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2011年11月2日水曜日

「磯江毅=グスタボ・イソエ」展へ*

正倉院展開催中の奈良でもう一つ
とても素晴らしい展覧会が開催中です☆

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近鉄奈良駅から登大路を奈良公園の方へ出ると
「磯江毅=グスタボ・イソエ展」の幟が青空にはためいている。

奈良県立美術館で開催中の「磯江毅=グスタボ・イソエ展」。
この幟を見ただけで、県立美術館の
今までにない力の入れようが伝わってきます。



私は、恥ずかしながら「磯江毅」の名を今まで知りませんでした。
チラシの中の写真を見ても「超写実で超具象で超細密画か」と
これくらいの興味の持ちようでしたが・・・。

初めて触れたイソエの芸術ですが、雷に打たれたくらいの感動!
身体に電気が走るような感覚を感じました。
「また何を大袈裟な」と思われるかもしれませんが
「この期間中、奈良にいる人は絶対見るべし!」と
恥ずかし気もなく大声で叫びたいくらいお奨めの展覧会です。
今も思い出したら、ぐっと感極まりそうになるくらい・・・。



チラシにも紹介されていますが、磯江毅の描く人物や静物は
単なる描写を越えて物が存在することの神秘性と崇高さすら漂わせ
深い精神性が感じられ宗教的でさえありました。

作品だけでなくイソエの絵画について述べた文章もパネルで展示されていて、その写実に対する考え方は哲学的で宗教的であり、読んでいて思わず襟を正してしまいます。(会場でいただく冊子にもその文章が掲載されています)
『物は見ようとしたときにはじめて見えてくる』サブタイトルのこの言葉も、含蓄のある言葉ですね。

また作品についての夫人の回想も掲示されていて
「鶉」の作品のところには
「アトリエで見ていたモチーフは気持ち悪かったが、出来上がったのを見てとても美しく感じた思い出がある」というような文章。
これこそが、イソエの「絵による存在探求の試みが絵画の高みを示す」というものではと思います。

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お気に入りの作品の絵葉書を買いました。

「深い眠り」
静かな世界にたゆたう感覚を覚えます。


「新聞紙の上の裸婦」
大作です。作品の前で思わず身震いしてしまいました。


「鰯」
完成品としては最後の作品。
今回の展覧会で私が一番好きな作品。
この絵の前に立つと、音楽が聞こえ、心が泉で溢れ満たされ、涙が出る。「芸術」というのはこういう絵をいうのだと思います。

イソエの絵はどちらかというと、油彩画より鉛筆画の方が
対象がより鮮明に表現されて深い味わいを感じますが
この2点は油彩画の中でも好きな作品です。

どちらも淡く優しい光に包まれた静物が
今度は見る人を優しく包むように感じました。


没後4年を経て、今年、神戸の自宅から数百枚のデッサンが発見されました。美術館1階フロア(最後の展示室)に展示されています。

50歳になってからもマドリードの大学で解剖学を学び、肉体を内側から研究したイソエ。徹底した研究と卓越した技術で、対象の精神に切り込んでいった彼の画業は死後もなお輝き続け、見る者を魅了してやみません。

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特別展「磯江毅=グルタボ・イソエ マドリード・リアリズムの異才」

会場:奈良県立美術館
会期:2011年10月22日〜12月18日
開催時間:9:00〜17:00
     金・土曜日は19:00まで(入館は30分前までに)
休館日:月曜日
※上記のチラシやHPからの割引き引換券あり。
※11月19日、20日「関西文化の日」は観覧無料です。