に返って、自分自身もう少し旅する人生を楽しめればと思っています。(実は開業当時の目標が、世界中を旅する!だったのです)

旅立つ前のワクワクドキドキのあの気持ち。
旅の途中で出会うその土地の人たちの暮らしや美味しいもの。
空気や匂いや湿度や、聞き慣れない言葉や・・・ 。
いっぱい旅をして、また旅人をあたたかく迎え入れる宿屋を楽しみながら営んでいければいいなと思っています。

トップの画像は、夕暮れ時の大仏池周辺の宿り木です。
宿り木に寄生されている落葉樹を何と呼ぶのか知りませんが
長い間、この落葉樹を「宿り木」と呼ぶのだと思っていました。
宿られ木の本当の名前はわかりませんが
「宿」という字を持つ木に親近感を覚え、大きな枝をいっぱいに広げて旅人や鳥たちに休息してもらっている姿に、奈良倶楽部という宿もそうありたいと、いつも思っています。

最後になりましたが
今年もたくさんの方々にご宿泊いただきました。
奈良倶楽部にお越しいただきましたことに心から感謝申し上げます。
どうもありがとうございました。

では皆さま、
どうぞ佳いお年をお迎え下さいませ。 
そして、新しい年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

2012年12月23日日曜日

年末年始のお出かけ情報③〜新春の秘宝秘仏公開


新春に合わせて特別開帳される秘宝秘仏のご案内です。

◇12/31 23:00~翌2:00 喜光寺「大晦日夜間特別拝観」
本堂で阿弥陀三尊像を拝むことが出来ます。

◇1/1 0:00~ 長谷寺「十一面観音菩薩立像」御開帳

◇1/1~1/3 霊山寺「薬師三尊特別公開」
かや材一木造りで62cmの薬師如来が公開。
脇侍の日光・月光菩薩の光背には十二神将が描かれている。

◇1/1~1/3 慈光院なき龍 本堂絵天井特別公開9:00~17:00

◇1/1~1/3 法隆寺「舎利殿・絵殿特別公開」
南無仏舎利を納める南無仏舎利塔は13:00からの法要の間参拝可能。

◇1/1~1/3 聖林寺秘仏・宝蔵天、弁財天開扉

◇1/1~1/10 信貴山朝護孫子寺「毘沙門天王秘仏御開帳」

◇1/1〜1/15 薬師寺「玄奘三蔵院伽藍・大唐西域壁画殿特別公開」

◇1/1~1/15 薬師寺「国宝・吉祥天女画像特別公開」
光明皇后を描いたものと伝えられている国宝の秘仏です。

◇1/1~1/15 浄瑠璃寺「秘仏・吉祥天女像特別公開」10:00~16:00
※1/8~1/10 浄瑠璃寺「大日如来特別公開」10:00~16:00
◇1/1~1/21 室生寺弥勒堂「弥勒菩薩像 釈迦如来坐像 特別拝観

◇1/1~1/31 石光寺弥勒堂開帳

◇1/1~1/31 松尾寺「松尾山七福神開扉」「大黒天念持仏公開」

◇1/1~2/28 當麻寺布袋尊百童子屏風ご開帳

2012年12月22日土曜日

年末年始のお出かけ情報②〜初詣と寺社新春行事

奈良県内の寺社で行われる越年行事や初詣、お正月の伝統行事など
奈良倶楽部にご宿泊のお客様にお奨めしやすいところをご案内致します。(同じ寺社での行事はまとめて紹介しています。)



春日大社「初詣」◇
・1/1は0時~20時 1/2、1/3は6時30分~19時が開門時間です。
・1/1  5:00 歳旦祭 摂末社巡拝 (※拝観は不可)
・1/2 10:00〜「興福寺貫首社参式
神仏習合時代の神前読経が偲ばれる珍しい行事です。
・1/3 11:00〜「神楽始式」
巫女により本社中門前で神楽が奉納されます。
・1/4、1/5の開門時間は6時30分〜18時です。

東大寺大仏殿無料拝観」◇
・1/1 0:00~8:00
大仏殿中門を開扉。鏡池付近では「とんど」
中門内側大仏殿参道両側の水路では篝火が焚かれます。

◇東大寺二月堂「観音経読経」◇
・1/1 0:00
鏡池辺りの参道から二月堂まで135基の石灯籠に灯が入ります。
またこの時から3日間、二月堂内では万灯明を灯しています。
・1/3と1/5 10:00~ 「大般若法要」
11:00~13:30 お雑煮ふるまい(万灯明、お鏡の申し込み者)

