こんな雨では参列者も少ないのではと、いつもの年より少しゆっくり目に奈良倶楽部を出発。一の鳥居から参道を進んで、参列の最後尾には23:15頃に到着。その場所は例年の位置より二の鳥居に近かったので、ゆっくり目に出てきても大丈夫だったと、ちょっと安心したのです。(暁祭が行われる御旅所に入れる位置のはず)
途中のお旅所。
鼉太鼓にはカバーがかけられ、芝舞台にも屋根が作られていました。
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17日の0時少し前。すべての灯りが消されて辺りは漆黒の闇。
ざわざわとしていた場が静寂に包まれ、暫くすると、遠く若宮社の方から道楽の演奏が聴こえてきます。
でも雨は益々ひどくなり、この雨の中を、若宮様をお旅所の行宮あんぐうへとお遷しされるのに、傘をさしたり足元もぬかるんで滑りやすいし、松明の火は消えないのかと、そんなことを心配しながら待っていると、先頭の松明がやってきました。
見ると、松明から掻き出される火の粉は消えずにとても長く美しい軌跡を描いて、若宮様の通る道を浄めていきます。
続いて「ヲー、ヲー」という警蹕みさきの声が聞こえ、大勢の神官たちに囲まれた若宮様がお旅所へと参道を遷幸されていかれます。
浄闇にかすかに漂う沈香の香りを感じると、不思議なもので「あ、神様」と、とても有難いものが込み上げてくるのです。
若宮様を囲う神官たちの後には、道楽の慶雲楽を奏でながら楽人たちがお供をするのですが、雨の今年は楽器が濡れないようにと楽人たちの演奏がなく、少し寂しく思いました。
雨の遷幸の儀の様子としては、皆さんビニールのレインコートを着用されていて、松明を持つ人や松明から火の粉を掻き出す人は大きな菅笠のようなものを被り、若宮さまを囲む神職の皆様方は傘をさされてました。神官の後に楽人、御巫みかんこ達が続かれたかどうかはわかりませんでした。というのは、神官の方達の後の皆さんは、白装束にビニールのレインコートという様子で、その方たちが楽人や御巫かどうかがわからなかったのです。
(篤信者として参列されたお客様にお聞きした話では、楽人達は若宮様がご出発される時に少し演奏してお見送りした後は、先に御旅所に向かわれて、遷幸の儀にはお供されなかったそうです。)
それにしても暖かい夜でした。
そして雨が降っているのに、何故か空が明るかったのです。