9月1日から始まった春日大社・着到殿での
「檜皮葺き替え見学会」に行ってきました。
着到殿の檜皮葺き替え修理は、前回の修理から約40年が経過し
屋根の傷みが激しくなったため第60次式年造替事業の一つとして行なわれています。通常未公開の建物ですが、今回特別に修理現場に見学用通路を設けて一般公開され、神職の方にご案内・説明していただきながら
屋根を檜皮で葺く様子を間近で見学することができるのです。
平日のみ一日に3回の見学会があり私が参加した回では
およそ20名くらいの人達が集合されていました。
ヘルメットを冠って工事現場に入っていきます。
この中は撮影禁止なので、看板の写真や
屋根の模型などで雰囲気を想像していただければと思います。
この日に聞いた説明を備忘録としてこちらに記しておきます。
・檜皮ひわだは、幹の直径50cm以上の太さの100年以上経ったヒノキの木からとります。
・木を切らないで立ち木のまま、皮を剥いで採るのだそうです。
・木の皮を剥いても約20年程でまた元の状態になるので
「式年造替事業」は20年のサイクルで行なわれることが多いということです。(20年サイクルは職人の伝統技が祖父から父へ、父から子へと伝えていくのにちょうどいい長さでもあるそうです。また延喜式に20年に一度の修理が決められているということです。)
・元皮は包丁で薄く削いで(元皮から2~4枚取れればいい)15cmX75cmの大きさに揃える。
・着到殿の屋根の面積は305平方mなので檜皮は17万枚必要。
・大きさを整えるのが大変で延べ200人で作業された。
・春日大社の檜↓は自前で使われず、丹波産の檜が使われている。
・丹波地方の檜は油分があって質がいいのだそうです。
・17万枚の檜皮を揃えるのには約2000本の木が必要。
・この着到殿は元々は檜皮葺きであったが、1600年に一度「こけら葺き」(板葺き)になったり、一部が瓦葺きだったりしていた。大正年間に全部檜皮葺きに戻ったらしいです。
と、このようなことを聞きながら職人さんの作業を見学します。
檜皮葺き職人さんは全国で約300名ほどいらっしゃるそうで
この道10年の中堅さんが、檜皮を12mm毎に重ねて葺いていくところを見せていただきました。仮止めでは釘やホッチキスを使われますが、ほとんどは竹釘で抑えていくのだそうです。
皮を何枚も重ねて使うことによって、日本独特の曲線や直線の美しさが表現されています。
下の写真は春日大社南門の屋根の様子です。
見学後は檜皮を一束奉納させていただき
その後、久しぶりに回廊の中へ入って本殿前で参拝致しました。
内侍殿では「神様へのお便り」を書くことができるのですね。
中へ入ってゆっくり座って、色々想い巡らして・・・
何だか有り難いことだなと思いました。
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「着到殿の檜皮葺き替え」見学会は
10月20日までの土日祝日を除く平日に1日3回開催(雨天決行)
9:30、10:30、13:00に春日大社南門前(参拝所正面)集合。
申込みは事前予約不要、参加費無料、各回30名。
各回とも所要時間約30分です。
見学会に皆さんどうぞお越し下さいね☆
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正倉院の外構見学はもうできませんが、まだ工事用の覆いで
囲っていなかったので柵の隙間からパチリ☆
春日大社まで自転車で向かう道中で9/6撮影。