ページ

2018年6月14日木曜日

東大寺本坊「古美術からみる東大寺の美」

東大寺ミュージアム休館(4/16~9/14)のかわりに企画されている「東大寺本坊でのイベント」の数々。今日から始まった
白洲 信哉氏キューレーションによる「古美術からみる東大寺の美~二月堂焼経と日の丸盆を中心に~」を観に行ってきました。
東大寺創建よりおよそ1300年という長い間遺されてきた什器などの古美術品と共に、小泉淳作画伯 東大寺本坊襖絵「蓮絵」も特別陳列された展覧会。
まず最初に入った大広間。小泉画伯の蓮絵は何度見ても圧巻で、その襖絵の前に「二月堂練行衆盤(日の丸盆)」9点が並べられていました。
このお盆は、二月堂修二会参籠の練行衆が食堂作法で用いたもの。
全面に黒漆を塗って表面に朱漆を重ねた根来塗りで、鮮やかな朱色の丸盆であるところから「日の丸盆」とも称されています。
展示されている「日の丸盆」は、鎌倉時代のもので、全て重文。
経年によって上塗りの朱色がはげ、自然に現れた黒地と朱漆との美しい抽象文様が、まさに時を経て生まれた美、深い味わいを醸し出しています。(日の丸盆9点の内、2点は6/20までの展示です。)
お庭の睡蓮を見ながら次の間へ。ここには「大聖武おおじょうむ」、聖武天皇宸筆の伝承がある賢愚経の一部がありました。
聖武天皇宸筆・・・写真などで見たことはあっても、本物を拝見するのは初めてで、こうして天平時代の天皇の写経された文字を間近に拝見できることが、どれほど凄いことかと思うと鳥肌が立ちます。
次の部屋には文字の大きさが少し小さい「中聖武」も展示されていました。
3番目の、桜の襖絵のお部屋には「二月堂焼経」がずらりと展示されています。「二月堂焼経」とは、奈良時代に書写された「紺紙銀字華厳経」で、江戸時代に二月堂が焼け、灰中から取り出されたために焼痕があり、「二月堂焼経」と称されます。
今回の展示では、東大寺所蔵の切断されていない「二月堂焼経」(重文)もたくさん展示されていました。
また、切断されたものは、それぞれが趣向を凝らして表装されて、それもまた、一幅の絵画のような美しさを醸しています。
表装が違えば全然雰囲気が違って見えるので、そういう面で比べて見るのも面白いです。何より、焼経の紺地に合わせて表装も紺地にされた2つのお軸が素晴らしくて、傍にいらっしゃったキューレーターの白洲さんにお尋ねしましたら、これは杉本博司氏所有のもので、氏が表装のデザインもされたのだとか。(実は杉本博司展で、こちらは見慣れていたので、成程と思いました。他のお軸に比べると現代的な感じです。)
::
『古美術からみる東大寺の美~二月堂焼経と日の丸盆を中心に~』
特別陳列 小泉淳作画伯 東大寺本坊襖絵「蓮絵」
6/14(木)~6/28(木) 9:30~17:30(最終受付17:00)
白洲 信哉氏キューレーションによる「古美術からみる東大寺の美」と題した一度限りの展覧会 。東大寺創建よりおよそ1300年という長い間遺されてきた什器などの古美術品と共に、特別陳列として小泉淳作画伯 東大寺本坊襖絵「蓮絵」も展示致します。
拝観料 :中学生以上1000円/小学生500円
::
6/16(土)には、白洲信哉氏のギャラリートーク『 古美術入門 』も。
第一部11:00~11:30 (開場10:30) / 第二部14:00~14:30 (開場13:30)
会場:東大寺本坊内 写経道場
定員:30名(先着順)
※聴講は無料ですが「古美術からみる東大寺の美」展の拝観料が必要。
 各講演の1時間前より受付にて入場整理券が配布されます。

記念写真にも気さくに応じていただきました。
ありがとうございました。