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2014年10月8日水曜日

平成知新館オープン記念展「京へのいざない」

京都国立博物館では「国宝 鳥獣戯画と高山寺」展が始まりました。
鳥獣戯画展が始まる前ですが先月末に、平常展示館「平成知新館」オープン記念展「京みやこへのいざない」を見に行ってきました。
博物館収蔵の名品が一堂に会する展覧会の内容も とてもとても素晴らしかったのですが、5年の歳月を経て新しくオープンした「平成知新館」(平常展示館)自体がとても魅力的で、展示空間の素晴らしさというものを新ためて堪能したのでした。
設計は大好きな建築家・谷口吉生氏でした。
実は前知識なしで訪れ、館内での動線や空間構成に感心して「設計は誰だろう?」とパンフレットで谷口吉生氏の名前を見て「やっぱり!」と感じ入った次第なのです。
美術館巡りが好きであちこち行っているのですが、まだ谷口吉生氏をよく知らない時に訪れた法隆寺宝物館、豊田市美術館、猪熊弦一郎現代美術館の三館が特に好きで、この三館ともが谷口吉生氏の設計になると知ってから大ファンになっています。
鑑賞者に優しい設計、見る人が疲れない、見ている時の集中力が持続する・・・例えば、動線が適度な距離の直線で、曲線がない。目線の高さ、使っている建材物が主張しすぎていないなど、足、目、腰が疲れないようにできている。
とにかく無駄がなくシンプルだけれど大変美しく、展示物をより引き立たせる建築設計なのです。
今回、特に感心したのは、1階2階3階がそれぞれ交互に入れ子になっていて(←この表現、わかりにくいですが)1階の展示空間の天井は3階なので2階まで吹き抜け、2階は3階まで吹き抜けなので、2階から1階の展示室が見渡せられ、3階から2階の展示室が見渡せられるという構造になっています。1階から2階に上がって、また1階を見下ろして、先程見て来たものを反芻する。また反対に上から見始めた時は、下の階へ降りる時にこれから見る空間を期待しながら下りて行くというような感じで、これがとてもいいなぁと思ったのです。(フロアマップはこちら
語りだすと止まらなくなりそうですが、平成知新館は方広寺跡に建っており、方広寺の建物の柱があったところには、上の写真↑の池のところにあるように◎印があります。
本館が見えるロビースペースは柔らかな光が差し込む空間です。
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では、本題の「京みやこへのいざない」展についても少し++
1階第1展示室は、平安時代から鎌倉時代の京都周辺の仏像彫刻。
大阪河内長野市の金剛寺ご本尊・大日如来坐像と脇侍の不動明王坐像にまず圧倒され、そして「宝誌和尚立像」という、顔の部分が左右に割れて中から別の顔が覗いている不思議な仏像にも心惹かれました。(チラシの写真より↓)
その他、古今和歌集などの古筆や
「一遍聖絵」「法然上人絵伝」「餓鬼草紙」↓などの国宝絵巻
旧阿須賀神社古神宝、国宝松椿蒔絵手箱↓
熊野速玉大社の宝物館でも奉納された古神宝を拝見したので、もう一度その精緻な美しさに触れることができたのは嬉しいことでした。
細緻な手仕事の小袖も素晴らしかったし、金工・漆工と仏教美術工芸品や肖像画、仏画・・・と千年の都・京都ならではの選りすぐりの銘品がずらり。2期に分けての展示作品は国宝50余点、重要文化財110余点を含む総計400点(2期分の合計)の充実の展覧会。
「国宝 鳥獣戯画と高山寺」展も気になるので、後期展示をもう一度見に行ければと思っています。

平成知新館オープン記念展「京へのいざない 」
会期:9/13〜11/16
会場:京都国立博物館 平成知新館(新館)
休館日:月曜日
※9/15、10/13、11/3は開館し、9/16、10/14、11/4は休館
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
※特別展覧会開催期間中(10/7~11/24)は18:00まで
毎週金曜日は20:00まで開館(入館は各閉館の30分前まで)
観覧料:一般520円/大学生260円/高校生以下・70歳以上無料
※奈良国立博物館パスポート提示で無料観覧