興福寺「新春護摩祈祷」◇
・1/1~1/3 13:00頃~ 南円堂そばの不動堂にて(要申込)
・1/2 「春日社参式」

護国神社「御火焚祭」
・12/31 から1/3まで
除夜祭の後、浄暗の中、県下一の「大とんど」に点火( 23:30点火)。
天高く立ち上る炎のもとでの年越し。
・1/1 7:00〜歳旦祭
・1/2 10:00〜日供始祭
・1/3 11:00〜新春祈願祭 祭典後、古式包丁式を奉納
「大とんど」は3日間絶えることなく燃え続けます。
三が日の参詣者には白神酒が振舞われます。

大安寺「除夜の竹明かり」◇
・1/1 0:00~
除夜の鐘の響きとともに、本堂では大般若会が修されて
松三宝昆布挟みの儀が執りおこなわれ
護摩堂では越年の護摩が焚かれます。
また境内には108本の竹明かりが灯されます。

◇唐招提寺「修正会」◇
・1/1 0:00~2:00 修正会護摩供
・1/3 18:00~20:00 修正会護摩供 餅談義

◇薬師寺「修正会 吉祥悔過法要」◇
・1/1~1/15 8:30~17:00「吉祥天女画像特別開扉」
・1/1 0:00~「 修正会吉祥悔過法要」(金堂)
・1/1 2:00~「年頭法話」(東僧房)
・1/1~1/3 9:00~「写経会」(写経道場)
・1/1~1/3 10:00~「初護摩祈祷」(大講堂前)
・1/1~1/3 13:00~「修正会吉祥悔過法要」(金堂)
・1/1~1/3 13:30~「新春法話」(東僧坊)

霊山寺修正会」◇
・1/1 0:00~5:00(奥の院、本堂、弁天堂) 17:00~(本堂)
・1/2・1/3 17:00~(本堂)
・1/1~1/3 10:00~16:00 大福茶接待・初生け花
・1/1~1/3 10:00~16:00「本堂薬師三尊の特別開扉」

帯解寺修正会」◇
・1/1 0:30~2:00

率川神社「歳旦祭」◇
・1/1 0:45~1:30
本社・大神神社の繞道祭の御神火を受けて大松明に点火。
火縄に移して家庭に持ち帰り新年の火種にしていただきます。
参列自由。火縄1巻き1000円。

大神神社繞道祭にょうどうさい」◇
・1/1 1:00~
拝殿奥・神山三輪山でご神火が切り出され(0:00)
灯篭から大松明と火が移され
三輪山麓の摂社末社18社を大松明を担いで巡拝する。

石上神宮「新春初太鼓 神火祭」◇
・1/1 0:00〜
・1/1 5:00〜「歳旦祭」

信貴山朝護孫子寺修正会」◇
・1/1〜1/3 17:00〜本堂にて
一山総出仕により、うるしの木を打つ行事はダイナミックです。
・1/1〜1/10 9:00〜16:00 「毘沙門天王秘仏御開帳」

宝山寺「初聖天」◇
・1/1〜1/3 初聖天

松尾寺「七福神祭」◇
・1/1 0:00~17:00  1/2~1/31 8:00~17:00
・1/3 10:00~歳旦祭(松尾神社で行なわれます。)神楽奉納も。

長谷寺 「観音万燈会 」◇
・12/31 19:00〜 1/1 5:00
本堂と登廊に明かりが灯ります。
・1/1~1/3は17:00~20:00 

◇法隆寺「舎利講」◇
・1/1~1/3 13:00~(夢殿北、東院舎利殿にて。参拝可) 
絵殿も特別公開

聖林寺「新春特別公開」 ◇
・1/1 ~1/3 「秘仏宝蔵天・秘仏弁財天特別開扉」(通常拝観料要)

橿原神宮「御垣内特別参拝」
・1/1~1/5 9:00~17:00(3日は正午から)初穂料 1000円以上

大和神社 「新春行事」◇
・1/1 2:30~「歳旦祭」
・1/1 14:00~「御神楽祭」
・1/3 10:00~「元始祭」
・1/4 13:00~ 「御弓始祭」

談山神社「新春行事」(1/1~1/3:入山無料) ◇
・1/1 0:00 開門、初太鼓
・1/1 10:00~「元旦祭」
・1/2 13:00~「神楽式 談山翁」
・1/2・1/3 10:00~15:00「書き初め」
・1/3 9:00「元始祭」11:30「福禄寿大神新春大祭」
・1/3 14:00「雅楽はじめ」

