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2013年8月7日水曜日

夏休み*子供と楽しむ展覧会②「みほとけのかたち」展

奈良国立博物館で開催中の「みほとけのかたち」展☆
夏休みの子供達にもわかりやすく紹介された「仏像入門」ともいえる
とても楽しい展覧会でした。でもお子様向けかといえば、全然そうではなく、展示構成が今までにはない新しいスタイルなので、仏像上級者も満足の展覧会です。
「みほとけのかたち」というタイトルの通り、この展覧会では、仏像の「かたち」に注目しながら、仏像のもつ意味や、魅力の源をたどっていこうとされています。7章に分けられた構成内容は・・・
(それぞれの章の中で、個人的に気になった仏像を図録の写真とともに掲載しています)

第一章 みほとけのすがた
まず元興寺・薬師如来像の全体を「観る」で始まり
 「服・髪・顔・姿勢・太・大 」などの特徴に注目して
仏像の姿の多彩さを紹介しています。
「大」のパートで紹介されていた像高2.12mの大きな阿弥陀如来様。
丸みを帯びた姿から柔和な雰囲気が醸し出されて一目惚れの仏様です。

第二章 みほとけのしるし
「釈迦・手・持物・色・光・座」などに表れる仏像のしるしを通して
仏像の偉大さを紹介しています。
この章で注目したのは「色」のパートで紹介された海住山寺の四天王像
鎌倉時代の仏像で、細部まで色鮮やかに残っている姿に感動しました。
また奈良 林小路町自治会所蔵の弥勒菩薩立像(鎌倉時代)も、今なお輝く金泥の光沢や截金文様が美しく、自治会で大切に守り伝えられたようすが想像できました。

第三章 みほとけのからだ
「木・玉眼・彫眼・石・銅・金・乾漆」といった素材や制作方法で仏像を見ていきます。
「金」のパートで紹介されているのは像高2.8cmと3.2cmの小さな仏様。とても小さいのですが、金色に輝く神々しさと、それを引き出す
ライティングの妙に、しばらく見蕩れていました。
 薬師寺・大津皇子坐像の憂いを含んだお顔も印象に残りました。

第四章 みほとけのなかに
仏像の中に収められた「納入品」に込められた人々の思いについても紹介されています。

第五章 みほとけの霊験
寺の創建や仏像にまつわる由来、ご利益から特に霊験あらたかな存在としての仏像を「清凉寺・善光寺・長谷寺・南円堂・春日社・矢田寺・大仏殿」のパートで紹介。
京都「清涼寺」の釈迦如来立像は釈迦在世中に、その姿を写してつくられたという由緒をもって信仰されてきた仏像だそうです。縄目状にあらわされた頭髪や同心円状に細い衣紋を刻む袈裟などの流線文様がとても美しく印象的でした。
治承4年の兵火で焼失した「大仏殿」の焼け残った木を用いて制作された愛染明王坐像。光背や台座の彩色も鎌倉時代のもので、とても美しく残っています。

第六章 みほとけの住処
仏の住む理想世界をかたちに表した曼荼羅図や浄土図などを紹介。
前期(8/18まで)のみの展示ですが中宮寺「天寿国繍帳」(国宝)も!
何度も観ていますが、何度観ても奇跡のように素晴らしいです。
現存の「天寿国繍帳」は江戸時代に、飛鳥時代の原本と鎌倉時代の複製の断片を任意に一つの面に貼り合わせたもので、色が鮮やかに残る部分が飛鳥時代の原本です。

第七章 みほとけの宇宙
前期展示は復元模写されたものでしたが、ここでは奈良・子嶋寺「両界曼荼羅」(国宝)が展示されています。大日如来を中心とする密教の宇宙観を描いたもので、胎蔵界と金剛界の2種類の曼荼羅が並びます。今までに何度か観ているのですが、縦横3mの大きな曼荼羅の前に立つだけで圧倒されますので、本物が展示される後期(8/20~9/16)にもまた伺いたいところです。

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今回の展覧会では、今までの仏像入門にありがちな
仏像の種類別や時代別の説明や用語解説などは極力省略されて
一風変わったアプローチの仕方で仏像の魅力をひも解いています。

視覚から入っていく、このようなアプローチの仕方は、きっと子供さんにわかりやすいのではと、観ていて思いました。
(今までのような仏像入門のアプローチを求めている方には
「仏像館」の展示構成がお薦めです。)

また購入した展覧会の図録が素晴らしい内容でしたので
併せて頭に入れるとより一層 深く理解できるように思いました。
(図録に掲載された12のコラムがすごくわかりやすかったのです)

特別展 みほとけのかたち ─仏像に会う─』

会場:奈良国立博物館 東新館・西新館
会期:7/20(土)~9/16(月祝)
休館日:毎週月曜日(8/12、9/16は開館)
開館時間:9:30 〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
拝観料:大人 1000円、大学生・高校生 700円、中学生以下 無料
 『なら燈花会』期間中と毎週金曜日は19:00まで開館しています。