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2018年8月18日土曜日

中将姫さまと称讃浄土経

8/18 平城宮跡・いざない館にて開催された講座「中将姫さまを想う~ようこそ、称讃浄土経の世界へ~」に参加致しました。
4月から始まった當麻寺中之坊さんでの「称讃浄土経」のお写経に通いながら、文字を書き写すのにまだ一生懸命で、今一つ、お経について理解できていなかったので、「中将姫さまと称讃浄土経」について教えていただけるのを楽しみに伺いました。

講座では、まず中将姫さまの生涯を年表で教えていただきました。
資料より、称讃浄土経との関連を拾ってみますと
数え年4歳の時に白狐に「称讃浄土経」を授かる。
14歳の時に暗殺されかかり雲雀山に逃れる。
15歳で都に戻り、称讃浄土経1000巻書写を開始する。
16歳で称讃浄土経1000巻書写を成し遂げる。
その時、夕陽の中に阿弥陀仏が浮かび上がり、仏に仕えたいと願い當麻寺へ。当時女人禁制だったが、中将姫の信心と奇跡に心打たれ、女人禁制を解き當麻寺に迎え入れられる。
17歳で極楽浄土を表現した綴織當麻曼荼羅を一夜にして織上げる。
29歳 二十五菩薩が来迎され、生きたまま西方極楽浄土へ旅立たれる。
次に、當麻寺中之坊院主・松村實昭師より「称讃浄土経」とは何かについて教えていただきます。
まず、鳩摩羅什くまらじゅう訳(旧約)の「仏説阿弥陀経」と玄奘三蔵訳(新訳)の「称讃浄土経」についてどういう違いがあるのか…から、「称讃浄土経」の内容について詳しく解説していただきました。

一巻5mもの長いお経を、當麻寺では15回に分けて写経できるのですが、その1回1回ごとの要約と解説、阿弥陀経との違いなどを丁寧に教えていただきました。
でも簡単にいうと「称讃浄土経」とは「お浄土はいいところ」と書いてあるお経であり、美しく素晴らしい極楽浄土を荘厳する世界をより詳しく具体的に書いてあるお経であるということ。

今回の講座を企画された倉橋みどりさん、生駒あさみさん達に誘っていただいて、當麻寺へお写経に通って5回めを写経したばかりですが
4回め5回めのお写経では、極楽浄土にはこんな美しくて素晴らしいものがあるよ…と極楽を称讃する言葉がたくさん出てきて、院主さんの解説を聞きながら、「なるほど~こういうことだったのか」と、少し内容が理解できたのも嬉しいことでした。

そして「称讃浄土経」の最後は、『お釈迦様が説き終わると、大声聞たち、菩薩たち、一切大衆、大いに歓喜し、信受して、奉行せり』という、喜びの場面でお経が終わっているというのも、これから写経を続けていく上で有難いことだなぁと思うのです。

その他に、仏教で大切な瞑想について、當麻曼荼羅の右側には瞑想の仕方が13段階に分けて描かれていることや、
當麻寺では、数百年ごとに當麻曼荼羅の模本が作られ、現在では「文亀曼荼羅」がご本尊であり、国宝の「綴織當麻曼荼羅」(「糸のみほとけ」展に出展中の)は引退した曼荼羅という位置づけだということ、
それでも、会期中の7/24(蓮華会式の翌日)に奈良博の綴織當麻曼荼羅の前で法要をされた時に「やはりこちらが・・・と思った」ことなどを、院主さんのお話から興味深く伺いました。

「称讃浄土経」1000巻書写を一年で成し遂げた中将姫さま。
いわゆる中将姫伝説で伝わるイメージとは違った、とても意志の強い女性であったと思うのですが、15~16歳という年齢を想うと、とても真面目で熱心な方なのかもと・・・講座の最後に、中将姫さまのイメージを思い描いた時にふとそう思ったのでした。
そして美しい言葉や喜びに満ちた世界が描かれたお経の書写を続けていくことによって、その喜びをご自身のものとされていかれたのかもと思いました。

奇しくも今日 8/18は中将姫さまのお誕生日だそうで、その日に、かつて都であった平城宮跡で、中将姫さまと称讃浄土経について詳しく教えていただける機会に恵まれ、時空を超えたご縁も感じたのでした。