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2018年12月3日月曜日

入江泰吉旧居の紅葉と講座

12月2日 入江泰吉旧居で「入江泰吉への思いを語る」
今回の講師は、聖林寺住職 倉本明佳師です。

少し早い目に伺って、今が一番綺麗というお庭の紅葉や
室内から見る借景の紅葉を思う存分 目に焼き付けて
倉本ご住職のお話を拝聴しました。
ご住職自身は入江先生との接点がなかったので、同年代である祖父と入江先生との交流についてのお話をしますとおっしゃって、今回のお話をいただいてから、何かその時代のものが残っていないかと蔵を探して、入江先生からのお便りを発見されたそうです。そこには珍しい写真が何枚か入っていて、今回はその貴重な写真を初公開していただきました。
明治になって大御輪寺よりおいでになった十一面観音像。
(その経緯や収納庫については、10月に聴講した「京終さろん」での倉本ご住職のお話についてのブログ過去記事をご覧ください。)
当初は、フェノロサが寄進した御厨子に安置されていましたが、昭和34年に今の収納庫が出来て、まさに観音さまをお移しされる場面の貴重な写真を入江先生が撮影されていて、その写真がお手紙に入っていたのです。(これは、入江先生もさすがに発表をされていない写真ということでしょうか?←それほど貴重な場面でした)

スクリーンに映し出されている3枚の写真の左の写真は、収納庫に移す時に運び込む様子。これを運んでいるのは、奈良教育大学の学生さんたちのようで、仏像移送の専門家でもなく一般の学生が運んでいるということに驚くとともに、よく写真を見ると、観音様のおみ足が白布から出ていて、足の裏の金箔が美しいままピカピカに残っていることや、台座に差し込むホゾが50cmもあったということ。
この日は雨が降っていたので、戸外の広い道を通ってではなく、屋内の狭い階段を通って運んだという写真が右側。
板の上に布団を敷いて、白布に包まれた観音様を寝かせて、板の下には学生さんたちが俯せになって、その上を板が運ばれていくというような状況の写真が、右下の写真。
この時の学生さんの感想として、観音様の魂を抜く「撥遺法要」が長くて足が痺れたまま運んだ学生も多かったという、とんでもなく怖い話もあったり。とにかく、今の時代では考えられないような、のどかなというか大らかな時代であったようですね。

最後になりましたが、この収蔵庫が60年程経って建て替えの時期にきています。聖林寺ではその費用捻出のために、ご本尊の子安延命地蔵菩薩像の由来を綴った勧進絵本をつくったり、ご寄進も広く募っておられます。ご寄進については、HPの「聖林寺のお知らせ」を参考に、どうぞよろしくお願いします。
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旧居からの帰り道の戒壇院の栴檀の実と紅葉も綺麗でした。


スマホしか持って出なかったので、上手く撮れていない写真はアップしていませんが、指図堂前の真っ赤なモミジや大仏池畔の様子など、実際の目には、どこをどう見ても美しくて、本当に涙が出るくらい、たまりませんでした。今、東大寺境内は最高に美しい!!