(10/19に訪問)
「生駒の聖天さん」として親しまれている宝山寺。
秘仏「大聖歓喜天尊」は現世御利益の神さまで、商売繁盛を願って
私達も開業当時の20年前はよくお参りに訪れていたものでした。
この宝山寺で、このたび修復が完了した明治初期の擬洋風建築の
「獅子閣ししかく」(重文)が特別公開されています。(11/15まで)
獅子閣は、宮大工の吉村松太郎が設計した2階建ての木造の客殿で
螺旋階段や、玄関やベランダの天井の意匠、窓や外扉のアーチ
外柱の装飾、色ガラス・・など各部に、明治の洋風建築の影響を
受けたことが見られます。これが外国人が設計した建築物ではなく
日本人の宮大工の手によるものなので、独特の和洋折衷美を醸し出していて興味深い建築物です。
受付けの方が、建物内部を詳しく説明して下さいました。
内部の写真も許可を得て(撮影マナーをわきまえれば)大丈夫でした。
玄関から入ったところは洋室です。
1階の窓はアーチ型。私はこの外扉がお気に入り。
1階の和室です。アーチ型の窓との和洋折衷な造りですが、
部屋の室礼とのバランスも品良く感じました。
和室の襖絵は能や狂言に題材を得たものが描かれているそうです。
1階洋室からベランダへの出入り口と螺旋階段にご注目下さい。↓
螺旋階段の手摺の下側、外周には支柱がないのです。↑
階段右の柱と手摺で重さを支えている構造になっているのですね。
手摺は宮大工の特殊技法で曲線状に加工されています。
そして、色ガラス。これは赤(夏)青(春)緑(冬)と
色ガラスを通して四季の景色が見られるという趣向になっています。
お庭はこのような造りです。
では螺旋階段で2階に上がってみましょう。
2階には十畳の和室が二間。
手前の襖絵は花鳥画、奥は山水画が描かれています。
天井は格天井、壁には金箔が張られ、床の間や違い棚の材には黒檀や
紫檀が使用され、豪華な造りになっています。
上の写真の黒檀紫檀以外の建築用材のほとんどは
明治8年落慶の聖天堂の余材の檜や松を使用して
意外とエコな建築だそうですが、要所要所は豪華な演出をしたり、
また、下の写真↓のように、使用した余材に節が出ていたりすると
宮大工の技量で上手に隠されたりしています。
獅子閣建立の経緯・・・
明治8年に聖天堂再建の際に、大工として働いていた吉村松太郎の腕を
見込んだ宝山寺第14世が、洋風客殿建設のために松太郎を横浜に留学
させた後、小社天神社の建立を命じ改めてその腕を認めて、獅子閣建設の棟梁に任じたのでした。
そんな獅子閣には四角形と丸形という形が至る所にモチーフとして
使われています。
1階の窓枠はアーチ状の曲線で統一されていますが
2階の窓枠は四角形で揃えられていたりとか。↓
また玄関ポーチの柱は1階は角柱で↓
2階の柱は丸柱でデザインされていますし。↓
ポーチの天井のデザインも美しいですね。
屋根の下の側面にも丸いデザインがいっぱい付いてます。↓
生駒山の中腹に建つ宝山寺。お寺からの眺めは絶景で 獅子閣の2階の
ベランダからの眺めも遠くまで見渡せて気持ちいいのです。
晴れた日には、こちらから東大寺大仏殿の屋根まで見えるそうですよ。
撮影許可をいただいたので、たくさん撮ってしまいました。
私達がよくお参りに訪れていたお聖天さんに、こんな洒落た客殿が
あって、特別公開で見学できたことが嬉しかったので
聞いたことを、つい説明口調になって長々と書いてしまいましたが
お出かけのときの参考にしていただければ幸いです。
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「宝山寺 獅子閣」
特別開帳日程:10月15日~11月15日
特別拝観時間:8時00分~16時00分(受付は15時30分まで)
※混雑時は入場制限予定あり
拝観料:境内は拝観無料 獅子閣は300円
詳細はこちらで→★