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2014年8月3日日曜日

「国宝 醍醐寺のすべて-密教のほとけと聖教-」展

京都中心街の東南に位置する密教寺院、醍醐寺。
その歴史を伝える古文書・聖教しょうぎょう69378点が国宝に指定されたことを記念し、平安時代から近世に至る醍醐寺の歴史と美術をたどる特別展が、醍醐寺とご縁の深い奈良の地で開催されることになりました。
奈良国立博物館で開催中の「国宝 醍醐寺のすべて―密教のほとけと聖教―」展。博物館入口には大きな紅白の鏡餅が!
これは 醍醐寺で毎年2月に行われる「五大力尊仁王会」で使用される鏡餅。大きな鏡餅を持ち上げて五大明王に力を奉納する、1100年もの歴史がある行事だそうです。

「醍醐寺のすべて」と銘打っての通り、本当にたくさんの仏さま達が奈良にお出ましになって、見応えのある展覧会でした。
チラシに掲載されている写真から、出陳の仏像をご紹介すると
ポスター、チラシのメインに使われているのは
醍醐寺三宝院のご本尊・弥勒菩薩坐像↑
快慶最初期の作で、端正な美しさ高貴さを持った「美仏」です。
上醍醐五大堂の五大明王像
五尊がそろって寺外で公開されるのは初めて、すごい迫力で圧巻でした。
上醍醐薬師堂のご本尊、像高177cmの薬師如来坐像↑
脇侍の月光・日光両菩薩像も随侍されていますが、このような大きなご本尊様を寺外に運ばれるのも大変だったのではと想像してしまいます。
如意輪観音坐像↑こちらも美しい仏さま。

それにしても、諸堂建ち並ぶ大寺院とはいえ、これだけ各堂からご本尊がお出ましになられているのはすごいことですね。
その他に心惹かれたのは
国宝・五重塔初重壁画両界曼荼羅図 旧連子窓羽目板断片や
俵屋宗達の舞楽図など。
また、奈良市の商店街、奈良餅飯殿センター街にある餅飯殿財団保有の吉野曼荼羅図、大峰山上講縁起なども印象に残りました。

醍醐寺と奈良との深い関わりとは・・・。
醍醐寺開山の理源大師聖宝りげんだいししょうぼうは、若き日に東大寺東南院に住して三論や真言を究めていたことがあり、鎌倉時代に東大寺再興の指揮をとった重源上人は、醍醐寺の出身です。
また、理源大師が大峰修験道を再興された時、奈良の郷民が餅飯を作って随行し、金峯山・大峯山の開発を助援したといわれ、餅飯を調進したところから、 餅飯殿町の町名となったと伝わっています。

「国宝 醍醐寺のすべて-密教のほとけと聖教-」展
会場:奈良国立博物館
会期:7/19〜9/15
開館時間:9/30~18:00(入館は閉館の30分前まで)
※燈花会の期間(8/5~8/14)と毎週金曜日は19:00まで開館
休館日:毎週月曜日(7/21、8/11、9/15は開館)
奈良国立博物館のサイト
展覧会の公式HP
公開講座のお知らせはこちら

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ところで、奈良国立博物館本館の「なら仏像館」が
建物内外の改修工事のために平成26年9月8日~平成28年3月
の期間、休館になります。期間中は新館と青銅器館は開館。
また9/17から12/7まで、庭園や仏教美術史料研究センターが無料特別公開されます。(但し、正倉院展の会期中は除く。)
これはちょっと楽しみですね。

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ミュージアムショップで醍醐寺開山にまつわる名水「醍醐水」が販売されていました。喉を潤すために、もちろん早速いただきました。
理源大師が、笠取山(醍醐山)に沸く水をすくい飲み「醍醐味なるかな」と褒め、この地にて仏法を広めることを決意したという開山にまつわる名水。 その味はまさしく「醍醐味」でした!