10月4日
西大寺で行われた、玉岡かおる先生の講演会に夕方から参加し、その後、午後7時から「光明真言土砂加持大法会」を初めて聴聞させていただきました。
「光明真言土砂加持大法会」とは、西大寺を総本山とする真言律宗一門の最大の年中行事で、興正菩薩叡尊により、1264年から始められ、一度も途切れることなく執り行われている大法会です。
毎年10月3日から5日まで3昼夜休むことなく厳修されており、「オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン」という23の文字で構成される光明真言を唱え、本尊釈迦如来前に奥の院から採取された土砂を置きその土砂を加持(光明真言の功徳で加持する)していくというもの。
・・・というような予備知識をHPで仕入れて臨んだ午後7時の「総番」
唱えられる光明真言は一音一音の速度が想像以上にゆっくりでびっくりしました。そうして15分ほど経った頃、一人だけ鼠色の僧衣を着けた若い僧侶さまが登場して、五体投地を始められます。これが俗に「提灯たたみ」とも呼ばれる「綱維問訊」という作法だと、その所作で理解できたのですが。
その所作は、上体は直立したまま、段々身体を沈め膝をつき腰を曲げ、上体を倒して頭を床につけ伏せるまでの動作を7~8分かけて行い、そしてまた同じ時間をかけて元の姿勢に戻っていくというもの。(その姿がまるで提灯をたたむようであることから「提灯たたみ」と呼ばれるのだそうです。)
超スローモーションな動作を息をつめて見つめる聴聞者たち。
この15分ほどの間、不思議と堂内は静寂に包まれて、その想像を絶する体力の限界・辛さに、ぐーっと力を入れて聴聞していたのでした。
「綱維問訊」(提灯たたみ)が終われば、出仕の僧侶全員で光明真言を唱えながら堂内を回る「光明真言行道」となります。
これもまた不思議な作法で、一音唱えるごとに畳一畳ほどを進んでは止まり、止まっては進みながら堂内を回っていくのです。
3周くらい回られたでしょうか・・・。何しろ二月堂修二会のように堂内真っ暗ではなく、本堂内陣の煌く燈籠の灯りの元、幾重にも低音の声が重なり唱えられる音の輪に満たされる堂内。
静粛で荘厳な祈りの空間に身を置けたことがありがたかったのでした。
この後には法話があり、その前に失礼したのでしたが、750年以上一度も途切れることなく続く法会の奥の深さに、また来年も拝観できればと思ったのでした。
この不思議な明かりは、西大寺境内で同時期に催されていたイベント「十五夜の宴」の中の、ミラーボーラーという光のインスタレーション。
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この「十五夜の宴」の中のイベントで、玉岡かおる先生の講演もありました。
お話のタイトルは「なぜ孝謙称徳帝は闇に葬られた~逆説で読み解く女帝の時代の終わりと未来」・・・昨年出版された先生の「天平の女帝 孝謙称徳」の小説が非常に面白かったので楽しみに伺った講演会でした。
称徳帝の勅願により開創された西大寺での講演ということで、大変熱のこもったお話となりました。玉岡先生の見解は小説家としての想像力を武器に、女性天皇を今後作らせないためにも、藤原氏によって孝謙称徳帝の遺徳は随分と闇に葬られているのではないかという説で、女性ならではの視点と、私たち女性ならではの聴衆の見解は完全に一致して、男性聴衆者なら「?」かもしれませんが、先生の想像力を痛快に感じた講演会でした。
さて、孝謙称徳帝のお話がでたのでちょこっとお知らせ。
ブログでも何度もご紹介してご存知の方も多いのですが
10/9と10/10に西大寺で、倉橋みどりさん・生駒あさみさんが主宰する「奈良時代の女性たちの祈りを歩く」講座が開催されます。
まだもう少し人数に空きがあるようなので、詳しい内容を記しておきます。
興味を持たれた方は是非お問合せ申込みくださいね。申込みはこちら★
(一日だけの受講もOKだそうです。)
孝謙・称徳天皇がテーマの第3回講座の内容は・・・
10/9:法華寺13時集合
・法華寺・光月亭で倉橋・生駒のミニレクチャー
・法華寺・海龍王寺参拝
・西大寺に移動して、四王堂で護摩焚き
・四王堂で西大寺清浄院・佐伯俊源師のお話
※夕方から猿沢池cotocotoで懇親会あり(別料金・希望者別途申し込み)
10/10:西大寺10時集合
・貸切で大茶盛体験
・本堂や愛染堂など、各お堂の参拝
・昼休み
※希望者のみ事前申し込みでお弁当のご注文承ります。
・昼休みにはおでかけフルコト開催
・13時から京都女子大名誉教授・瀧波貞子先生による講演会
◎講演会終了後、普段の参拝時には上ることができない、塔跡に上っていただくことができます。