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2012年8月3日金曜日

滋賀県湖東方面へ①〜近江八幡のヴォーリス建築

久しぶりのリフレッシュ*
日常の中で”小さな旅”を楽しんできました。
一度訪れてみたいと思っていた近江八幡へ
ヴォーリス建築を訪ね歩く旅の記録によかったらお付き合い下さい。

まずは「たねや」さんのクラブハリエ日牟禮ヴィレッジでTea time♪




こちらではヴォーリズが手がけた旧忠田邸を補修改築した特別室が 前日までの予約でカフェとして利用できるのですが、予約を入れた時は既に満席でした。
トップの画像が予約無しでも利用できるティールームです。
でも、私達がお茶していた時間帯に空いていたお部屋を見学することができました。
以下の写真です↓

「旧忠田邸」玄関。玄関のドアは来客を招き入れる意味から内開きとし
玄関を入ると固定椅子(下足箱)があって
一息つけるように工夫されています。 ↑
階段の最初の一段目が大きくコーナーを丸面に取り↑
安全性を確保した設計になっています。
この空間でお茶ができるなんて素敵ですね〜♪

2階にもお部屋があり自由に見学ができました。


「はぁ〜素敵♡素敵♡」と垂涎しながらクラブハリエを後にして
近江八幡に残るヴォーリス建築を見て歩きました。

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元警察署だった建物を昭和28年にヴォーリスが改修設計した「郷土資料館」へ。こちらは近隣の施設4館併せて500円で見学ができます。
他の3館は江戸時代の典型的な豪商の商家で
こちらも見応えがありました。

「郷土資料館」2階の窓から旧伴家住宅が見えます。↑
2階の展示室では、ヴォーリス夫人、一柳満喜子さんの生涯を小説にした「負けんとき」の読者なら歓声をあげそうな写真がずらりと展示されていました。
満喜子さんのご両親。「はは〜ん、これが一柳子爵か・・」とじっくり見てしまうことの意味が読者ならおわかりですよね(笑)
若かりし頃の満喜子さん。
満喜子さんに「負けんとき」という言葉で励ました浅子ママも!
アリスベーコン女史の姿もあり暫し小説の世界に浸っておりました。
改修から60年近く経って、少々 建物の傷みや古さも目につきますが
今も資料館として大切に使われていることに
この町の人達がヴォーリス建築を誇りにされている証しを感じました。

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その後、内部見学はできませんが
建物の外構だけ見学できるところを幾つか見て回りました。
赤煉瓦の塀で囲まれた「近江ミッション住宅」(大正10年)
使われている煉瓦は、商品価値のない焼き過ぎ膨張煉瓦で
捨てられていたものを無駄にせずに使ってコスト低減をはかり
味のあるデザインとしても生かされています。
2008年に改修されて外観が綺麗な「旧ウォーターハウス邸」
湖畔伝道船ガラリヤ丸船長の家でした。↑
ヴォーリスの第1の協力者、吉田悦蔵邸。(大正2年)↑
またまた読者ならテンションが上がるのです(笑)


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近江八幡教会の隣に建つ「アンドリュース記念館」
こちらは1907年にヴォーリスが日本で最初に設計した建物。
現存の建物は1935年(昭和10年)に改築されたもの。↓
「旧近江兄弟社地塩寮」元は近江兄弟社の独身青年寮として建てられ
現在は近江八幡教会の牧師館として使われています。(昭和15年)↓

「旧八幡郵便局」大正10年完成、ヴォーリス初期の建物。
朽ち果てて原型を失った建物を、現在はNPO法人「一粒の会」の熱意により再生中で、コミュニティー施設として一般に開放されています。
内部の様子↓

「岩瀬診療所」として親しまれた洋館の診療所。(昭和8年)
右側の和風住宅と渡り廊下で繋がっている。

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ヴォーリス夫妻が晩年に暮らした家がこちら。
現在は「ヴォーリス記念館」として予約制で内部見学ができます。
こちらも予約が取れずに、建物外部だけ見学させていただきました。
門扉が開いていたのでちょっと奥まで・・・。

お庭の奥には近江兄弟社学園が見えます。
その近江兄弟社学園の一角にある「ハイド記念館
ヴォーリス氏はアメリカのA.A.ハイド氏(メンソレータムの発明者)からメンソレータムの日本での製造販売権を譲り受けるなど終生の後援を受けるのですが、ハイド夫人もまた満喜子夫人に遺産を全譲渡しその寄付によって、この幼稚園が建てられました。満喜子夫人が園長となった清友園という幼稚園でしたが、現在はハイド夫人の功績を鑑みてハイド記念館と名づけられています。


この「ハイド記念館」は内部も見学ができたようなのですが
前日に「ヴォーリス記念館」に電話をして金曜日は見学ができないと言われたことから、きっと「ハイド記念館」もダメかな?と勝手に思い込んで、外側だけ見て満足してしまってました。今、ブログを書くにあたってネットで検索してみたら見学ができたようで、とても残念なことでした。

その他にも、市街から少し離れた所に、見学していないヴォーリス建築がまだまだ残っています。
今回の近江八幡への旅は急に思い立ってのことで、よく調べもせずに出かけたので、「ハイド記念館」や「ヴォーリス記念館」はじめ、その他の住宅建築も次回のお楽しみにすることに致しましょう。

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ヴォーリスの建築に対する精神として残されている言葉です。
「建物の風格は、人間の風格と同じく、その外見よりもむしろ内容にある。」
「建築家は日常生活のために使用する快適で健康を守るに良い、能率的な建物を熱心に求めている建築主の意を汲む奉仕者となるべきである。」