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2014年2月16日日曜日

珠光茶会「ならまち会場」へ*

奈良ゆかりの侘び茶の開祖・村田珠光むらたじゅこうにちなんだ「第1回 奈良大茶会 珠光茶会」が2/12から2/16まで、奈良県内の七社寺(春日大社・東大寺・元興寺・大安寺・西大寺・唐招提寺・薬師寺)を中心に開催されていました。

お茶会に行ってみたいと思いながら、「なら瑠璃絵」などの観光イベントと重なり、出かけられないかなぁ…と思案しているうちに、どんどんと前売りチケットが売り切れていき、半分あきらめていたところ・・・「ならまち会場」でのお茶席券は当日に販売されるということで、最終日16日に行って参りました。
奈良で初めて開催の大茶会は、オフシーズンの冬の奈良を盛り上げようと始まったイベントで、早々にチケットが完売する人気でしたので、上々の滑り出しでしょうか。
ただ、あちこちで聞いた話は、チケットの入手法が面倒とか、わかりづらいということ。実際に私もそう感じました。例えば「ならまち会場」のチケットは当日の朝8時から「奈良町情報館」でしか取り扱っていないということ。今回は売り切れという事はなかったようですが、このために奈良に来られて、もし売り切れていたらと考えると、出かけること自体を躊躇すると思います。 また「ならまち会場」の情報は1月末に配布の「奈良市民だより」に載ったのが最初かな?(これって奈良市民以外の人には情報が行き渡らないのでは?)
また今日は友人に朝8時にチケットを買いに行ってもらったのですが、一人一枚しかダメとも言われたそうで・・・。でもこんなに文句を言っていても、実際に参加して感じたことはお茶会自体はとっても楽しかったのです!ということ。(あちこちで聞いた話では「楽しいお茶会でした」と、実際に参加された方の評判はすごくよかったです。)

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「ならまち会場」では旧大西家住宅(3枚目の写真)と吉川家(4枚目の写真)の二つのお茶席を楽しみました。
どちらの会場も、お道具、お菓子、しつらえも見事で目にも楽しませていただきました。
少人数(7~8名)のお席だったこともあるのですが、初心者でも臆することなく和やかに楽しむことのできたお茶会となりました。
普段の生活では、このようなハレの場に身を置くことがないので、 何だかわくわくと気持ちが喜んでおりました。奈良で開かれた大茶会で自分自身も最後にちょっと楽しむことができてよかったです。

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この後、私たちは「高坊たかぼう」という扁額がかけられたお茶室のある高林寺へ。庵主さまのお話を聞きにまいります。
高林寺は、奈良時代に、中将姫の父・藤原豊成の屋敷跡に建てられた寺で、平重衡の南都焼き討ちで焼失したが再興、桃山時代には数寄者の高坊一族が住み、茶湯等を楽しみ、奈良町の数寄者の一大サロンを形成、奈良町文化の中心となったところです。
高坊は天正2年3月、堺の大宗匠・津田宗及に招かれて「天王寺屋会記」に名を残し、「松屋会記」や北野大茶会にも奈良茶人三十六人衆の一人として参加しているのです。
茶室 「高坊」はこの数寄者を顕彰するために建てられました(昭和63年)
高林寺の庵主さまは大変なご高齢ですが、ここ高林寺が奈良の茶の湯文化の中心だったことを広く知って頂きたいと、今回の珠光茶会では特別にお話をして下さることになったのでした。
扁額「高坊」の文字は、天王寺屋会記より宗及自筆の高坊と花押を採拾して作製されたもの。額の裏にはそのようなことが書いてあるそうです。
(それを写真に撮って収めたもの↑)
庵主さまのお話の後、お茶室も見学させていただきました。

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その他に、お茶席券があれば入場できる「木奥家」へも。
ここはテレビドラマ「鹿男あおによし」の番組中に登場していたお家ですが、母屋の方ではなく、蔵を改装して作られたギャラリースペースが見学場所です。江戸時代の大工道具などが展示されていました。
合計4カ所、時間ギリギリまでかかって廻り終えることができました。

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ご宿泊のお客様で東大寺のお茶会にお出でかけの方より
珠光茶会についての感想がメールで届いていました。(この方もチケット入手方法が面倒であることをおっしゃってましたが、参加して素晴らしいお茶会だったと・・・)

東大寺のお茶会は、さすが奈良のお茶人方の層の厚さを感じさせるすばらしいお席でした。
回廊の一角から外へ出るとテントのクロークが設置されており、履物を脱いで上がると二間続きの和室が会場となっていました。普段はめったに使われていない建物のようです。(新しくてきれい)
一時から熊倉先生の基調講演の後おこなわれたシンポジウムも、茶会の多岐にわたり語られ楽しく拝聴しました。何と言っても奈良で茶会が催される意義やこれから百年「珠光茶会」を続けるためには何が必要かといったことについて建設的な意見が交わされ、今後がますます楽しみに感じられました。
関東と関西に現在ある大きな茶会に並び奈良での茶会を継続するためにはやはり大きな特徴が必要で、それには誰でも親しめる茶会というのが珠光の精神に一番沿うのではないか、奈良の寺社でもっとお茶の門戸を開くとよいのではないかと有馬頼底さんがおっしゃっていたのが印象的でした。

少々辛口の意見も書きましたが、参加してこそ楽しめるお茶会です。
来年以降も是非継続していただきたいと願っています。