何かのときの参考に・・・。
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「ポジャギとの出会い」
2000年の冬に初めて韓国ソウルを訪問しました。
同行の友人は、十数年前からポジャギへの熱い想いを抱いていました。彼女に連れられ、まずは韓国刺繍博物館へ。日本で雑誌を通してしか見たことがなかったポジャギが私を迎えてくれました。
韓国らしい色の組み合わせの絹のポジャギの美しさもさることながら、私は麻のポジャギのモノトーンで繊細な色使いのものに配色の美意識の高さを感じました。 クレーやモンドリアンの抽象画になぞらえて、ポジャギは「布で綴る絵画」ともいわれていますが、こんなに素晴らしい芸術品が名もなき女性たちによって生み出されたという感動! それ以来すっかり韓国の伝統文化と美意識の虜となった私たちは、帰国後も「ポジャギ、ポジャギ」と誰彼なく話しておりましたら、ある友人が、「2002年に東京ドームで開催されるキルトフェスティバルに韓国のパッチワークとしてポジャギが出展され、その韓国側のコーディネートしている人をよく知っている」とSさんを紹介してくださったのです。
こうして私たちと韓国を結ぶ不思議な、そしてわくわくとするご縁がはじまったのでした。
そのコーディネーターのSさんに紹介されたのが、お針子さんとしてずっと韓服の仕立て職人をやってこられた、73歳の崔福姫先生です。
崔先生は、韓服の仕立てで端切れが残ったからといってはそれを繋いで、たくさんのポジャギを作っていらっしゃいました。
今の豊かな時代に物を包んだり、覆ったりするためにそのポジャギを作られたのではありませんが、たくさんの色の端切れの組み合わせを工夫して、さながら一枚の絵を描くように、たくさんのポジャギを自分の楽しみとして作っていらっしゃいました。
針匠というお針子さんのトップの称号を持っておられるだけに、どれもこれも手縫いとは思えないほどの細かく正確な美しい針目で、手仕事のもつ不思議な力とエネルギーがそこから感じられ、友人と二人すっかり崔先生のファンになってしまったのです。
“先生の作られたたくさんのポジャギをできるだけ多くの人に紹介したい…”そういう想いで結ばれた私たちは、さっそく崔先生の作品展開催に向けて動き出したのでした。
そうして迎えた作品展、この期間中を通して私たちが一番心を砕いたことは、崔先生をはじめワークショップのために韓国からお招きした4名の方(内2人は日本が初めて、崔先生も2回目)への心からのおもてなしでした。
1週間、我が家へホームステイしていただいたのですが、家庭の中で飾らない素のままの生活の匂いを感じていただけたことが、今も私たちの中で、この催しが 作品展だけに終わらずにこれからも韓国の人達との交流を続けていきたいという、熱い想いとなって残っています。
最後になりましたが、多くの方の協力のおかげをもちましてたくさんの方々に見ていただくことができました。お越しいただきました皆様、どうもありがとうご ざいました。そして『私たち』という二個一の名称でいつも私を支え、ポジャギを通して大きな感動を分かち合うことができました友人の中野啓子さんに、心から感謝を捧げます。
こうして私たちと韓国を結ぶ不思議な、そしてわくわくとするご縁がはじまったのでした。
そのコーディネーターのSさんに紹介されたのが、お針子さんとしてずっと韓服の仕立て職人をやってこられた、73歳の崔福姫先生です。
崔先生は、韓服の仕立てで端切れが残ったからといってはそれを繋いで、たくさんのポジャギを作っていらっしゃいました。
今の豊かな時代に物を包んだり、覆ったりするためにそのポジャギを作られたのではありませんが、たくさんの色の端切れの組み合わせを工夫して、さながら一枚の絵を描くように、たくさんのポジャギを自分の楽しみとして作っていらっしゃいました。
針匠というお針子さんのトップの称号を持っておられるだけに、どれもこれも手縫いとは思えないほどの細かく正確な美しい針目で、手仕事のもつ不思議な力とエネルギーがそこから感じられ、友人と二人すっかり崔先生のファンになってしまったのです。
“先生の作られたたくさんのポジャギをできるだけ多くの人に紹介したい…”そういう想いで結ばれた私たちは、さっそく崔先生の作品展開催に向けて動き出したのでした。
そうして迎えた作品展、この期間中を通して私たちが一番心を砕いたことは、崔先生をはじめワークショップのために韓国からお招きした4名の方(内2人は日本が初めて、崔先生も2回目)への心からのおもてなしでした。
1週間、我が家へホームステイしていただいたのですが、家庭の中で飾らない素のままの生活の匂いを感じていただけたことが、今も私たちの中で、この催しが 作品展だけに終わらずにこれからも韓国の人達との交流を続けていきたいという、熱い想いとなって残っています。
