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2014年12月19日金曜日

春日若宮おん祭2014*「お渡り式」

「お渡り式」とは、若宮社からお旅所行宮にお遷りになられた若宮様をお慰めする芸能集団や祭礼に加わる人々が若宮様に社参する行列で、意匠を凝らした華やかな風流の行列として、おん祭の大きな魅力の一つとなっています。
今年はこのお渡りを「埒あけ」がよく見えるお旅所入口付近で見学しました。写真多数ですが、おん祭「お渡り式」の様子をご覧下さい。

「お渡り式」の中心は、平安時代から江戸時代に至る風俗・古式を伝える伝統行列ですが、明治以降に加わった前行行列がまず先行します。
前行行列:先頭は藤の紋所の紅白の幟
前行行列:今年から輿に台車が付けられたようです。
前行行列の榊車と御所車
前行行列:華やかな女官の行列(この前に稚児行列もあります)
前行行列
見事な傘!
前行行列:映画監督の河瀬直美さんも。
前行行列
「お渡り式」第一番の「日使ひのつかい」を先導するのが、「梅白枝うめのずばえ」と、御幣を掲げて歩く「祝御幣いわいのごへい」の赤依せきえの二人。
千早と呼ぶ長い白布を肩に掛け地面に曳いて進みます。
千早を肩にかけている様子。
前日の雨で地面がぬかるんでいたので、お旅所前で千早は巻き上げられました。
巻き上げられた千早。
「十列児とおつらのちご」。騎馬した4名の稚児で、頭に桜の造花を挿しています。お旅所で東遊あずまあそびを舞います。
さあ、いよいよ「お渡り式」の第一番「日使ひのつかい」(黒の束帯姿)の登場です。後ろに続くのが、お供の「陪従べいじゅう
「陪従べいじゅう」の冠には山吹の造花。
「お渡り式」の第二番は「巫女」
「辰市神子」「八嶋神子」「郷神子」「奈良神子」「拝殿八乙女」と続きます。
第三番は「細男座せいのおざ
同じく第三番「細男」に続いて「十番力士・行司・支証」
お旅所に入って行く行列。
馬の落とし物もきれいにしていきます。
山鳥の尾を頂に立てたひで笠をかぶり、背中に牡丹の造り花を負った「馬長児ばちょうのちご
「馬長児」の後には、五色の短冊をつけた笹竹を持ち、龍の造り物を頭にいただき、腰に木履を一足吊り下げた従者が二人ずつ従います

「馬長児ばちょうのちご」はお渡り式の第六番ですが、第四番「猿楽座」第五番「田楽座」よりも先に入ってこられます。
第七番「競馬」
赤緑2頭ずつ三組が出走し、この競馬の左右の馬の勝負によって、舞楽の蘭陵王(左舞)と納曽利(右舞)の順番が決められます。2014年は赤色(左舞)の勝ちでした。
「競馬」については前のブログもご覧下さい。
「競馬」が行なわれていた間に「松の下式」で演じおられた第四番の「猿楽座」が入ってこられます。
ここで、猿楽座、金春太夫による「埒あけ」が行なわれます。
「埒あけ」のブログ記事はこちら
第五番「田楽座」
「田楽座」奈良一刀彫りの起源といわれる人形を飾った大きな花笠を頭上にのせるのは笛役。
「田楽座」
第八番「流鏑馬」
「流鏑馬」の隋兵たち
第九番「将馬いさせうま
第十番「野太刀」
第十一番「大和士やまとさむらい
影向の松の前で「松の下式」を検知する重要な役目の「頭屋稚児とうやのちご
「松の下式」を終えて入ってこられました。両足を地面につけてはいけないのでおんぶされたままです。
第十一番「大名行列」の「子供大名行列」
元気いっぱい!「子供大名行列」の子供達。
「大名行列」は江戸時代からお渡り式に加わったもので、大和国内の郡山藩・高取藩などが務めてきました。一時は衰退していたものを、昭和54年に大名行列保存会が結成されて復活。「郡山藩列」「子供大名行列」「南都奉行列」と続きます
「大名行列」の「郡山藩列」
「大名行列」の一行
「ヒーヨイヤナー」「ヒーヨイマカセー」「エーヤッコラサノサー」と若々しい掛声が粋でかっこよかったです。
「大名行列」の息のあった道具の受け渡し。
最後にお旅所入りをするのは「南都奉行」。お渡り式の後に続く「お旅所祭」は南都奉行の着座で始まるのだそうです。
「お旅所」入口に張られた注連縄。
お旅所では、若宮さまへお供え(神饌)を捧げているところです。
役目を終えた馬たちもそろそろ奈良を去ります。
お疲れさまでした。また来年、宜しくお願いね!
参道横では、何事もなかったかのように
鹿たちののんびりとした日常が繰り広げられていました。
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風流で華やかなお渡りの様子、いかがでしたでしょうか。
この後は「お旅所」にて若宮様へ各種芸能が奉納される「お旅所祭」が23時頃まで続くのですが、それはまた来年以降のお楽しみとさせていただきます。