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2016年5月23日月曜日

春日大社から笠置寺へ「春日移し」

春日大社では、御本殿が国宝指定された明治以降の式年造替では建替えができなくなりましたが、かつては御本殿を建替え、旧本殿などを近隣の神社に移築させる「春日移し」という習わしがありました。
ただ、国宝指定をされていない社殿は建替えができるということで、今回の式年造替に際しては、摂社・本宮神社が新しく建替えられて、その旧社殿が笠置寺へ移されることとなりました。
御蓋山の浮雲の峰に座します本宮神社の旧社殿。
本日11時から祓戸神社でお祓式が行なわれ、お神輿のように担いで駐車場まで運ばれて行く様子を見学させていただきました。
春日大社花山院宮司はじめ神職の方々と、笠置寺のご住職のお姿も見え
この後の祓戸神社でのお祓式は神事につき、撮影禁止でしたが
大祓詞を一緒に奏上しながら拝見させていただきました。
お祓式が終わってお社を担いで駐車場まで。
神仏習合が当たり前のように行なわれている南都奈良ではの風景です。

そして、無事荷台に乗せて笠置寺に向かわれました。
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なぜ笠置寺へ春日移しされたのでしょうか?
新聞報道などによりますと・・・

鎌倉幕府倒幕を目指した後醍醐天皇が挙兵し、幕府軍との戦いとなった元弘の乱で焼失した笠置寺の春日神社が、685年ぶりに再興されることになった。
春日大社の式年造替に伴い摂社・本宮神社の旧社殿が移設されることになったもので、6月に御分霊が行われる。
 鎌倉時代、奈良・興福寺から笠置寺に入山した僧・貞慶解脱上人は春日信仰に厚く、笠置寺に春日大明神を勧請。六角堂近くに春日神社を建立したと伝わる。しかし元弘元(1331)年の元弘の乱で、幕府軍により笠置寺はことごとく焼失。春日神社もその姿を消し、再興されることはなかった。 
春日大社では20年に一度の式年造替が行われており、春日大社の摂社である本宮神社の社殿も造り替えた。
春日大社や笠置寺によると、参拝の笠置町の人を通じて移設の話が出たのがきっかけとなり、鎌倉時代の絵巻物「春日権現験記」に描かれた笠置寺の春日神社を資料に、本宮神社の旧社殿を笠置寺に移設することになった。
移設場所は笠置寺の鎮守社である椿本護王宮の隣で、地鎮祭も行われた。
高さ約1・8メートル、幅約0・7メートル、奥行き約1メートルの旧社殿は修復され、今月23日に移設、6月1日に御分霊される予定。
春日大社は「春日信仰の厚かった貞慶ゆかりの笠置寺でおまつりいただくことはありがたいこと」とし、笠置寺の小林住職も「笠置町が、春日大社さんと昔からご縁があるすばらしいまちということを、地元の方をはじめ広く知っていただければ」と話している。

お祓式の様子を拝見した後は飛火野へ、御蓋山にもご挨拶。

「春日移し」の社殿が見られる神社などは・・・・



【奈良県内】鏡神社(奈良市)、夜支布山口神社(奈良市)、龍池神社(五條市)、葛木御歳神社(御所市)、墨坂神社(宇陀市)、龍穴神社(宇陀市)、杵築神社(安堵町)、比売久波神社(川西町)など
【近隣府県】岡田鴨神社、国栖神社、恭仁神社(いずれも京都府木津川市)、杭全神社(大阪市)、百済王神社(大阪府枚方市)など