正暦寺「修正会」◇
・1/3~1/5 13:00~16:00
年頭祈願、五穀豊穣を祈る薬師悔過法要。
正暦寺に古くから伝わる独特の声明によって法要を勤修。

◇1/5 9:00~14:00 率川神社阿波神社「初戎祭」◇
奈良市内最古の夷さま。吉兆福笹授与、お神酒・甘酒の振舞い有り。

◇1/5 7:00~ 南市恵毘須神社「初戎 」◇

2012年12月21日金曜日

年末年始のお出かけ情報①〜大晦日「年越大祓式」と「除夜の鐘」

2012年、今年もあと10日となりました。
恒例の年末年始のお出かけ情報をご案内いたします。

まずは大晦日に行なわれる「年越大祓式」 のご案内を**
春日大社 15:00〜 春日大社内 祓戸神社
護国神社 15:00〜
大神神社 14:00〜 祈祷殿前斎庭
石上神宮 15:00〜
談山神社 15:00〜

次に「除夜の鐘」のご案内ですが**
奈良倶楽部通信では、ご宿泊のお客さまが徒歩や車で動ける範囲のお寺で撞ける除夜の鐘のみご案内しています。
その他、奈良県下の寺院の除夜の鐘につきましては
こちらこちらをご参照下さい。

◇「五劫院」の除夜の鐘◇


奈良倶楽部の2軒お隣にある、鎌倉時代創建のりっぱなお寺です。
23:45より順番に参加者全員が一人で一撞き、つくことができます。
何人かと一緒ではなく一人で撞くことができるので
思いっきり「ゴ~ン」と胸がすくように気持ちがいいのです。
甘酒・福酒の振舞いや合格鉛筆、破魔矢の授与もあります。
また、五劫思惟阿弥陀仏像も拝観できます。

 五劫院の鐘

「般若寺」の除夜の鐘◇

23:45頃から、参加者全員が順番に撞けます。
元旦1:00頃まで本堂が無料公開されてます。
福酒のふるまい有り。

「東大寺」の除夜の鐘


23:00より整理券配布され、先着800名まで。
元旦の0:00より、8人一組で撞きます。
※整理券配布時間は人出の具合で決めるため前後する可能性あり。
(列から離れると整理券は無効になります)
 
また、東大寺大仏殿では、元旦0:00より8:00まで大仏殿中門が開扉され無料で参拝できます。大仏殿正面の桟唐戸が開かれそこから拝顔できる大仏さまは神々しいばかりです。

「興福寺」の除夜の鐘◇

南円堂と菩提院大御堂の2ヶ所で撞けます。
23:00より各先着100名(計200名)に整理券配布され
23:30より打鐘。

「薬師寺」の除夜の鐘


23:00より東僧坊で番号札を全員に配布。(越年写経の方優先)
23:45より5人一組で鐘を撞きます。
鐘を撞いた方にはお餅の接待もあり(数量限定です)

「唐招提寺」の除夜の鐘

23:00より南大門で先着108名に番号札を配布。
23:40より鐘をつくことができます。
参詣者には千手観音の御守札を授与。(拝観無料)

◇「西大寺」の除夜の鐘◇


23:40頃より開始。整理券なしで参加者全員が撞けます。

・・・・・・・・・・・・・・

大晦日から元旦にかけて、奈良倶楽部は門限フリーにしております。
奈良で迎える新年をどうぞお楽しみ下さい。

2012年12月20日木曜日

あじあの薬膳おばんざい「藍布」プレオープン*

奈良きたまちに新しいお店がオープンします。
あじあの薬膳おばんざい「藍布らんぷ」さん。

「TAMARI」さんのお隣で「ちてはこカフェ」も同じ長屋の並びです。
来年 1/11のオープンを前に、今日はプレオープンの日でした。
扉を開けると大きなカウンターが目に飛び込んできて。
広々としてゆっくりと寛げそうな空間です。
店内の奥の方から入口を見るとこんな雰囲気。

2階への階段も途中でクローズして飾り棚として使われるのだそう。

その階段下のスペースには
テーブル席もあって、落ち着いた空間。

このカウンターのコーナーも今日は4名様の予約席。

初日の開店前に店内を撮影させていただきましたが、ほどなく店内は満席状態に。さて、さぁお料理のご用意ができたようです。

まず始めに・・・
「カボチャとアーモンドのスパイスサラダと蕪とクコの実のマリネ・ライム風味」カボチャにアクセントが効いて、とっても美味しい!
「冬の薬膳スープ」鶏ガラスープをコトコト煮出して、生薬のようなものが入っているような。たっぷりお葱と生姜も入って身体がポカポカと温まります。身体に良いだけでなく本当に美味しいスープでした。

