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2012年10月13日土曜日

平城宮跡で「自然観察会」

今日は「平城宮跡を守る会」主催の自然観察会が、平城宮跡で行なわれました。全国各地で自然観察会の講師をされている谷幸三先生の案内で
平城宮跡を歩き、自然観察会をしながら、平城宮跡のあるべき姿を考えようということで、私も少しの時間でしたが参加致しました。
テレビや新聞などマスコミの取材もたくさんこられていました。
(中央で両手を上げてらっしゃるのが谷先生です。)

まず朱雀門に集合して、舗装工事現場の横を通りながら大極殿まで
途中途中で、先生からちょっとした雑草や昆虫の話など
普段から目にしている葉っぱや草やコオロギやバッタ・・・知っているようで意外に知らない特徴などを教えていただきながら歩きます。
女郎蜘蛛の巣の特徴などは聞いてびっくりの世界でした。
写真ではわかりにくいのですが、一つは蜘蛛自身の住居用、一つは不用物廃棄物用、もう一つは獲物の捕獲用と巣網は平行して三つ作られるのだと教えてもらって(正面からだと重なって見える)一同「ほほーっ」と感心の場面も。

朱雀門から近鉄電車の踏切を渡りススキやヨシの原っぱを抜けると
問題になっている工事現場の南側の柵のところに来ます。
まっすぐ北の方、大極殿を見るとこんな景色です↓
同じ位置から東の方を見るとこんな景色↓
東の端はここから見ると、みやと通りまで舗装されるように見えます。
ものすごく広大な面積が土色舗装されるという嫌な感覚。

初めて平城宮跡に観光で来られた来場者が
駐車場から朱雀門へ行って、そこから大極殿まで行こうとした場合
人工物に覆われた、のっぺりとした魅力の無い広大な敷地を
まず目にして、どういう印象を持たれるのだろうと想像してみると
テーマパークやイベント会場のような印象を持たれるのでは?と
恥ずかしくて堪えられない気持ちになります。

工事現場内の少し高くなっているところが↑
第一次朝堂院跡の復元された基壇です。
草がぼうぼうと伸びて、この基壇が見えなくなったから
土色舗装して広場を整備し往時の広がりを体感してもらうようにするというのが、今回の工事の目的の一つであります。

ただそれだけのために、何故3億円以上の税金を使って、土も生えないような舗装をしなければいけないのでしょうか?
草を刈るだけで充分だと思うのですが。

この工事現場内は先日まですごい草が生い茂っていましたが
今日は埋め立てのためにすっかり草が刈られた状態。
では、2年前の1300年祭の時も草が生い茂っていたのかなぁと思い出してみたら、tetsudaさんのブログを見たら綺麗に刈ってある状態で、復元された基壇もよく見えるのです。
何故この状態じゃダメなのでしょうか?
草ぼうぼうの状態を演出するために2年間草刈りをわざとしなかったのかなぁ・・・。(と勘ぐってみたり)

「広場整備により、朱雀門から第一次大極殿正殿を真正面に見据えて往時の広がりを体感しながらアプローチができるよう」にしたいのなら、真ん中に道を一本作るだけで済むことではないでしょうか。

耳を澄ますと、フェンスの中の工事現場からコオロギの声が。
たくさんのコオロギ達が鳴いていて、虫達は土の中に産卵するというけれど、もう少ししたらセメントでかためられてしまうという理不尽。
平城宮跡は2万羽ものツバメのねぐらとして有名で、そのねぐらのヨシ原がこの工事現場内だったらどうしようと心配していたのですが、ねぐらは工事現場とは重ならないと知り、すこし安心していました。

でも、谷先生から聞いたお話では、そんな単純なことではなく
45000平米もの工事区域は昆虫などが豊富でツバメや野鳥たちの餌場でもあり、ここで腹ごしらえをして栄養をたっぷりと取って、越冬のため南へ飛び立っていくのだから、この広い草地は絶対に舗装してはダメ。
草地を舗装することが生態系の破壊に繋がるのだとお話されました。

「森林浴」と言われるように、植物が出すオイルに癒しの成分があって
森林や草原の中で人は心が癒されるのです!とも仰ってました。
平城宮跡はまさしく「草原浴」ができるところなのですね。

子供は虫取りの天才ですね。


自然観察もたけなわになってきた頃、私は仕事に戻らなければいけなかったので、途中で失礼したのですが、この後の様子は こちらこちらのブログをご覧下さい。

帰りの道中で見つけたヨメナの群生。

実際に平城宮跡に足を運んで感じたのは
やっぱりこの舗装工事は絶対してはいけないことだということです。
動植物 生きとし生けるものの命を奪う無用な工事はやめて下さい。

奈良倶楽部のカウンターに
平城宮跡の埋立て・舗装工事の中止を求める署名用紙を置いています。
10/16に尞美千子さんが上京して国交省に届けるということで
奈良倶楽部でまとめた分を、この日に手渡しました。
(署名にご協力いただいた皆様、ありがとうございました!)
16日以降も引き続き 署名を集めて随時取りまとめて届けるということですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
また「平城宮跡を守る会」こちらからも署名用紙をダウンロードできますので、よろしくお願いいたします。