平城宮跡で上演された維新派の舞台「アマハラ」を観てきました。
廃船をイメージして造られた舞台。
正面にちょうど生駒山が遠望でき、17時15分の開演から刻一刻と暮れゆく空の色をも背景に、あっという間の2時間。
素晴らしい舞台を味わってきました。
維新派は20年以上前に一度、大阪南港で観たことがあってそれ以来になります。当時はもっと前衛的な舞台で、理解出来ないところもあり、その後続いて観ることもなかったのですが。
今回は地元奈良で、それも平城宮跡での上演。
また主宰の松本さんが6月に亡くなられて、この公演が維新派最後の舞台になるということで、最後にやはり観ておきたいと、長い時を経て観る機会を得たのでした。
平城宮跡の広大な草地に、遮るもののない空の広さ。夕刻の美しい空の変化に心を奪われながら、小気味よいテンポの台詞、繰り返される言葉や動きからイメージがどんどん湧き上がり、ここはこういう世界かな?こういう展開かな?と、またどんどん想像力が膨れていくのです。
音・色・空間・言葉・身体表現・・・五感を通して広がる人間の想像力って無限大なんだなぁとか、人生って捨てたものじゃないなとか、そんなことまで思ったのです。
もっと観ておけばよかったと後悔するくらい、本当にいい舞台でした。
「どこへ行くの」「どこから来たの」とか「また会える?合図するよ」というようなニュアンスの台詞がずーっと心に残っています。
きっと人生は旅の途中、あちらの世界もこちらの世界も繋がっているのでしょうね。
舞台が終わって、併設の屋台村で美味しいものをいただいたり
屋台村だけをお目当てに来られている方も多く、たくさんの友人知人にも会えました。パフォーマンスを楽しみながら、「ここはどこ?」「ここは奈良?」「今はいつ?」アジアのどこかの国の雑踏の中にいる錯覚を味わってました。
時空を越えて想像の翼が広がる空間、平城宮跡。
この何もない原っぱで一夜の夢を楽しませてもらったのでした。