「タイ風豚バラ肉のしょうゆ煮込みと黒米と粟入りご飯、香港風大根の香味しょうゆ漬け」豚バラ肉は柔らかくてとろとろ。大根のしょうゆ漬けはさっぱりと美味しい。
身体を芯から温める冬のアジアの薬膳料理ということで、本当に、身体がポカポカと温まってきました!
最後はココナッツミルクの入った「らんぷ式八宝みつまめ」
雑穀や緑豆や色々な豆を柔らかく煮ていて、甘さも控えめで美味しいですよ〜。そしてまた「菊花入りプーアール茶」も心底から身体があたたまります。

::

プレオープンは12/20・12/21・12/22・12/23の4日間
営業時間は12:00〜15:00(数量限定のため売り切れ次第終了)
季節の養生ランチコース(通常1280円)を特別価格800円で。
期間中に行ってみようかなと思案中の方は是非ご予約してお出かけ下さいませ。(☎0742-27-1027)まだ空席もあるそうですが残席僅かみたいでしたよ。

また来年 1月11日(金)にオープン後は
営業時間: 11:30-15:00
定休日:毎週火曜日&第一水曜日になります。

奈良倶楽部としては、夕食の営業が気になるところでしたが
春頃からディナータイムはご予約によりコース料理をご用意していきたいとおっしゃってました。(2名様以上、価格は2~3000円くらい。お客様の身体にあったお料理の相談にも応じます)

詳しくは「藍布」さんのブログ「らんぷ通信」でご覧下さい。
また、今日のプレオープンの様子は「TAMARI」さんのブログでもご覧いただけます。(同じ写真を撮っていてもセンスの違いが歴然です・・・トホホ)

2012年12月19日水曜日

「あしたのチョコ」届きました*

昨年ブログでご案内した「チョコ募金」のチョコが今年も届きました。
今年のパッケージのイラストも可愛いです!(もうほとんどジャケ買いです♪)

このチョコ募金は、鎌田 實さんが代表の「JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)」が、イラクの小児がん患者や福島の子どもたちを支援するために行っているもので、1缶500円のうち、300円はイラクの子どもの医療支援に、50円は福島の子どもを放射能から守る活動に充てられます。
一缶には、六花亭のおいしいハート形のチョコが3種類10枚入っていて
4缶1セットで2000円で販売されています。ご注文のお申し込みはこちらから↓
http://www.jim-net.net/choco/

今年の「チョコ募金」のテーマは「あしたのチョコレート」*
募金を通して、子どもたちの「あした」〜・戦争とエネルギー ・自然エネルギー ・自然と共生 ・私たちにできること〜を考えてみようということだそうです。

そして今年のパッケージのイラストは、バグダッドのアヤ・ハイサムさんの絵が使われています。8歳でウィルムス腫瘍を患い、わずか2年間の闘病生活中に描いた絵で、とても素晴らしく、示唆に富んでいます。

実はこのイラストについて、11/27付けの毎日新聞朝刊『時代を駆ける』に「JIM-NET」事務局長の佐藤真紀さん(奈良県出身の男性です)が取り上げられていて「チョコ募金」について語ってらっしゃいます。(こちら↓をお読み下さい)


その新聞記事を読んで、チョコ募金申し込みフォームに書きこんだ私のメッセージが「JIM-NETニュース」に載っていました^^  ↓

「チョコのイラストがとっても素敵で昨年のチョコ缶も大事に使ってます。先日の毎日新聞、佐藤真紀さんの特集記事の中で<<絵にはあえて注文をつける。「プロ意識」を育てようという試みだ>>という一文を読み、なるほどと思いました。この素敵なイラストにはこういう交流があったのですね。今年も大事に使わせていただきます。」 

取り上げていただき嬉しかったです。
今年も美味しくいただいています。缶も大事に使っていきます!

2012年12月18日火曜日

春日若宮おん祭2012*「松の下式」と「お渡り式」

お旅所の御假殿にいらっしゃる若宮様のもとへ、芸能集団や祭礼に加わる人々が社参する「お渡り式」は、意匠を凝らした華やかな風流の行列として、おん祭の大きな魅力の一つとなっています。
一の鳥居を入ってすぐ南側壇上にある「影向の松ようごうのまつ」↑
能舞台の鏡板に描かれている松といわれ、この松の前で春日大明神が翁の姿で万歳楽を舞われたという由緒のあるところです。
今年はこの松のすぐそばで「松の下式」を拝見する機会を得ました。 