最後になりましたが、多くの方の協力のおかげをもちましてたくさんの方々に見ていただくことができました。お越しいただきました皆様、どうもありがとうご ざいました。そして『私たち』という二個一の名称でいつも私を支え、ポジャギを通して大きな感動を分かち合うことができました友人の中野啓子さんに、心から感謝を捧げます。
2004年初夏 奈良倶楽部 谷規佐子
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針匠崔福姫先生のはじめてのポジャギ作品展は2002年1月に神戸のギャラリーにて開催いたしました。 そのとき、73年間の人生で初めてソウルから旅をしたという崔先生に、ポジャギの作り方のデモンストレーションをしていただきました。 これが予想外の大反響で、“作り方を見るだけではなく、ぜひ教えて欲しい”という声が多く寄せられました。「こんなにたくさんの人がポジャギに興味を持って見てくれるとは……」と崔先生もびっくりされ、次回の作品展での講習会を快諾してくださいました。 そして2003年6月24日-7月6日に、奈良倶楽部で、崔先生のポジャギのワークショップを主体にした美しい手仕事を紹介する作品展が、開かれることになったのです。 奈良倶楽部での作品展開催にあたっては、崔先生のポジャギやヌビの美しい針仕事を間近で見ていただけるように、また、日本のインテリアに合う色やデザインを中心にディスプレイしました。 さらに、奈良倶楽部の客室の一室を「韓国ルーム」に仕上げるために、すべて手縫いのヌビ(刺し子)のベットカバーをメインに、インテリアのテーマとして“おしゃれな韓国”を紹介したいと考えました。 ヌビのベットカバーは、全長2.5mの長さを真っ直ぐに横幅2mまで一畝の幅5mm間隔で一目一目丁寧に刺し子していく、気の遠くなるような手仕事です が、美しく正確に揃った畝、細かい細かい針目(ほとんどの方はミシンで縫っていると思われたようです)、何度見ても触っても出るのは感嘆のため息ばかりと いう素晴らしさです。 部屋のカーテンには真っ白のモシポジャギ、間仕切りはチョガッポののれん、クッションは草木染めで作ってもらいました。 自分の好みから白一色のものや淡い色使いのものが多く、またポジャギ本来の使い方とは随分違った飾り方をしていたかもしれませんが、“私が使うならこんな風に……”という気持ちを大切にしました。 |
ライトに照らされて美しさを際立たせる。 |
針目の美しさに、ふぅーとため息が… |
絹(紗)のチョガッポ。 すべて三ツ目のサンチムで縫われています。 サンチムとは返し縫いの一種で、 三ツ目は表に出る縫い目の数のこと。 |
絹(紗)のチョガッポ。 すべて三ツ目のサンチムで縫われています。 サンチムとは返し縫いの一種で、 三ツ目は表に出る縫い目の数のこと。 |
安東モシでつくられた壁掛け。 先染めされているので、 同一色でつくられても味わい深い印象を与えます。 |
四角にヒモのついたモシのポジャギ(1.1mx1.1m)。 あいた穴を補うために使われた 「くり抜き合わせ」という技法で つくられています。 |
今回の作品展では 客室をひとつ 韓国風のインテリアで まとめてみました。 |
甲紗(カプサ)という 織模様の入った絹でつくられたポジャギ。 色の組み合わせ、形のとり方にも工夫がなされ、 まさに「布で綴る絵画」と表現されるに ふさわしい作品だと思います。 |
モシのチョガッポを取り入れて つくられた暖簾です。 |
韓国ルームのベッドサイドテーブルには 韓紙で作った照明スタンドを置いて。 |
夏の絹、オクサを使った一重立てのチョガッポ(パッチワーク)。 やさしい色のトーンで、窓辺の光を通すとステンドグラスのようです。 |
夏の絹、オクサを使った一重立てのチョガッポ(パッチワーク)。 やさしい色のトーンで、窓辺の光を通すとステンドグラスのようです。 |
韓服を仕立てて残った端布をつないで作ったポジャギ。 ひとつずつのピースが非常に小さく、 目を凝らして探すと2-3mmの三角ピースもあり、 ここまでしなくても……、と思うほどの細かい針目のポジャギです。 |
奈良倶楽部の踊り場です。 |
踊り場の天井にディスプレイされた寝具を包むためのポジャギ。 1.5m×1.5mの大きさで、四角にヒモが付いている。 安東(アンドン)モシで織られた藍染めのポジャギ。 |
すべて手縫いのヌビのベッドカバー。 これをつくるのにどれだけの時間、ソウルの厳しい冬の毎日を オンドル部屋で一針一針根気よく刺し子されたのでしょうか。 |
男性用の冬の韓服に使われる絹(洋緞センダン)を使ったチョガッポ。 巻きかがり縫いの縫い目の細かさにはびっくりです。 |
絹の残り布をつないで(巻きかがり縫い)タペストリーに。 こうして掛軸のように飾っても日本のインテリアに合うと思います。 |
白地にマロン、オレンジ、黄色などの配色が かわいい感じのモシチョガッポ。 サンポ(お膳にかぶせるポジャギ)として作られたものも、 こうしてちょっとしたコーナーのインテリアに。 |
お膳の上にかぶせるためのポジャギ(サンポ)。 つまみ布のついていないシンプルなデザイン。 薄い麻生地が透けて清潔感いっぱい。 |