ページ

2018年9月19日水曜日

京終さろん「東大寺の祈り 声明Ⅱ」

月一回、紀寺にある璉珹寺で開催されている「京終さろん」。
9月19日は、東大寺教学執事上司永照師による「東大寺の祈り 声明Ⅱ」ということで、ぜひ拝聴したいと初めて参加致しました。
上司師の講演はいつも人気で、お寺の庭にまで椅子が並べられるという盛況ぶり。私もお庭の端っこから拝聴いたしました。
(遠くから写した写真は画像が悪くてすみません)
昨年の「京終さろん」での上司師の講座では「神名帳」「過去帳」「宝号(南無観)」などの声明を解説付きで拝聴できたそうです。
2回目の今回はさらに「声明」の魅力についてより幅広く解説していただけるということで、私も初参加の「京終さろん」でしたが、同じように初参加の方が40名もいらっしゃったということです。

さて、前置きが長くなりました。
声明は『散華』、咒師作法の『啓白』と『勧請』、大導師作法の『大咒願』と『小咒願』を、それぞれ解説付きで朗々と。
同じ声明でも、初夜と後夜ではどれだけテンポやリズムが違うかということがわかるように、それぞれを初夜節と後夜節で唱えて下さって、それはそれはうっとりと聞き惚れておりました。
小咒願は晨朝の節も唱えて下さり、晨朝がどれほどスピーディーでヤンチャ(?)な感じかわかります。
六時のそれぞれで声明のリズムが違うのは、練行衆の気持ちを萎えさせないためによくできているというお話も。
また、それぞれの声明についての解説、現代語訳もレジュメでいただきました。これで、もう少し予習して修二会聴聞に臨めるのではと、有難いことでした。
声明を唱えながらのお話で、上司師が何度もおっしゃったのは『修二会は、精進潔斎しただけでは間に合わない。結界して結界して結界する。いっぱい結界して、それくらいしないとだめ。』ということ。
例えば咒師は「あほ声」(あほほどの大声のこと)を出せと、橋本聖準師に言われたというエピソード。
帰宅してから『東大寺 お水取り』の207ページ・佐藤道子先生と橋本聖準長老の対談のページに『明日声がつぶれてもかまわないという気持ちじゃないといけない。私は咒師の四天勧請でも、あらんかぎりの声でやります。そうしますと、四天王さんが、はるか彼方から眷属を連れて近づいてこられるような気がします』という一文を確認したのですが、咒師は身体の芯からあらんかぎりの力で大声でもって結界する。
また、達陀の時に、和上は内陣で灯芯を結んで結界をする。灯芯のように引っ張るとちぎれるような細いものでも結界する。
こうして、くり返しくり返し結界して、各々が自身の中に結界をして護身し、初めて祈りに向かう。ひたすら祈り続ける。
これほど覚悟をして悔過しても、風雨順時でなく自然災害が立て続けに起こるのは、まだ我々の覚悟が足らないからではないかともおっしゃって、上司師が示して下さった祈りへの厳しい覚悟に、聴聞する者もあらためて気持ちが引き締まる思いでした。
::
初参加の「京終さろん」。
実は参加費1200円でお弁当と飲み物が付くのです。
そのシステムがわからずにびっくりしたのですが、2時間の枠の中で、講師のお話は1時間、あとの1時間でみんなでお弁当をいただき、初参加の者は自己紹介をし、イベント告知のある者はお知らせをし、和気藹々と時間を共有するという、まさしく「さろん」なのですね。
ただ、この日は参加者が多すぎて、自己紹介もなく、その場の席でお弁当をいただくことになりましたが、主催者やお手伝いの方々の進行も素晴らしく、また機会を作って参加させていただきたいと思うのでした。
::
次回の「京終さろん」は・・・
10/18(木)19:00~21:00
聖林寺・倉本 明佳住職による「明治維新と聖林寺の観音様」
申込み:京終さろん事務局 璉珹寺 0742-22-4887
町屋ゲストハウスならまち 0742-87-0522
E-mail  info@nara-naramachi.com へ。
会費:1200円(お弁当・飲み物・資料代含む)
お弁当は「うとうと」さんより↓