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2013年9月13日金曜日

吉野に行ってきました*

吉野が大好きな人達が吉野から情報を発信している「吉野スタイル」の磯崎さんに、吉野をご案内していただける機会がありました++
(ちなみに、「吉野スタイル」とは、吉野で日常を送る人達が普段着の吉野を紹介したり
吉野の観光情報から定住情報まで、幅広く楽しい情報を伝えている吉野実感サイトです。HPがとても楽しいので是非リンク先もご覧下さい。)

 この写真↑は「吉野スタイル」オフィスの一角
吉野発のモノづくり」で紹介されたモノが展示されたコーナー。
吉野杉や吉野檜の香りが、そこはかとなく漂って
「あ〜吉野に来たんだ〜」と、スタート早々 テンションMAXに。

金峯山寺と吉野山の桜以外、ほとんど吉野初心者の私。
この日は、日帰りで数時間という枠内での訪問でしたので、行き先は
磯崎さんに全くのおまかせでご案内していただきました。
では、かなり長文のブログ記事になりましたが
吉野で案内していただいたあちこち、どうぞ一緒にお付き合い下さい。

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吉野といえば、持統天皇がその在位中に31回も行幸されたところ。
奥明日香から芋峠を越え、吉野川沿いの宮滝にある吉野宮へ。
これほど持統天皇の吉野行きが多かったのは、壬申の乱の直前に天武天皇と苦楽を共にした場所であったからとも想像できますが、宮滝の吉野宮からは、水への信仰が起源の、霊山・青根ヶ峰が遥拝できるということから、シャーマンとしての天皇の仕事の一つとして青根ヶ峰への遥拝のために行幸されたもとも考えられる・・・ということで、まずは
奥千本を通って、吉野山最高峰の青根ヶ峰まで。
吉野山最南端に位置する青根ヶ峰、ここからさらに南の山々を見ると↑

時間がなかったので山頂へは登らず、奥千本辺りの「義経隠れ塔」へ。
ここは修験道の行場としても大切な所で、塔の中には役行者さまが祀られています。後年、義経が追手から逃れ、しばらく隠れていたと伝わることから「義経隠れ塔」として有名ですが、今回、修験道の行場であったこの塔の中で、修験者になった気分を少し体験させて頂くことができました。それは、扉が閉められて漆黒の闇の中で、中央に祀られている役行者を囲む狭い堂内を三度巡って・・・というようなことなのですが、本当に真っ暗闇の暗さを体験して、ちょっとぞくっと面白い体験をさせてもらえたのでした。
奥千本から見た北方面の風景↑一番高い山が龍門岳。
奥千本から、上千本、中千本と下る道中にりっぱな数寄屋造りの建物が↓
ここは、吉野鉄道の社長だった阪本仙次の別荘「白雲荘」で、建築家・岩崎平太郎によって昭和2年に設計されたもの。奈良女子大の佐保会館やてんかつの建物など「奈良きたまち」とも縁の深い岩崎平太郎の建築が、吉野にたくさん現存していることを知りました。
(ちなみに岩崎は吉野の隣町、下市町の生まれ)

お昼は中千本にある「矢的庵やまとあん でお蕎麦をいただきました。
「矢的庵」の奥様、フードクリエイターの大矢久美子さんは
「きたまちweek2013」のフルコトさんのイベントで吉野マクロビランチを作られていた方。予約をすれば「矢的庵」でもマクロビ料理がいただけるようです。でも、お蕎麦も絶品!とても美味しかったです。

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それにしても、吉野も我がきたまちと同じで「歴史のモザイク」というか(←無理矢理、吉野ときたまちの関連性を見つけ出してますが)
持統天皇・義経・後醍醐天皇・・・(太閤秀吉や松尾芭蕉、本居宣長も登場するし)と、古代から連綿と続く歴史上の出来事が何層にも入り組んでいるところで、本当に奥が深い・・・。

