先日お泊まりいただいたお客さまが、ご自身のブログに
「奈良のFive Oclock&奈良のHotel」と題して、
以下のような文章を書いてらっしゃいました。
(本文掲載については承諾を得ています。)
「奈良の5時を体験したことある?」以前友人が尋ねてきたことです。
奈良では5時になると全ての寺院の門が閉じられ、観光客は家路につき
鹿たちも林の中に消え、そこに神さまがご降臨されるのだとか・・・。
その話を聞いて以来、ずっと奈良の5時に憧れ続けてきました。
ただ一度だけ、2007年、奈良博での「美麗展」、
あの荘厳なる仏教美術に遭遇した帰り、雷雨のあとに鈍色に輝く美しい
雲が顕れ、思わず手を合わせてしまったことはありましたが・・・。
でも、友人は5時と言いましたが、実際には5時というより6時くらいに
ならないと人影は消えません。また大抵京都に宿をとって行動するため
6時過ぎまで奈良にいることはなかなか難しいこと。
それが今回の旅では2泊も奈良に泊まることができました。
宿泊は、以前WEBで偶然見つけた「奈良倶楽部」。
「奈良倶楽部通信」というホテルのオーナーさんによるブログの、
あまりに洗練された、あたたかか文章と画像に心惹かれ、
いつかは宿泊してみたいと願っていて、それが今回叶ったのです。
そぼ降る雨の夜、住宅街を抜けてタクシーで到着すると、
オーナーの谷さんが迎えてくださいました。
既にメー ルでのやりとりがあり、初めてお会いする気がしません。
想像通り、清潔で洗練された雰囲気に溢れた大人のプチホテル。
廊下や階段のそこここに紫陽花がガラスの花器に生けられ、
窓辺のインテリアは韓国のポジャギという布。素朴であるのに、まるで
ディ スチールのモンドリアン的スタイリッシュな景色となるのが見事。
部屋のなかにも素敵なカーテンの小さな窓がひとつ。
昔泊まったローマのホテルを思い出しました。雨が似合う窓です。
そして一番の感動はホテルの朝食。野菜たっぷり、彩りも美しいワンプレートは絵画のよう。焼きたてのパンと薫り高い紅茶と、小鳥の囀りと
そこはかとなく漂うバロックの音色。
そこはかとなく漂うバロックの音色。
閑雅な朝食はもてなしのエスプリを心ゆくまで堪能させてくれました。
この朝食のために、またここに帰ってきたいと思う方は多いはず。
そして奈良5時体験はといえば・・興福寺・東大寺・平城京跡会場を
巡って夕刻、ご一緒して下さった友人は京都に戻り、
ひとりJR奈良駅から三条通りを散策し、猿沢の池を眺めながら
再び黄昏せまる興福寺へ。既に時刻は7時近くに。
石段で松ぼっくりを拾い、人気のない境内へ上がると、思わず深呼吸を
したくなる程の静寂と清々しさがあたり一面に広がっていました。
神様の存在が感じられるほど、研ぎ澄まされた高次な感性にはなれませんでしたが、でも、かなりの距離を歩いたのにも拘わらず疲れはなく、やすらかな不思議な充足感を感じました。そして、おまもりいただいている、そんなやすらぎに浸れたのでした。
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奈良倶楽部のこともとても素敵に書いて下さって
自分でも面映いのですが、全文掲載させていただいたのは
「奈良の5時体験」 について、話題に取り上げてみたかったのです。
「奈良のFive Oclock」という言葉は初めて聞きました。
季節によっては5時ではなく6時や7時の場合もありますが
確かに。寺院の閉門時間のあとの、先ほどまでの賑わいはどこへやら
誰もいなくなったその場所が、あまりに静かでひっそりとして。
静寂に包まれた空間に、清々しさや神々しさ、安らぎや
何かのインスピレーションを感じる場合もあるでしょう。
奈良の地元の人間にとっては、潮が引いたような人の気配の無さが
観光地としてどうかなと思えなくはないのですが
そういうようなマイナス的な捉え方も、視点を変えれば
「奈良のFive Oclock」という美しい言葉で、奈良の土地が持つ
磁場のようなものを魅力的に伝えることができるのだと思いました。
訪れる人が思い描く奈良への憧れと、暮らす人が感じる奈良とは
少々イメージが違うところもあるかもしれません。
でも、できるだけ奈良の魅力について同じ感性を共有したいものと
思いました。(特に観光産業に携わる私達こそ)
トップの画像は2008年3/25 17:30頃に撮影の東大寺大仏殿前。
この日の日記でも、少し前の人波が嘘のような静けさ・・・。
奈良の観光地の夜の人出は昼間の喧騒が嘘のような静けさで
季節ごとでも週ごとでも一日の中でも、「オン」と「オフ」の
落差が激しいのです。
・・・と書いています。人影もなく閑散とした東大寺界隈・・と季節ごとでも週ごとでも一日の中でも、「オン」と「オフ」の
落差が激しいのです。
いうような認識になってしまってますね。
同じようなことでも「奈良の夜は暗くて寂しい」と捉えるのと
「誰もいなくなった境内に静寂が広がり神々しいばかり」と
ロマンティックに考えるのでは印象が違いますね。
この独特の、静寂も奈良の魅力の一つと
これからはその魅力をもっと楽しむように致しましょう。
違った視点で物事を捉えるきっかけを作って下さったお客さま、
この度はどうもありがとうございました。