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2017年9月19日火曜日

夕景に、旅立った人を偲ぶ*

この美しい夕空は 9/13の奈良の空。
私事ですが、この日の早朝、父が静かに安らかに息を引き取りました。
それから、諸々の手配や段取りに追われる中で、ふっと胸が締め付けられたり、心にぽっかり穴が開いたような気持になったりする瞬間が何度もあり、そのたびに喪失感や寂寥感と向き合う気持ちに蓋をして、日常の細々を片付ける。
ただ、この夕景を見たときだけは「お父さん、もうどこらへんまで行かはったんやろう」「もうこの世でこの空の色を眺めることはないんやなぁ」そんなことを想って涙ぐんでしまいました。




奈良倶楽部を開業してからの父との思い出・・・
盆栽が趣味だった父に「盆栽よりも、奈良倶楽部に生けられるようなお花を育ててほしい」と頼んだら、すぐに庭に色々なお花を植えてくれて、今は随分少なくなっているけれど、紫蘭・鳴子百合・アヤメ・花菖蒲・白山吹・紫苑・ホトトギス・シャガ・高砂百合・檜扇水仙・紫陽花などの和花を育ててくれました。
今思い返してもセンスのいい選択。蕾が開きかけのちょうどいい時期に「取りにおいで」と呼ばれて、そんなひとときも思い出の中・・・。
うちの子供たちが幼稚園・小学校の時は、宿泊業の忙しさは半端なく、運動会や発表会などに出られない私たちの代わりに見に行ってくれて、その時からカメラいじりが好きになり、仕事を辞めた後の余暇にと、奈良倶楽部の近所の若草公民館の写真教室に申し込んだのは、父が65歳の時。それからのカメラをモノにしてからの父の大躍進は素晴らしく、少し自慢の父でした。
私の撮った写真の、構図を褒めてくれたりダメ出ししたり。私が写真の構図にこだわるのは父の影響もあるのだと思っています。
また、現役時代の父は大変厳しい人で、父の生き方から「プロフェッショナル」という言葉を知り、その言葉の重みについて学んだように思います。
自分の子供達には大変厳しい父でしたが、孫やひ孫達にはとても優しいおじいちゃんで、あちこち遊びにつれてくれては面倒をみてくれていました。(実は、孫ができてからの父の豹変ぶりは今でも驚きなのです。)
最期は大勢の家族みんなに見送られて、しめやかな中にも賑やかなお別れとなりました。ありがとうね、お父さん。