あと、私の中でもう一つ理解できていなかったのが、吉野町の地理的なこと。実は、吉野町には、金峯山寺のある「吉野山」、町の中心地で製材所など立ち並ぶ「上市」、古事記や日本書紀にも登場する「国栖」、そして「津風呂湖」・・・と、同じ町内に4つの観光協会があって、面積的にもとても広大な上にそれぞれのエリアの歴史や特産など、一度や二度、訪れただけでは計り知れないくらい・・・やっぱり奥が深いところなのです。

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吉野山の「矢的庵」で昼食の後は、「国栖くずの里」へ。
国栖の歴史は古く、古事記・日本書記にも国栖人の記載があります。
また国栖の里は手漉き和紙の里でもあります。
吉野川の清流という自然に恵まれたこの地だから生まれた和紙。
吉野に紙作りを伝えたのは 大海人皇子だという説もあるほど
千年以上もの古い歴史を持っているのです。

国栖の手漉き和紙職人は、かつては百軒以上あったそうですが、今では6軒になり、そのうちの一軒「福西和紙本舗」さんへお伺いしました。
福西和紙本舗5代目の福西弘行さんは、掛け軸の総裏打ち紙として使われる宇陀紙の保存技術保持者(人間国宝)。私たちが伺った時は息子さんの6代目正行さんが和紙を漉いている作業の真っ最中でした。




和紙漉きの現場、初めて見学させていただきました。

余談ですが、6代目正行さんは私の妹の同級生。また人間国宝の弘行氏は、同行のSさんがかつてタウン誌で初めて取材した方という偶然に(紙漉きについてもっとお尋ねすればよかったですが)お茶をいただきながら楽しい世間話に終始したのでした。ということで、吉野手漉き和紙「福西和紙本舗」についてはこちらに詳しくご紹介されていますので是非ご覧下さい。
もう一つ、余談ですが・・・「国栖では犬を飼わない」という伝説
本当の話で、今でもそういうお家が多いそうですよ。

それから、福西さんから「宣伝しておいて」といただいたチラシ↓
 p1.jpg
灯りを出展する参加者が少ないそうです。
興味のある方はこちらを参考に、どうぞよろしくお願い致します。

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最後は「上市」吉野川沿いの貯木場エリアへ案内していただきました。
そのうちの一軒、「坪岡林業」さんへ伺いました。
坪岡林業さんは「奈良のモノづくりTEIBAN展」では「聖山」ブランドで出展されていますので、ご存知の方もいらっしゃると思います。

「奈良のモノづくりTEIBAN展」のポスターに使われたのがここ↓

聖山の折敷↓こちらは柾目の不揃いな部分も使って
リーズナブルに、普段使いに。
写真を撮り忘れた吉野杉の折敷↓は、HPから写真を拝借して。

            
こちらはシミにならないコーティングがしてあって
食器として使えるのです。(洗えます。)
シンプルで美しい柾目の杉板・・・いつか欲しいです。

またまた余談ですが・・・9/16に奈良倶楽部で行なうイベント
「美しい葛を知る〜中井春風堂さんに教わる葛の魅力〜」で
この折敷が登場しますよ♫
それから、「奈良のモノづくりTEIBAN展」は
9/25から銀座松屋7階でも開催予定です。よかったら是非〜!

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今回の「吉野行き」はひょんなきっかけからでした。
ブログには書いてなかったですが、9/2に奈良ホテルで開催中だった「奈良のモノづくりTEIBAN展」に伺った時に、「吉野スタイル」の皆さんとばったり出会って「今まで行ったことがない吉野をいつかご案内して下さい」とお願いして、一週間後に実現の運びとなったのでした。

「吉野スタイル」の磯崎さんには貴重な時間を割いて頂いたのですが
地元の人の案内で知った吉野は、懐も奥行きも深くて、その魅力は無尽蔵でとてもダイナミックに感じました。そして吉野という土地は、温かで優しい気に満ちているという印象でした。
この日に出会った皆様、どうもありがとうございました。
(長文ブログにお付き合いいただいた皆様もありがとうございます!)

さて、明日は「吉野スタイル」発の観光プランを幾つか紹介します。
奈良倶楽部の、奈良好きなお客様にもきっとご満足していただけそうなプランです。どうぞお楽しみに!