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2014年9月15日月曜日

奈良県大芸術祭「能楽の源流を探る」

秋の奈良を彩る芸術の祭典「奈良県大芸術祭」(←についての説明はこちら)のオープニングイベントとして『能楽の源流を探る』という催しが奈良県新公会堂能楽ホールであり、参加してきました。
第1部:映画監督篠田正浩氏のトークショー。聞き手は倉橋みどりさん。
第2部:奈良豆比古神社「翁舞」

開演中は撮影禁止でしたので、篠田監督と倉橋さんのユーモア溢れた絶妙な掛け合いや「翁舞」の臨場感が伝わりにくいかもしれませんが。

まず第1部でのトークショーから・・・
なぜ映画監督の篠田正浩氏が「翁舞」と関係あるのでしょうか?
篠田氏は2003年に映画監督を引退した後、芸能の歩みを体系的に叙述した「河原者ノススメ-死穢と修羅の記憶」を発表されたのですが、その本を書きあげるきっかけになったのが、奈良豆比古神社の翁舞だったそうです。
芸能の発祥は、神様の荒御霊を鎮め楽しんでもらうために。
神様に見せるものだけであった芸能に、観客が生まれた最初が興福寺の薪能だった。
芝居の語源となる芝舞台もそれ以前の土舞台も奈良で行なわれたものだった。・・・等々「芸能のルーツ・能楽の源流は奈良にあり」という話をわかりやすく説かれます。
奈良時代、大仏開眼供養会に奉納された芸能は東アジアのもので、その時の「伎楽面」が、鎌倉・室町と武士が芸能のパトロンとなり洗練されていく中で「能面」と変わっていったというお話。
この「伎楽面」から「能面」へ日本化していく変遷で、一番最初が「翁面」に変わっていったのだというお話。
つまり、奈良豆比古神社の翁舞は、能や狂言が発展する以前の形式を残すものだということで、日本の芸能史上、極めて重要なものなのです。
梅原猛氏も「 翁舞は芸能を志す者は絶対見るべきもので、その中でも奈良豆比古神社のは、古い伝統形式を伝えている」と云われているそうです。

第2部は、奈良阪町「 翁舞保存会」による実演です。
写真は開演前に撮影されたもの。(知人のMさんより拝借)
以前2007年に、私も奈良豆比古神社の翁舞を拝見しているのですが、演者は神様に奉納されるので、観客は後ろ姿を拝見することになります。(ブログの記事はこちら
今日の実演では、観客席に向かって舞われたので、正面から拝見でき、(私は入場したのが遅かったので、横側から拝見でしたが)混み合ってないところでゆっくりと解説書と照らし合わせながらの鑑賞。これは大変貴重なことでした。
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奈良豆比古神社の「翁舞」は毎年10月8日の夜に奉納されます。
今日いただいた解説書は、当日ご宿泊の客さまにご覧いただけるように致しますね。(予習していくと、よりわかりやすいです)
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ところで、今日の開演前に、奈良県職員の方のご挨拶の中で
文化芸術にかける時間で、奈良県は東京都に次いで全国2位だそうです。(どういう計測法かはわかりませんが、京都を押さえてというのが単純に嬉しい奈良バカの私です)
・・・ということで、11/30までの3ヶ月間、県内各地でさまざまなイベントが開催される「奈良県大芸術祭」も要チェックです。