10/18(土)「奈良少年刑務所を宝に思う会」設立総会が、同じ校区の鼓阪小学校講堂で開かれました。
約170人が参加されたそうで、あれよあれよという間に椅子が足りなくなるくらい多勢の人達が次々と入って来られて、そのほとんどが地元の方々でした。
私もですが、奈良少年刑務所と同じ校区に住む者にとって、赤煉瓦の美しい名建築は「少年刑務所」を超越した存在であり、今この建物を残しておくよう意思表示しないと一生後悔する、絶対に後世に伝えなければいけないのだと、そのような想いを持って参加された方も多かったと思います。
設計者・山下啓次郎氏の孫で、ジャズピアニストの山下洋輔さんが会長を引き受けられました。山下さんは、奈良監獄と同様に祖父の設計で、保存がかなわなかった鹿児島の監獄の取り壊し反対運動の経験などをお話しながら、「まだ予算もついていないから鹿児島とは違う」と、奈良少年刑務所の保存に期待を寄せ、そのために会長を引き受けたとお話されました。
山下啓次郎氏が設計した明治の五大監獄のうち、全貌が現存しているのは奈良少年刑務所のみで、しかも今でも現役で使われています。
西欧諸国に追いつこうと過剰なほど美しい立派な刑務所を作ったという、近代国家の始まりの記憶を残す近代化遺産でもある少年刑務所。
建物に使用されている赤煉瓦は、すべて当時の囚人達が焼いた手作りで、独特の風合いと、その一つ一つを積み上げて生まれる美しさは格別で、今はもう新たに造ることが叶わないといわれています。
刑務所と言えば地元で嫌われるのが世の常ですが、この奈良少年刑務所は、その美しさゆえに地元の人々に愛されて、この日の設立総会にも大勢の人が出席されました。勿論、地元校区だけでなく「奈良の宝」であり、「日本の宝」でもある貴重な建物です。
設立総会に参加して、奈良少年刑務所を大切に「宝」として後世に伝え残していかなければと新ためて強く思いました。