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2010年7月14日水曜日

高麗美術館『浅川伯教・巧が愛した朝鮮美術』展と他にも・・*

 <<下段に追記あり>>

李朝喫茶「李青」で開催中の『李朝の「木偶」展』を目的に京都まで。
せっかくだから他にもいろいろ観て廻ろうとあちらこちらへ。

そもそも李青で展示中の 「木偶」(韓国語でモグゥと発音)は
高麗美術館研究員の山本俊介氏と李青店主の鄭さんのコレクション。
ならば、まずは高麗美術館から廻りましょう。

◇高麗美術館『浅川伯教・巧が愛した朝鮮美術』

1910年代の日本の植民地支配下にあった朝鮮に暮らし
純粋に朝鮮の人と風土を愛し、その地と心通わせ、柳宗悦、富本憲吉、
河井寛次郎、濱田庄司など多くの人に影響を与えた浅川伯教・巧兄弟。

当時、日本人のコレクター達が収集していたのは「高麗焼」と呼ばれた
高麗青磁でしたが、単に生活品として作られた素朴な朝鮮白磁、誰も
見向きもしなかった李朝の白磁に浅川兄弟は心惹かれ収集を始めます。

展覧会では浅川兄弟が好んだ陶磁や木工家具、自筆の日記や絵画資料、
柳宗悦、富本憲吉などゆかりの品々を写真、書籍とともに展示して
彼らの純朴な視線と朝鮮工芸の魅力を紹介しています。

それにしても、溜息が出るような「美意識」を持った人達です。
浅川兄弟が収集した白磁壷や茶碗を見ていると羨ましくも感じます。
白磁の大きな壷は まったりとして大らか。それでいて粗くはなく
緻密であり、素朴な風合いだけれど洗練されているし。
壷に限らず 茶碗も水差しもどれもこれもがそう。
無造作に作られた雑器の中から、お気に入りを選ぶ愉しみもあったのでしょうね。一つ一つの陶磁器から収集した当時の息づかいが伝わってきそうです。

この展覧会は8/15まで。詳細は高麗美術館のサイトで。
いいものを観て目を養うという点からいっても秀逸な展覧会。
お奨めです☆

この後は、同じ日に京都で所用があるというこの方と待ち合わせの
「李青」さんへ・・・。(「木偶」展については次回に記します。)
そして、
◇細見美術館『中国の小さなやきもの−美は掌中に在り−』
これはこれは!とうっとり見惚れてしまうほどの愛らしいやきもの達。
こちらも清涼の一服のようなお奨め展覧会でした。7/25までです。

◇何必館『没後180年 良寛遺墨展』

◇GALLERY Maronie『水仁舎の仕事−本が語るもの−』

こちらは、デザインを含め、原稿の編集から製本、完成まで
本の「装丁」を原則一人で行ってらっしゃる北見俊一さんの個展。

ギャラリーのHPには
編集から本文レイアウト、校正、デザイン、そして製本、製函まで
全工程のほとんどを一人でやっています。手仕事です。
紙の切り口、クロスの処理、箔押しの微調整、ケースへの収まり具合
などなど、小さなことを一つ一つ積み重ねると本全体の表情は大きく変わってきます。情報を読むだけの本にはこんなことは必要ありません。
詩集やエッセイなどの人間の精神・思考・感情の所産である本の場合には内容を読むと同時に本そのものを読むということがあってもよいとおもいます。
内容を読み込んだ作り手の想いや思考が具体的にどんな風に
本に実現されているか、リーフレットから革装本まで、
生身の人間としてのよい意味での手の痕跡をご覧ください。

・・・とありました。
これを一度に何十冊何百冊と作られるというのですから
想像もつかないような大変なお仕事だと思います。
でも展示されているのは、そのような手仕事の大変さを感じさせない
涼しい顔した美しい本たち。 こちらの展覧会は7/18まで。
詳細はGALLERY Maronie(ギャラリーマロニエ)のサイトで。

どしゃ降りの雨の日に、怒濤の展覧会イッキ巡り++

「私達、こんなに体力あったっけ?」とか言いながら、途中に
鍵善の葛きりと梅園のみたらし団子という甘味で栄養補給も忘れず
京都のギャラリー巡りを楽しんできたのでした。

何必館『没後180年 良寛遺墨展』については後日に書いて下さるであろう
「まほろば・・・つれづれ日記」に丸投げしておきますね〜。