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2018年10月27日土曜日

第70回 正倉院展

「第70回 正倉院展」
鑑賞前に「ならら」を通して少し予習をして、今回はご近所さんと一緒に、会期前日の内覧会にお邪魔致しました。
拝見するのを一番楽しみにしていたのが、2種類のパンフレットのメインビジュアルに使用されている「玳瑁螺鈿八角箱たいまいらでんはっかくのはこ」(左)と「平螺鈿背八角鏡へいらでんはいのはっかくきょう」(右)。
どちらも、ため息が出るくらい美しく精緻な技巧に驚くばかりです。
「ならら」にも見開きで紹介されています。
「平螺鈿背八角鏡へいらでんはいのはっかくきょう」では、向き合っているオナガドリの表情が仏頂面で、それが唐代の工芸に見られる特徴だとありました。でも仏頂面のオナガドリを肉眼では確認できず、単眼鏡などがあった方がいいと思いました。
図録↑では、不機嫌そうなオナガドリの顔が確認できます。

この二つのメインビジュアルにばかり目が行きがちですが、会場で一番美しいなぁと、ため息をもらしたのはこちら
「犀角如意さいかくのにょい
如意とは、僧侶が法会の際などに執り、威儀を正すための道具。
掌の部分に犀角を用いた豪華な品で、掌の下方は、草花や蝶、鳥を表した、表は赤色、裏は青色の、花先形の撥鏤ばちるで飾っている。掌の付け根は、鳥や植物を透彫した象牙を被せて装飾している。柄は板状で、金線で6区に劃かくし、赤・青に染めて花卉、蝶、鳥を表した撥鏤の板を交互に貼り付けている。中央には金製の八弁花文を配し、花心には地に彩色を施した水晶を嵌めている。犀角や象牙、水晶や真珠、金など貴重な素材がふんだんに用いられた豪奢な如意で、晴れやかな奈良時代の法会の様をうかがわせる。奈良博HPより引用)
百聞は一見に如かずですね。最後の展示室にありますので、とくとご覧あれ!本当に見事ですよ!

その他のお気に入りは・・・これが結構たくさんあって、今年の正倉院展は美しいものが多くて目が喜ぶのが何より。その眼福を最初から最後までたっぷりと楽しめるのも嬉しかったです。
では、個人的なお気に入りを順不同で羅列していきます。
「沈香木画箱じんこうもくがのはこ
あらゆる技法を駆使した天平工芸の粋と言われるこちらもすごい!
沈香、シタンといった豪華な素材を用い、彩絵、木画、牙彫など各種の技法を駆使して隙間なく装飾されており、献物箱中 屈指の優品として高名である。奈良博HPより引用)
小さなスペースに木画がびっしりあしらわれていて、細部まで豪華に装飾されているので、とても見応えがありました。

「繡線鞋ぬいのせんがい
甲の部分に付いている花形の飾りが愛らしい。

「磁鼓じこ」(写真右側↑)奈良三彩の鼓の胴。意外に大きいです。
鼓に張る皮(写真左側↑)も出陳されていますが、現在、宝庫に伝わるどの鼓とも寸法が合わないそうです。

「銅匙どうのさじ
未使用のまま紐で束ねたもので当初の状態を伝えているのは貴重!

楽舞用のかぶりものの芯材の表裏に貼られた反故紙の一つには、胡人が描かれていて、これはすごい。

飾り金具もたくさん。見ていてアクセサリーにできないかと思ったり。

「摺布屏風袋すりぬののびょうぶぶくろ
摺絵の技法で花食鳥や花葉文様を表した屏風の袋。かなり大きい。

麻布に墨で山水を描いた「山水図」
・・・と挙げていけば、きりがないくらいどれもこれも素晴らしくて、1300年の時の重みを感じさせない、当時の人の美意識や洗練されたデザインセンス。今年も堪能させていただきました。
(ブログ内写真は、正倉院展図録と「ならら」から引用しています)
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正倉院展
会期:10/27(土)~11/12(月)会期中無休
開館時間:9:00~18:00 ※金・土・日・祝日は20:00まで
(入館は閉館の30分前まで)
会場:奈良国立博物館 東新館・西新館
期間中、毎日ボランティアによる見どころ解説が行われます。
ボランティア解説・公開講座・イベント(野点のお茶会
出陳品一覧などの詳細はサイトをご参照下さい。
読売新聞の関連特設サイトはこちら
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正倉院展期間中の「正倉院」外構の公開は
開催中は毎日10:00~16:00まで公開されています。
奈良倶楽部から徒歩5分。普段は平日のみの公開なので、この機会に是非お立ち寄りくださいませ。