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2017年1月14日土曜日

県美「祈りの美」展*鑑賞記

今日1/14から始まった奈良県立美術館の企画展
「祈りの美〜清水公照・平山郁夫・杉本健吉…」
報道スタッフの腕章を付けて館内写真撮影の許可を頂き
ブログやSNSでの広報をさせていただくことになりました。
会場の展示構成の順に、心に留まった作品をご紹介していきます。
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1部 清水公照「祈りの心」
ポスターやチラシにも使われている「紅富士」の大胆豪放な筆遣い!
東大寺別当・華厳宗管長を務め、宗教家から美術家へと活動の場を広げた清水公照師(1911-1999)の作品には豊かな色使いと自由闊達な表現世界が相まって、見ているだけで心が躍りそうです。
本格的に描き始めたのは52歳の時。東大寺幼稚園の園長時代に園児の描く奇想天外な絵に誘発されて描き始め、還暦を機に始めた絵日記でその表現世界を豊かに広げて行かれたのかなと想像するに、まだまだこれからでも遅くないと鑑賞しながらやる気と勇気をもらったのでした。
清水公照師の作品は、今までに目にしたことも何度かあるのですが、こんなにまとまってたくさんの作品を観るのは初めてです。それだけに大変貴重な展覧会だと思いました。
「楽の音菩薩」という作品。
国宝八角燈籠の音声菩薩像の拓本に彩色したものですが、何とも優しい慈愛に満ちた作品で、一目惚れしたのでした。
公照師遺愛の色硯や墨など。硯の大きさにびっくりし、色硯も赤・緑・青・黄だけというシンプルさにも驚きました。
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清水公照師の作品展示、第2室は色(書画)土(焼き物)墨(書)をテーマに代表作品がずらりと。
とりどりの色彩で描かれた女神や童子
その絵と響き合うように綴られた多彩な文体。
四色しか使われないのに洪水のような色彩の中で、ひときわ目を引いたのが「鶴の図」。
この鶴を表現している筆さばきは一体どうよ? この技巧は一朝一夕に生まれるものではないだろうし、この芸術の極みに達した無駄のない美しさはどうよ…と思わず唸った作品です。
写真を撮り忘れましたが、大仏殿昭和大修理のため全国を奔走した別当時代、時間を見つけては各地の窯元で焼いた数々の陶芸作品も、第2室に展示されています。
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清水公照師の作品展示、第3室は、お待ちかねの「お水取り」。
ふむふむ、ほうほうと多少にやにやしながら鑑賞。
短く添えられた言葉も参籠した僧ならではのもの。
行法の躍動感溢れる表現にも心鷲掴みされますよ。

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2部 杉本健吉「祈りの形」
大好きな杉本健吉画伯の絵。
今回は今までの展覧会で観た作品群と趣が違って、「骨皮帖」(こっぴーちょう)と名付けられたスケッチ帖からの作品が多く紹介されていました。
この「骨皮帖」は、戦前戦中の物資がなく画材の入手が困難な時代に、比較的廉価な奈良墨を買い込んで各地をスケッチしてまわった時のもの。素早く描きとめようとする緊張感のある作品で見応えがありました。
上の写真↑の右から3番目の作品「博物館内(ケース内展示を見る人々)」は、ケースの中の摩耶夫人の視点で、展示ケースの外で鑑賞する人々に手を上げているような、逆転の発想で描かれたもの。杉本画伯のシニカルなユーモアが感じられたのでした。
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さて、杉本健吉作品の「お水取り」もまた楽しみにしていたのです。
墨彩による表現が深く静かで、独特の臨場感を漂わせています。

修二会行中のたくさんの場面が描かれていて、清水公照師の「お水取り」作品と合わせて、修二会ファンにとっては外せない展覧会となりますね。
ちょうど修二会期間中もこの展覧会は開催中ですから、修二会に行かれる方はこちらの展覧会にも是非お寄り下さい。
今回の杉本作品では墨彩表現が多いのですが、最後にあっと驚く「聖徳太子絵伝」が!(すべて県立美術館所蔵のものなんですね。)
今日は広報班として鑑賞した分、どこか駆け足で観たところもあり。
次回は気になる絵伝をもっとじっくり鑑賞したいと思います。
(いや、それにしても緻密で場面構成の素晴らしいこと!)
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3部 平山郁夫「祈りの美」
仏教、シルクロード、奈良をテーマにした平山作品には
やはり圧倒的なスケール感を感じますね。
そんな作品群の中で、昭和25年、20歳の時に制作された模写作品
「法隆寺金堂六号壁画 本尊阿弥陀如来」に惹かれました。この作品が平山郁夫さんの原点になるのかなぁと漠然と感じたのでしたが。
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最後に一階ギャラリーでは「奈良きたまち」の連携展示が。こちらはまた別にブログでご紹介させていただきます。
今回は「きたまちweek」実行委員の一人として展覧会作品の撮影許可をいただき、たくさんの写真で会場の様子をご紹介させていただきましたが、展覧会には約200点の作品が出品されていて、ここでご紹介したのはほんの一部です。どうぞ実際に会場までご来場いただきご覧下さいますようお願いいたします。
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「祈りの美〜清水公照・平山郁夫・杉本健吉…」
会場:奈良県立美術館
期間:1月14日(土)〜3月15日(水)
開館時間:9時~17時 (入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(ただしお水取り期間中の3/6と3/13は開館)

関連事業(観覧券必要)
〇講演会 1/22(日)14:00~15:30「清水公照 人と作品」
レクチャールーム(定員80名 先着順)
姫路市書写の里・美術工芸館 学芸員 山本和人氏
〇美術講座 2/5(日)14:00~15:30「描かれた祈りの美」 
レクチャールーム(定員80名 先着順)
奈良県立美術館・学芸員 松川綾子氏
〇ギャラリートーク 1/28・2/4・3/11 14:00~15:00
〇希望者に対し、ボランティアによる展示解説
〇ワークショップ 「祈りのこころ 写仏ぬり絵と祈りの言葉」
会期中・参加費無料・1階無料休憩室
〇ミュージアムコンサート(1階ホール)午後より   
1/14(土)氷置晋(ポップス)
1/15(日)杉浦倫代(アカペラ独唱)
1/21(土)渡里拓也(ピアノ独奏)
1/29(日)下村淑子(アイリッシュハーブ)
2/12(日)こうちゃん&ウッキー(ポップス)
2/18(土)津軽三味線やまびこ(津軽三味線)
2/19(日)ぴくにっく(オカリナアンサンブル)
2/16(日)le Collage(サクソフォン8重奏)
3/4(土)Mejuah(クロスオーバー)
3/9(木)アンサンブル・フィオーレ・ディ・オオサカ(マンドリン)
3/12(日)シャン・ドウ・メール(コーラス)