3月30日から4月5日まで行われる薬師寺の修二会「花会式」。
東大寺二月堂修二会が「お水取り」と呼ばれるように
薬師寺修二会では、十種類の造花をご本尊に供えられるところから
「花会式」と呼ばれ、奈良に春を告げる行事として親しまれています。
金堂内陣薬師三尊像にお供えの造花は
梅、桃、桜、山吹、椿、牡丹、藤、ユリ、カキツバタ、菊の10種類。
平安時代に堀川天皇が皇后の病気平癒を薬師如来に祈り
回復した皇后が感謝の気持ちを込めて十種十二鉢の花を作り
修二会の法要で薬師三尊像に供えられたのが
今の「花会式」と呼ばれる華やかな法要の始まりとされています。
薬師寺でも二月堂修二会と同じように「六時の行法」が行われます。
19時からの「初夜」と「半夜」、深夜3時からの「後夜」と「晨朝」
お昼の13時からの「日中」と「日没」の法要です。
ちょうどこの日は13時過ぎに薬師寺を後にしなければならない用事があったので、法要の聴聞は残念ながら叶いませんでしたが、練行衆の方々が上堂されるところを見せていただくことができました。
中門を入ったところには結界となる「幔幕まんまく」が立てられ
その内側には、行法の最高位で先導役となる大導師の履物が鎮座。
13:00過ぎ、幔幕が捲き上げられ、練行衆の上堂を待ちます。
練行衆の方はこちらで「差懸さしかけ」に履き替えられるのですね。
でもどうして差懸を金堂内で履き替えずに
幔幕の内側で履き替えられるのかなと思ったのですが
これは「日中」の法要には奉納行事があり
その奉納行事も法要の一つと考えられているので
奉納行事(この日はお能が奉納された)が行なわれる
舞台も含んだ場所が「堂内」と見なされるからだそうです。
夜の法要には、この奉納行事がないので
金堂内で差懸に履き替えられるということでした。
上堂の所作も、二月堂修二会とはまた違った趣があって
「花会式」の法要も一度じっくり聴聞したいと思いました。
春休みに入ると少々忙しくなり、薬師寺までは中々足を運べませんが
今回はお誘いいただき、いい機会を得ることができました。
ありがとうございました。(同行のしをんさんのブログ記事はこちらです。)