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2011年6月15日水曜日

奈良県立美術館 館蔵品展「安土桃山〜江戸時代に生きた人々」

奈良県立美術館が所蔵する「吉川観方コレクション」。
画家であり風俗研究家として活躍した吉川観方(1894-1979)が生涯にわたって集めた約3万点におよぶ日本最大級の風俗収集品のうち、奈良県立美術館には室町〜江戸時代の日本画、浮世絵、各種工芸品などが寄贈されました。(県立美術館は吉川観方コレクションの寄贈を機に1973年開館しました。)
今回の展覧会ではこの「観方コレクション」の中から室町〜江戸時代に描かれた肖像画 ・風俗画 ・年中行事絵・浮世絵を中心に、その時代に生きた人々の生活や人生を見ていこうと企画されたものです。

館蔵品展ではボランティアによる展示解説を受けることができます。
ガイドの方の詳しい説明は作品鑑賞の上で随分プラスになります。

展示は3つのコーナーに分かれて、最初は肖像画のコーナー。
ここに、大河ドラマで有名な淀殿の肖像画と伝えられている「伝 淀殿画像」が期間限定(6/19まで)で展示中!なのですが・・・。

おそらくこの展覧会の目玉なのでしょうね。
前々回の「小袖展」(これも「観方コレクション」です)では この肖像画の小袖文様と同じ裂と、それを元に復元された小袖が展示されていました。

小袖展では着物がメイン、今回は絵画がメイン。
なのでそれぞれの展覧会の主旨から外れているのを承知で希望しますが、淀殿の肖像画とその衣装の古裂と復元衣装の3つをバーンと思い切って展示していただければ、インパクトがもっとあって、大河ドラマ「江」のファンも押し寄せるくらいすごいのではと思いました。(素人が口を挟むんで申し訳ございませんが、少し地味目な展示の印象でしたので・・・。)

また、第2第3のコーナーの江戸時代の風俗画や浮世絵からは
当時の人々の人生を楽しむ様子が生き生きと感じられ
どれもこれもじっくり拝見すると、何て楽しい江戸の町!と
その頃の生活がとても身近に思えるいい作品群が並んでいます。
「蛍美人図」では着物の呂の透け感までよく表現されていますし。
(パンフの写真の左下↑)
吉原の風俗を描いた屏風の絵にも何気に凄い内容のものがあったり。

毎回思うのですが、館蔵品展ではとてもいい作品や、誰でも知っている高名な作者の作品が、地味に密やかに展示されていて、県立美術館って謙虚すぎる!勿体無いからもっと宣伝しましょう!って言いたくなるのです。今回もですが・・・。
十返舎一九の描いた「千利休像」とか
葛飾北斎の「瑞亀図」
司馬江漢が描いた「江戸橋より中洲を望む図」など。
この 「江戸橋より中洲を望む図」は西洋絵画の影響を受けた技法で描かれているのだそうで、遠近感や人物の半身側につける陰影など、説明を聞いてなるほどと思いました。

さて、2階に展示のこの3つのコーナー以外に
1階では浮世絵版画のとてもいいのがたくさん展示されています。
この1階の展示室は見落としがちになりますので、慌てて出口に行かないようにして下さいね。(ここらへんの誘導もわかりにくいです。)

少々退色していますが、喜多川歌麿「美人花見図」
歌川広重「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」
歌川広重「名所江戸百景 佃しま住吉の祭」

歌川豊国の色町の女性達を描いた浮世絵は当時ブームだったらしいのですが紅を使わないで制作したものもあります。また藍色だけで描いた浮世絵もあって、この1階展示室の浮世絵はどれもこれも素晴らしかったです。

ちょうど大阪では「歌川国芳」が、東京では「東洲斎写楽」と
浮世絵作品の展覧会が相次いで開催されていましたので
うまくブームにひっかけて宣伝してもよかったのにと思いました。

展示方法は地味でしたが、よい作品も多く見応えのある展覧会ですので、この機会にぜひどうぞご覧下さい。(6/7鑑賞)

奈良県立美術館
館蔵品展「安土桃山〜江戸時代に生きた人々」
会期:〜7月3日
開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日

(ブログ内の画像は美術館の絵葉書やパンフより写しています。)