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2017年7月14日金曜日

薬師寺「食堂」復興*一般公開

薬師寺の「食堂」が復興成り、7月から一般公開されています。

食堂は僧侶が食事や修行をするための建物で、僧侶約300人が一堂に会する規模であったと発掘調査により判明しています。
創建当初の建物は天平2年(730年)頃に建てられたとみられ、天禄4年(973年)に焼失しました。その後、寛弘2年(1005年)に再建されましたが、再び失われました。
新たに復興した食堂は、南北約16m、東西約41m、高さ約14m。
建物外観は奈良時代の意匠を凝らした作りとし
内部は現代技術を活用することで広い空間を確保し、食堂を多目的に利用することを想定して作られています。
堂内には食堂ご本尊の「阿弥陀三尊浄土図」(縦横各6m)を中心に
「仏教伝来の道と薬師寺」と題した物語性のある壁画が左右に14面。
全長約50mにも及ぶ大壁画が田渕俊夫画伯により奉納されています。
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長安を旅立つ遣唐使船から始まる仏教伝来の物語。
図録より、壁画の題名とともに写真を転載させていただきます。
「旅立ち」
「遣唐使船」
「大和へ」(左)/ 「瀬戸内」(右)
「帰帆」
「御津の浜松」(左)/ 「大和川」(右)
「飛鳥川」
「うねび」
「みみなし」
「天のかぐやま」
「飛鳥寺院幻想」(左)/ 「藤原京」(右)
「平城京」
※壁画の写真はすべて図録より、堂内は写真撮影禁止です。
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それにしても素晴らしい壁画でした。
新しい建築物の中に、仏像の安置なしに、これほどまでに崇高な祈りの空間がつくられるなんて、正直驚いています。
特に「御津の浜松」に到着して、川舟に乗り換えて「大和川」「飛鳥川」を渡り、大和三山が見え「藤原京」「平城京」と描かれた一枚一枚がとても美しく感動しながら拝見していました。
また、図録に掲載の、田渕俊夫画伯が「阿弥陀三尊浄土図」を描き上げていく過程での文章も感動でした。少し引用させていただきます。
「これまでになかったような、今の時代の仏さまを描いてください」という薬師寺からの依頼で、当初は仏像のスケッチや仏像の本の模写を重ねました。絵は仏像と違って平面ですから、形の美しさを超えた崇高さをいかにして表現するか。しかし飛天が舞う極楽浄土を描いているうち、情景描写ができるという点において絵の方が有利だと思うようになり、慈悲深いお顔を自分流に描くしかないと覚悟すると、自然に描けました。日本画の特徴である墨の線描きをそのまま残したところもあります。この広い食堂の空間の中で、人々の不安や苦しみを包み込み、救わんとされる仏さまがそこにいらっしゃるという、祈りの世界を感じとっていただければ幸いです。
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最後に、お気に入りの東院堂にて聖観世音菩薩さまにお参り。

「食堂一般公開」今後の予定
平成29年7月1日(土)~11月30日(木)
平成30年1月1日(月)~1月15日(月)
     3月1日(木)~6月30日(土)
特別拝観料 500円(通常拝観料の他に)