第1回現場見学会(2012年3月)に参加して以来になりますが
正倉院の屋根瓦葺き替え工事も終盤、第4回現場見学会では、ほとんどの平瓦の葺き替えが終わっている状態を見学させて頂きました。
3階の屋根のところまで。第1回見学会では、屋根瓦がまだ撤去される前の状態だったので、ここまで上がって、この屋根瓦を見た時は、随分綺麗になったなぁと思わず感心してしまいました。こちらは東面の屋根↓
東面は、陽当たりなどの環境が比較的良く、今後の外構公開で見ることができる正面になるところ。平瓦は中央に室町・慶長時代及び江戸時代の再用瓦(一部は鎌倉・明治再用平瓦)を配置して、残りの両サイドの平瓦は、今回新規製作した伝統製法瓦を配置しています。
↑写真で見ても時代別に瓦の色が違って識別できます。
こちらは北面↓
瓦の右端に7や8などの番号が書かれています。
番号が大きいほど瓦のそりが大きいということで
この写真には一枚だけ9と書かれた瓦があります。↓
北面の瓦は全部現代製法瓦ですが、一枚ずつ微妙に色目が違います。
これは焼いた時の窯の状態で微妙に色目が違ってくるのだそうです。
西面の瓦も北面と同じ 新規に作られた現代製法瓦です。
これから平瓦に丸瓦を取り付けていくのですが
その途中経過がわかるようになっています。
ぐるっと屋根の回りを一周して、こちらは南面です↓
南面は、他の面と比べて日当たり等環境が良好なため、古い時代の再用瓦を配置しています。南面の中央あたりは鎌倉時代の瓦↑
雨の流量が少ない両端に、創建当初の天平時代の再用瓦↓
軒平瓦は天平時代のものが残っていなかったため、慶長の再用瓦を配置。中央の、鎌倉時代の平瓦には、鎌倉時代の軒平瓦を合わせて配置し、不足した中央部分には室町、江戸時代の再用瓦を配置しています。
東南方面から見て↑手前の東面の新しい瓦と
向こうの南面サイドの天平時代の瓦の対比の妙。
今回、正倉の工事で降ろした平瓦約21,200枚の内、約5,100枚(全体の24%)を、軒平瓦は約380枚の内、約190枚(全体の50%)を再用しています。
南面・東面は、瓦を土で固定する土葺(東面の丸桁より軒先の瓦は空葺)、残りの北面・西面は、土を用いないで、桟木に釘で留めつける空葺を採用しています。
(文章はすべて、当日いただいたパンフより流用)
また鬼瓦では・・・北東隅二の瓦だけ新しく作られました。
写真左が新規作製の瓦です。↑
採用される慶長年間の鬼瓦 ↓↑
::
工事工程は、これから平成26年1月に正倉本体の工事終了して
4月に素屋根解体、周辺復旧。来年平成26年11月に正倉外構公開再開(予定)という計画になっていて、来年2月頃に第5回目の工事現場見学会を予定しているということです。
最後に、3階部分の見学スペースから見えた風景++
遠く興福寺の五重塔や中程には戒壇堂の屋根が見えます↓
こちらからは、大仏殿や、正倉院の構内にもう一つある校倉「聖語蔵しょうごぞう」、そして御蓋山も見えますよ。
緑の樹海の中に見える瓦屋根の美しきこと。