奈良国立博物館で開催中の「當麻寺 -極楽浄土へのあこがれ-」展。
”當麻曼荼羅完成1250年記念 特別展” と銘打たれたこの展覧会には
今から1250年前の天平宝字7年(763)に、極楽浄土を願う貴族の娘
中将姫によって、ハスの糸で一夜のうちに織り上げられたと伝わる
「国宝・綴織當麻曼荼羅」(根本曼荼羅)が、約30年ぶりに公開されるということで、開催前から巷の話題をさらっておりました。
「国宝・綴織當麻曼荼羅」(根本曼荼羅)の公開日は4月14日までと
4月23日から5月6日まで。その間の4月16日から4月21日までと
5月21日から最終日までが、奈良時代の根本曼荼羅を室町時代に
同寸で写した「文亀本」(重文)と呼ばれる當麻曼荼羅の公開日です。
この當麻曼荼羅・文亀本は、綴織ではなく一枚布に描かれた絵画(絹本著色)で、長らく本堂内の厨子に収められていたのですが、埃や風による絹のすり減りが激しかったため、2008年より本格修理のために博物館内に。今回お寺以外で一般に公開されるのは「最初で最後になるのではないか」と言われています。
実は私は「何十年ぶりの公開」とか「最初で最後」とか「初公開」とかいうフレーズが大好き。もうその一言が添えられているだけで、見に行かなきゃと思うのです。
という訳で、展覧会開始10日で2度も観覧に行って参りました。
・・・いつものように、前振りが長くなってしまいましたが
「當麻曼荼羅たいままんだら」というのは、當麻寺たいまでらのご本尊で
阿弥陀如来の極楽浄土の様子を表した、約4m四方の巨大な掛幅です。
極楽往生を願った中将姫の願いに応じて、阿弥陀如来や観音菩薩の化身の力によって一夜で織り上げられたという”奇跡の曼荼羅”として
深く長く信仰され続けられてきました。
それにしても・・・1250年前の根本曼荼羅を見ることができたなんて、ちょっと感動しました。実際の目では、経年変質した画面の図柄を見極めることは難しいのですが、ちょうど曼荼羅の向いあたりで、映像で曼荼羅について解説していますので(放送時間14分)それをじっくり見てから、もう一度鑑賞しました。
博物館でもらったパンフにも図柄について詳しい解説が↓
當麻曼荼羅の図柄の右の部分について
「阿弥陀様と極楽浄土を想う方法」が具体的に示されています。
・西を向いて正座し、沈もうとする大地を見る。
・清らかな水、瑠璃色の大地など極楽の自然を観る。
・天人たちが伎楽を奏でる五百億の楼閣を観る。
・仏さまが座る蓮の台を想う。
・三尊が座るさまを観る。
・三尊を一人ずつ、くわしく想う。
・自分が極楽世界に生まれて、蓮華の上に座る姿を想う。
・極楽の池の上にいる阿弥陀三尊を想いましょう。
・・・というような、そうなりたい自分をイメージする方法が書かれています。こういうイメージトレーニングは昔もあったのですね。
このような予習をしてから、二度目の鑑賞で「文亀本曼荼羅」を見た時は、この曼荼羅の図柄がよりよくわかって、これも感動でした。
それにしても、このような細かい事柄を、奈良時代の根本曼荼羅では、先染めの糸で美しく織り上げられているわけで・・・その高い芸術性と凄い技術力に、思わず鳥肌が立ちそうでした。
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長々と書き綴ってしまいましたが
展覧会では この「當麻曼荼羅」とともに、極楽浄土信仰の拠点となった當麻寺を、たくさんの寺宝や関連資料とともに紹介していて、大変見応えのあるものになっています。
また、展覧会の開催期間中の當麻寺でも 色々な催しが行われていますので、是非HPをチェックしてお出かけ下さい。
個人的な好みでは、中将姫の守り本尊であると伝えられる
「導き観音像」↓が大変美しくていいなぁと思いました。
他には、凛とした佇まいの「中将姫坐像」↓や
キュートな魅力の「二十五菩薩像」なども。
国宝の「當麻曼荼羅縁起」「當麻曼荼羅厨子扉」↓や
「山越阿弥陀図」などにも惹かれましたし
「印紙曼荼羅」↓もよかったですね。
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「當麻寺 -極楽浄土へのあこがれ-」展 HP☆
ブログ内記事:
2009年1/5「當麻寺の三重塔」☆
2010年6/15「當麻寺の東塔・西塔初層開扉」☆
2011年8/31「奈良町にある中将姫ゆかりのお寺」☆
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最後にもう一度、當麻曼荼羅の展示替えは次の通りです。
国宝・綴織當麻曼荼羅(根本曼荼羅/奈良時代)4/23~5/6
重文・當麻曼荼羅(文亀本/室町時代)4/16~4/21、5/21~6/2
重文・当麻曼荼羅(京都・禅林寺所蔵/鎌倉時代)5/8~5/19