ページ

2018年6月11日月曜日

「オットー・ネ―ベル」展

京都文化博物館で開催中の「オットー・ネ―ベル」展を観てきました。
「色彩の画家」「知らぜらる画家」などの枕詞がチラシにも書かれていましたが、こんなにクレーやカンディンスキーと同時代にお互いに影響しあい、よく似た作品もある画家を、何故今まで知らなかったのだろうと不思議に思うくらい、好みの作品ばかり。
おまけにクレーやカンディンスキーやシャガールなど、私の好きな画家の作品も同時展示という嬉しい展覧会。
チラシにも使われているメインビジュアルの この絵↑は、実は作品ではなく、「イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)」のナポリの色彩地図で、トップの写真の絵はポンペイの色彩地図です。
イタリアに滞在した3か月間に制作された「イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)」は、画家がイタリアの各都市の光景を眺めた際に湧きあがった感情や、風景の中の色彩などをカタログ化したもの。
響きが際立ったものほど大きく描かれていて、この尺度が以後の絵画制作に必要不可欠な基礎となったそうです。
図録よりの引用ですが・・・
例えば「シエナⅢ」という作品↓は、レンガ色の建築物の土色が全体を支配し、濃淡、赤錆色とオリーブ色のアクセントでリズムが与えられていて、上のカラーアトラス↑が生かされている・・・ということだそうです。
その土地の風土や光景を、色彩・光・響き・ニュアンスとして捉えて記録するという手法。これは案外できそうで難しいかもしれませんが、でも一度試してみたいですね。
会場では、写真撮影可の作品も一部ありました。
::
若き頃に建築技術も学んだ画家の描く「建築的景観」は、単なるコンポジション的な作品でなく、よく観察された上での単純化された抽象画。
カンディンスキーとも共鳴しあう音楽的要素を取り入れた作品。
 スイスに亡命してからの抽象画の自由で踊るような画面。
 記号化したルーン文字を絵画表現した作品。
俳優としても活躍した画家の描く人物画。
晩年の近東シリーズは、目指してきた抽象画の集大成ではないかと思えるくらい、凝縮した美を感じる素晴らしい作品ばかり。
::
図録より、一部の作品の写真を掲載しましたが
一人の画家の生涯の絵画作品を通してみる多様性に感心しながらも
若き初期の頃の、夢がいっぱい詰まったような色彩があふれる作品もまた楽しいと、ずっと心躍らせて鑑賞した展覧会でした。
::
「オットー・ネ―ベル」展
会期:6/24(日)まで
休館日:月曜日
開室時間:10:00〜18:00 / 金曜日は19:30まで(入室はそれぞれ30分前まで)
会場:京都文化博物館