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2013年7月10日水曜日

「詩が開いた心の扉」寮美千子さんの講演会

今日は校区の若草公民館で、寮美千子さんの講演会が行なわれました。
以前にブログで紹介したことがあるのですが
作家の寮美千子さんは、奈良少年刑務所の更生教育である「社会性涵養プログラム」で、2007年より「童話と詩」の担当講師をされています。
そして、この教室から生まれた受刑者たちの作品を中心にした詩集『空が青いから白をえらんだのです』を編集されました。

この詩集の巻末にも書かれていますが、今日の講演会では
心を閉ざしていた受刑者が詩の授業を通して 感情豊かになっていく様子や、実際の授業の様子などについて、お話を伺うことができました。

トップの画像は、授業の一コマを再現したもので
全6回(月1回/1時間半)の授業の、最初の回で
アイヌ民話を題材にした絵本『おおかみのこがはしってきて』を
父と幼い息子に扮して朗読するところです。
実際の授業でも、アイヌの衣装を身につけることによって役になりきれて、普段人前で話をするのが苦手な子でも何とか人前で演じきることができるのだとか。

演じきった後にみんなから拍手をもらうと、それだけで様子が違ってくる。人から拍手をもらったことがない子が多いので、拍手をもらった喜びや、みんなの前できちんと読み終えた達成感が小さな自信となり、心をほぐしていくきっかけになるという。

2回目は、6人で絵本を朗読する授業。
そして3回目で、いよいよ詩を書くという授業に入ります。

本人に詩を朗読してもらい、みんなで感想を述べあうという
たったそれだけのことなのですが
彼らがみるみる変わっていくのだそうです。

例えば、ある受刑者が書いた『すきな色』という詩。
「ぼくのすきな色は青色です。つぎにすきな色は赤色です」

何も書くことがなかったら、好きな色について書いていいよ、という課題に対して提出された詩。あまりに直球過ぎて、褒めるところのない詩に、指導者の尞さん自身がどういう風に声かけたらいいか迷っていた時に、受講生が二人「はいっ」と手を上げて、「ぼくは、○君の好きな色を、一つだけでなくて二つ聞けてよかったです」「ぼくも、○君の好きな色を二つも教えてもらってうれしかったです」という合評をされて、誰一人として否定的なことを言わない、何とかして相手のいいところを見つけようと発言する。仲間のありのままを受け入れようとする姿勢や、自分が発表している時に、残りの全員が耳を傾け拍手をしてくれるという体験。このような「場」の力も大きく作用して、どんどん好循環になっていっているということなどもお話しされました。
 
『空が青いから白をえらんだのです』を読んでいたので、私には予備知識もあったのですが、実際に尞さんが朗読する詩を聞いて、実際の体験を生で聞くと、詩の力、言葉の力には人生を変える力があるのだと思いました。また、それ以上に「人は人の輪の中で育つ」 という「場の力」も大きいのだということです。

詩という形で表現した感情を、一人の人間として受け止めてくれる仲間たち。感想を述べ合うのも「自己表現」で、聞いてもらえたという実感が心の扉を開けるのだと、実際の授業から得た体験を交えてのお話会。もしどこかで、尞美千子さんの講演会をお目にされることがありましたら 是非どうぞ。(イベントの告知はこちら

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奈良少年刑務所矯正展について 2007年 2011年 2012年
所内を撮影された写真家上條道夫氏の写真展の様子はこちら
※2013年の奈良少年刑務所矯正展は9/7(土)9/8(日)です。