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2018年3月17日土曜日

薬師寺花会式のつくりばな

ことのまあかり」さんでのイベント「薬師寺花会式のつくりばな~春を告げる花々を咲かせる人たち~」に参加してきました。

3月25日から3月31日まで行われる薬師寺の修二会「花会式」。
東大寺二月堂修二会が「お水取り」と呼ばれるように
薬師寺修二会では、十種類の造花をご本尊に供えられるところから
「花会式」と呼ばれ、奈良に春を告げる行事として親しまれています。

金堂内陣薬師三尊像にお供えの造花つくりばな
梅、桃、桜、山吹、椿、牡丹、藤、ユリ、カキツバタ、菊の10種類。
 平安時代に堀川天皇が皇后の病気平癒を薬師如来に祈り
回復した皇后が感謝の気持ちを込めて十種十二鉢の花を作り
修二会の法要で薬師三尊像に供えられたのが
今の「花会式」と呼ばれる華やかな法要の始まりとされています。
(トップと2枚目の画像は2012年に花会式にお参りした時の写真です)
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実はこの造花つくりばな、明治時代からは橋本家、増田家という2軒の家だけで花造りに携わり、家族で作り続けてらっしゃいます。
今回のイベントでは、橋本家、増田家から花造りの中心を担うお二人が、花造りへの想いや家族のお話、造り方の実演もして下さって、貴重なお話を伺えて「花会式」がより身近に感じられるようになりました。
橋本家で造っているのは、梅(白140本・紅200本)、山吹90本、椿(赤105本・白105本・ピンク55本・シモフリ55本)、牡丹(赤48本・ピンク36本・シモフリ36本)、菊(黄32本・赤27本・ピンク37本・シモフリ24本)、藤6本の、6種類の花、計996本。
増田家では、桜300本、桃(白120本・赤180本)、杜若(白30本・紫30本)、百合(白10本・かばちゃ10本・赤20本・ピンク20本)の、4種類、計720本を造ってらっしゃいます。
そしてその造り方や、使っている材料(和紙、真竹、タラの芯、漆など)について詳しく説明して下さいました。
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花の茎として使う真竹は節と節の間が35cm以上のもの。
蕾に使うタラや漆は自家栽培して材料を確保している。
和紙は植物染で、増田家は「染司 吉岡」さんに染めてもらい、橋本家は自分のところで染める。
糊も自家製。増田家は餅米粉を水で煮溶かして作る(花により糊の固さを緩い目、固い目と調整する)、橋本家は炊いたご飯を板の上で練って糊にしたり、うるち米と餅米を水に浸してミキサーにかけて作ったり。
梅や桃のおしべめしべには、鹿のお尻の毛を束ねてキハダで色つけしたものがお寺から支給されるのだそう。この毛を束ねる針金だけが自然のものでなく、後は全部自然素材を使って造っている。(葉の軸には藁が使われていたり)
鹿の毛が使われた梅の花↓
増田さんの実演。
あっという間に花を組み立て、その手際の良さにびっくり。

神業のような手際良さですが、実際に見せていただいて知った気の遠くなるような作業。これだけ修練されるのにどれほどの時間がかかったのだろうと思わずにはいられません。
桜の花びらの型抜きも一つの花の型があるのではなく、花びら一片ずつに型を抜いていくという作業。道具を使って花びらにカタチをつけていく作業も、一つの花に何枚も重ねる和紙の枚数と、その一枚一枚に花びらが何枚あるのか、その圧倒的な数に驚くばかりです。
(こちらの写真↑↓は「ことのまあかり」イベントページから拝借)
貴重なお話をお聞きして、今年は久しぶりに花会式に出かけてみようかと思っています。薬師三尊像に供えられた色とりどりの美しい花々、造り手の想いのこもったお花もじっくりと見てきたいと思います。