今晩も「法華懺法 ほっけせんぽう」を聴きたいと二月堂へ向かいます。
「法華懺法」は「走りの行法」のない日(1・2・3・4・8・9・10・11日)の半夜と後夜の間に行なわれます。五体投地をする五体板に練行衆の一人がひざまずき、その後ろに二人の練行衆。内陣ではなく聴聞者のすぐ先で唱えられる、軽やかで心地よい旋律。わずか15分程の時間ですが美しい唱和にうっとりと聴き入ってしまいます。
この日は、気になるシャッター音もなく、堂内で皆さん静かに聴聞されていました。もう少し、そのまま残って最後まで。
下堂される練行衆の道明かりとなる松明を手に持つ童子さんたち。
一日の行を終えた練行衆が北の出仕口から出てこられるのを
今か今かと緊張感を保ちながら待ってらっしゃいます。
出てこられた瞬間、辺りの静寂を一瞬にして打ち破るような「チョーズ、チョーズ」の叫び声。下り松と言われる長い杖を後ろ手に引いて「カタカタ」と音立て、登廊を整然と一気に駆け下りていかれます。
いつものことながら見事なまでに息のあった下堂風景だなと思います。
かなりのスピードで下っていく様子は、練行衆・童子ともども一心に邁進するというような印象。
和上さんや大導師さん達のお年を想うと、この石段をあのスピードで走り降りて行くことの凄さに神業的なものすら感じてしまうのでした。