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2018年10月20日土曜日

京終さろん「明治維新と聖林寺の観音様」

10/18 璉珹寺で開催された京終さろん「明治維新と聖林寺の観音様」に参加しました。先月の上司永照師の講座に続いて2度目の参加です。
講師は、聖林寺住職・倉本明佳師。
ご自身が住職になられた経緯や、聖林寺の歴史や沿革などをお話される中で、国宝十一面観音立像が聖林寺へこられた謂れや、ご本尊のお地蔵様がつくられた謂れなどもお伺いすることができました。

聖林寺の創建は古く、藤原氏の氏寺・妙楽寺(現・談山神社)の別院として、奈良時代712年に、藤原鎌足の長子によって建てられました。
ところで、何故、妙楽寺が談山神社となったのか?
それは、明治の廃仏毀釈で、寺ではなく神社として生き残ることを選んだから・・・というお話もお聞きしました。
また、天平の美仏として名高い十一面観音さまはご本尊ではなく、客仏としてお祀りされています。
ご存知のようにこの観音様は、かつて、大神神社の神宮寺として奈良時代に建立された大御輪寺だいごりんじ(現・大直禰子神社おおたたねこじんじゃ別名:若宮社)のご本尊だった観音さまで、やはり神仏分離・廃仏毀釈により、廃寺となる前に大八車で聖林寺に避難されたのです。
よく云われる、和辻哲郎が古寺巡礼に記した「十一面観音像が草むらに打ち捨てられていたのを、通りかかった聖林寺の住職が発見して寺に安置した」という伝承については「そんなことはありません」とご住職は否定されておられました。
ところで、この十一面観音像は本堂ではなく収蔵庫に安置されておられるのですが、この収蔵庫が60年程経って建て替えの時期にきています。
聖林寺ではその費用捻出のために、ご本尊の子安延命地蔵菩薩像の由来を綴った勧進絵本↑をつくったり、ご寄進も広く募っておられます。
寄進については、HPの「聖林寺のお知らせ」より以下転載致します。

現在、聖林寺国宝十一面観音菩薩をお祀りしている収蔵庫は、昭和35年(1960年)に造られた我が国初めてのコンクリートによる国宝のための収蔵庫です。しかし当時は、地震などの対策はなされておらず、自然災害への対策は不十分なものです。昨今、大型の地震が日本列島を襲っていることを考慮しても、早急に免震機能を持った耐震性のある収蔵庫建立が望まれます。収蔵庫建立には莫大な費用を要します。
観音さまを愛する多くの皆様にはこの一大プロジェクトにかかわっていただきたく、お願いを申し上げる所存です。収蔵庫建立のご寄進を受け付けておりますので、よろしくお願い申し上げます。
振込先: 南都銀行 桜井支店 普通160692 宗教法人 聖林寺
または、 郵便振替 01750-5-139449「光」結縁の会

美麗の十一面観音様、子授けの霊験あらたかな大きな石のお地蔵様。
その他にも、秋に開催される「マンダラ展」もお奨めです。
(「マンダラ展」開催期間:11/1~11/30 9:00~16:30)
展観される曼荼羅は
三千仏名会本尊(南北朝時代)・星曼荼羅(江戸時代)・春日宮曼荼羅(室町時代)・春日鹿曼荼羅(南北朝時代)・補陀落山曼荼羅(南北朝時代)・法華経曼荼羅(江戸時代)・金光明最勝王経曼荼羅(江戸時代)・當麻曼荼羅(江戸時代)・胎蔵曼荼羅(室町時代)・金剛界曼荼羅(江戸時代)・十三仏曼荼羅(室町時代)・・・など。
いずれも小品ですが、驚くほど保存よく伝えられており、見る人をして美しい曼荼羅の世界に魅入らせますとのこと。

「マンダラ展」11月ですが、時間を作ってお参りしたくなりました。
紅葉の美しい多武峰・談山神社もすぐそこですから、皆さまも是非どうぞお出かけくださいませ。

そして最後に、聖林寺といえば、境内から北を望む眺めの素晴らしさはまた格別です。
聖林寺を訪れた過去記事( )より写真をアップしますね。
もう一つお知らせ。
奈良倶楽部ご近所の入江泰吉旧居でも、聖林寺住職・倉本明佳師の講座が行われます。12/2(日)14:00~15:00です。
こちらもどうぞお出かけくださいませ。

聖林寺
奈良県桜井市下692 Tel:0744-43-0005
9:00~16:30(年中無休)
拝観料:大人400円・小学生200円
※11月の曼荼羅公開中のみ:大人500円・小学生250円