「松の下式」とは、お渡り式の一行の中でも、陪従べいじゅう・細男せいのお・猿楽さるがく・田楽でんがくの芸能集団が「影向の松」の前で、各々芸能の一節や、所定の舞を演じることで、この所作をしてからでないとお旅所に入れないのだそうです。
影向の松の前に座っている稚児二人は「頭屋稚児とうやのちご」で↑
松の下の行事を検知する重要な役目を持っています。

おん祭の中心行事ともいわれる華やかな「お渡り式」ですが、実はまだ全部を一堂に見たことがなく 今回は行列を始めから終わりまで拝見できることも楽しみでした。

先行行列の榊車と御所車がまず進んで行きます。↑
女官たちがその後に続いて



千早と呼ぶ長い白布を肩に掛け地面に曳いて進む赤依せきえの二人。
日使ひのつかいを先導します。
十列児とおつらのちご↑と
日使ひのつかい(右端の黒の束帯姿の方)」とお供の「陪従べいじゅう」↓
冠には山吹の花が挿してあって風流ですね。
「松の下式」では陪従が馬上で短かい曲を奏します。↓

「奈良神子」も通り、その後には「細男座」
浄衣姿の細男一座。「松の下式」では馬上で袖の拝をします。

山鳥の尾を頂に立てたひで笠をかぶり、背中に牡丹の造り花を負った「馬長児ばちょうのちご↑と、その後には、五色の短冊をつけた笹竹を持ち、龍の造り物を頭にいただき、腰に木履を一足吊り下げた従者が二人ずつ従います。↓

「競馬」↑↓赤と緑の錦地の裲襠装束りょうとうしょうぞくに身を固め、細纓冠をつけた騎者が三組6人で渡ってこられました。
この時で13:15くらいでしたが、この後、赤緑2頭ずつ三組が出走し
この競馬の左右の馬の勝負によって、舞楽の蘭陵王(左舞)と納曽利(右舞)の順番が決められます。

いよいよ「猿楽座」が入ってこられます。↓
「猿楽」とは能楽の古名で、おん祭には今は金春座が出仕していますが
もとは観世・金剛・宝生を含めた大和猿楽四座が出仕し
おん祭はその格式高い競演の場であったのでした。
「松の下式」では『開ロ』『弓矢立合』『三笠風流』が演じられます。
『開口』を演じる高安勝久氏。

『弓矢立会』を演じる金春安明,高橋忍,金春憲和各氏。

『三笠風流』を演じる茂山正邦氏

これまで演じられた「松の下式」の『陪従の笛』も『細男座の馬上での袖の拝』もすごく短い時間の所作でしたが、「猿楽座」の能楽は、たっぷりと20分ほど演じられてとても見応えのあるものでした。
その後、お旅所入口では金春大夫による「埒らち明け」が行なわれるのですが、影向の松のところにいると、こちらの拝見は諦めなければなりません。
 
「猿楽座」 の後に続くのは「田楽座」

奈良一刀彫りの起源といわれる人形を飾った大きな花笠は
ちょっと目を引くユニークなもの↓

::

「松の下式」は以上で、その後に続く行列は参道にて見学をしました。


りっぱな馬がつづきます。「将馬いさせうま
「野太刀」を担ぐのは自衛隊の方々だそう。
「大和士やまとざむらい
「松の下式」で検知をしていた「頭屋稚児」もお役目が終わって影向の松から退座しお旅所に向かいます。神の宿る存在として地面に足をつけぬよう「肩車」でのお渡りです。
子供大名行列↑可愛くて微笑ましいです。
奈良市の小学校はおん祭の日は2時間目までなので、子供大名行列の頃、参道ではお友達たちの声援が元気よく聞こえていました。

お渡り式の行列最後は、南都奉行の大名行列です。
その後、暫く待って参道では「稚児流鏑馬ちごやぶさめが行なわれます。

稚児流鏑馬が行なわれたのは14:40過ぎ頃からでした。
この頃にはお旅所で「お旅所祭」も始まっていたのですが
稚児流鏑馬が終わって雨模様になってきましたので
今年はこれで「おん祭」の見学を終了しました。

今回は「松の下式」を中心に見学しましたが、同時に並行して行なわれる「南大門交名の儀」や「埒明け」「競馬」などは拝見できませんでしたので、こちらはまた来年以降のお楽しみに、何年か時間をかけて
「おん祭」の諸行事を拝見していければと願っています。

またお渡りされた一行がお旅所に着いて、若宮様に拝礼して 所定の位置につかれるところも、それぞれの集団によって拝礼の仕方に特徴があるということで、こちらもいつかじっくりと拝見したいと思っています。

::

今年の「奈良神子」をつとめられたメイちゃん家のたーさんのブログに当日の様子が詳しく紹介されています。です。