ページ

2011年10月17日月曜日

墨アートと匠の技と*「久音」松柏美術館


青空に映える美しい現代建築の松柏美術館。

もう10日ほど前のことですが、美術館敷地内にある
故佐伯勇近鉄名誉会長旧邸で、島谷愛先生の「書と墨ART」と
萬谷歓峯先生の「飾管筆、茶入、香合」などの作品展「久音」が開催されていました。(この作品展はすでに終了しています。)


島谷先生のお弟子さんの加藤史江さんから茶室「伯泉亭」でのお茶会にもお誘いいただき、しをんさんと二人で行ってまいりました。



この日の様子は、しをんさんが早々にブログで紹介して下さってますが、二人して一緒に感動したのが、「伯泉亭」床の間のお軸です。

真っ白い掛け軸の中心部分少し外したところに、薄く削がれた直径20~30cmほどの古材片。古材の年輪の中に、流れるように美しく書かれた「有為」という文字。
もうこれ以上、足すことも引くこともできないくらい引き締まった静謐な世界がそこには有りました。

この古材は過去に2度も焼失被災した斑鳩・法輪寺三重塔のもので、度々の被災に遭いながらも見事復興を遂げられた歴史に因んで、このたびの東北大震災の復興への祈りを込めて書かれた作品です。

書の他にも、墨を使って絵画表現した墨ARTも何点か旧邸に展示されていて、80歳代後半(もうすぐ90歳とおっしゃって本当にびっくり!)の方がこれほどモダンでエッジが利いたセンスのいい作品を創られることにも感動いたしました。
島谷先生ご自身はとても柔らかな印象の方で、年齢を重ねていくことは、また素敵なことでもあるのだと、生き方の一つを教わったようでした。

萬谷歓峯先生は、実は以前にも作品を拝見したことがあった先生でした。(3年前のブログにも作品を載せさせていただいていました。)
そこにも感想を書いていますが「厳しくも確かな美意識が集結された匠の技」「清潔で簡潔で美しく引き締まっている」ということを、今回も同じように感じました。
そしてまた、会場を後にして「あぁ、いいものを見せていただいたなあ」と思ったのでした。


松柏美術館の庭には「炉開き椿」がもう咲いていました。