お散歩中に珍しい光景に遭遇しました。
大きな麻酔針を打ち込まれてフラフラ状態の立派な雄鹿。
何度も立ち上がってはふらりと倒れたり、そして とうとう倒れ込んで動かなくなりました。
雌鹿たちは遠くから心配そうに見つめています。
「奈良の鹿愛護会」スタッフの方が、しっかり麻酔が効いているのを確認して、担架に乗せて軽トラまで運びます。
この軽トラにはすでに先客が乗っていて、呻きのような寝息のような声を洩らして横たわっていました。ここにもう一頭押し込んで
「鹿苑」まで運んで、そこで角を切ります。
麻酔は3時間程効いているそうで、その後、完全に覚めるまで今晩は鹿苑で一泊してから、明日にはここに戻るのだそうです。
「一頭ずつ、元の場所まで連れて来られるのですか?」
「いえいえ、勝手にちゃんと元の場所に帰るのです」と教えていただきました。
それにしても、周りで心配そうに見ている雌鹿たちがいじらしい。
その中でも、一頭だけは、ずっと心配そうに見送っています。
周りの鹿たちが「大丈夫だってば」と慰めているように思えます。
何も知らない子鹿は無心にえさを食べてばかりで。
雌鹿はずっと見送るばかり。
少し離れたところでは、すでに除角された雄鹿が「我関せず」と寛いでいました。
奈良の秋の風物詩「鹿の角きり」は、発情期を迎えた雄鹿の角で人がけがをしたり、鹿同士がお互い角で突き合って死傷するのを防ぐために始められたと伝えられている伝統行事です。
その「鹿の角きり」行事は3日間という限られた日数なので、その時に全部の雄鹿の角を切ることができません。そのために、この時期に鹿愛護会によって奈良公園の雄鹿の「除角」が行なわれています。
角を切られた鹿でも繁殖期には縄張りを張って気が荒くなりますので、近づかない様に気をつけて下さい。
「鹿の角きり」
日時:10月11日(土)、12日(日)、13日(月・祝)
12:00~15:00(11:30開場・最終入場14:30)
場所:鹿苑
観覧料:大人(中学生以上)1,000円/子供(小学生)500円
主催:一般財団法人 奈良の鹿愛護会