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2012年10月23日火曜日

県立美術館*「絹谷幸二~豊穣なるイメージ~」展

「絹谷幸二~豊穣なるイメージ~」展が奈良県立美術館で始まりました。
初日のオープニングセレモニーに参加させていただく機会を得て
その後、作家ご本人による作品解説を拝聴しながら作品鑑賞しました。

”古事記編纂1300年記念特別展”と銘打ったこの展覧会には
 古事記を題材にした200号の大作十数点、そして発泡スチロールで製作彩色した見事な立体作品 がずらりと並び、絹谷古事記ワールド全開といった感じで、楽しくわくわくする空間が構成されていました。
(最後の2室が古事記題材の展示室。二階一階にわかれているので要注意)
作品解説中にお聞きしたのは
半年ほどの期間内に200号サイズを20枚描かなければいけない中で
疲労で筆が持てなくなった頃を境に、作品が一皮剥けたというか
一つ高みに上ることができた・・・というような興味深いことを
おっしゃってました。
一心不乱に対象に向き合っていると神様が降りてきて下さる・・・
きっとそのようなことなのかな?(そんな締切り間際まで仕事を開始しなかったのは作家本人によるものなのか、それとも美術館側が間際にノルマを提示されたのか。普通は物理的に無理なスケジュールをよく超人的にこなされたことと思います。こうして自身を追い込んでいくのが絹谷さんの制作スタイルなのかしら?・・・と余計なことを頭の中でぐるぐる思い巡らしながら作品解説を拝聴)
で、一つ高みに上られた作品はきっとこれではないでしょうか↑
「天孫降臨」の場面を描いた作品。アマテラスオオミカミの神勅を受けて、孫神ニニギノミコトが葦原中国の統治のために地上に向かう場面ですが、神様たちの高揚感とかが伝わってきて、好きな作品です。
(初期作品のような説明過多、饒舌すぎる作品はちょっと苦手だったのですが、古事記シリーズは、そういうクドクドしさがなくて、すっきり気持ちいいです。←あくまでも個人的感想)

地上に降り立った 高天原タカマガハラはどこにあるのか、諸説ありますが
奈良県出身の絹谷さんならでは・・・
葛城地方の高天彦神社を描いた「大和高天の原・天孫降臨」↓
その他に大神神社の大鳥居や三輪山を描いたもの↓など
地元民にとっては嬉しい題材をモチーフにされていて
古事記シリーズは、絹谷さんの画業の中で、きっと重要な地位を確立するのではないかと思われました。

作品解説をされていた絹谷さんから奈良県知事へ
最後にさりげなくお願いされていたこと。
「県立美術館をもう少し素敵にして下さい」
「奈良公園の中に新たにガラス張りの新しい美術館を建築してほしい」というような要望でしたが。

これに関して、ちょうどいい機会なので、個人的な希望を書きます。
美術館の新築、そこまでは不要に思います。
場所はここで充分で、建物もこの外観で充分です。
ただし、建物の中は古すぎるし、見にくいし、何よりも動線が悪くて、鑑賞している途中に集中力が途切れて疲れるという改善すべき箇所が幾つもあります。照明、壁の色、床に絨毯などのリフォームなら、新築に比べるとそれほど金額もかからないでしょう。

そして何よりも急務なのは、県立美術館独自のホームページ制作ではないでしょうか。今のような奈良県のHPの中にサイトがある状態から脱却して、もっと集客効果の高い素敵なサイトを是非開設して下さい。(デザインが素敵でないサイトは要らないよ)

さて、このチラシ↑の3種類のデザインは
絹谷さんが教授を務める大阪芸術大学グループの学生さんからデザインを募集して、優秀だった作品をチラシにしたもの。
県立美術館のサイトもデザインを広く募集しても・・と思います。
(お金をかけないためにも、高額な広告制作会社に丸投げしないで)

絹谷さんの画法は「アフレスコ古典技法」というもので
どういう風に描いていかれるか興味がありますが
ちょうど作家によるワークショップも期間中に開催されます。

<関連イベント>
1:講演会 11月4日(日)午後2時~ 奈良県文化会館小ホール
   講師:絹谷幸二氏 ※要事前申込み 詳細は美術館までお問い合せ下さい 
 2:美術講座 11月11日(日)午後2時~ 美術館レクチャールーム  
   講師:南城守学芸課長 ※要観覧券
 3:アフレスコ制作 11月24日(土)午後2時~ 美術館レクチャールーム
    講師:絹谷幸二氏 要事前申込み 詳細は美術館まで
 4:ギャラリートーク 11月18日(日)午後2時~ 美術館レクチャールーム
   県立美術館学芸員 ※要観覧券
 5:列品解説 10月21日(日)、12月1日(土)午後2時~ 当館展示室
   県立美術館学芸員 ※要観覧券
 6:ポスター展(絹谷展ポスター公募作品展)
    大阪芸術大学グループの学生制作の本展覧会のポスター先行応募作品
     美術館ギャラリーで公開されています。
その他、会期中には大阪芸術大学の学生によるパフォーマンス・コンサート等の
イベント多数開催される予定です。

「絹谷幸二~豊穣なるイメージ~」展

会場:奈良県立美術館
会期:12/16まで
休館日:10/22・11/19・11/26・12/3・12/10
※正倉院展会期中は無休
開館時間:9:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
※金・土曜日は19:00まで夜間延長( 入館は閉館30分前まで)
HPから入館料の割引きサービスあり→
※11/16・11/17・11/18は「関西文化の日」で観覧料無料。

奈良倶楽部からも招待券をプレゼントします!
期間中のご宿泊のお客様でご希望の方はメールを下さい。
naraclub★kcn.ne.jp(★を@に変えてください)
4組の方に(お客様一組様に1枚を)差し上げます。
応募が4組に達し次第締切らせていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

ブログ内の作品の画像は展覧会図録から撮影したもので
写真の色目は実際の作品とは少々異なります。