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2015年3月6日金曜日

二月堂修二会2015*南の局にて聴聞「咒師作法」

3月4日夜。明日からまた忙しくなるので今日こそはと二月堂まで。
裏参道、大湯屋辺りの小川の水音が聞こえた途端に、別の空間に足を踏み入れたような錯覚に陥りながら
裏参道の注連縄、登廊入口の注連縄と、二つの結界を越える頃には
気持ちも姿勢もまっすぐにあらたまって
上堂松明の杉葉の燃えた匂いが、聴聞に上がるはやる気持ちを
落ち着かせて、祓い浄めてくれるように思えました。

今年もお水取りに来られたなぁと、二月堂に来られたことに感謝しながら、ゆっくりゆっくりと登廊を上がっていきます。
菱灯籠の掛かった二月堂。舞台から見渡す夜の奈良の町。
お水取りが始まって、初めて上がった二月堂からの風景に少々センチメンタルになりながら、今日は南の局で聴聞いたします。
ちょうど「神名帳」の後の仮手水から練行衆が戻ってこられて
「大導師作法」が始まるところからでした。
昨年の修二会の「大導師作法」で、丁寧に詠み上げられた祈りの言葉を今年も拝聴するのを楽しみに、静かに局の中へ。
途中どんどん聴聞者が帰っていかれて、「大導師作法」に続く「咒師作法」の頃には、須弥壇の南面が正面に見えるところに位置することができました。ここからは「咒師作法」の様子が はっきりとよく見え、金襴の咒師帽を被ったしゅしさんの厳しく引き締まった表情、声を出さずに咒を唱えてらっしゃる様子、須弥壇の周りを巡って鈴を振り鳴らして四天王を勧請する場面。いつもは西の局で、戸帳越しに写る影から想像していた作法がリアルに迫ってくる不思議に、しばらく放心して見入っておりました。
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その他に、南の局で拝見したこと・・・
須弥壇の南東あたりに置いてあるという「時香盤」から煙が上がっているのがよく見えたこと。(「時香盤」とは 灰の上に線状に盛られたお香の燃え具合で時間の経過を計るもの)
須弥壇を荘厳する椿の枝が意外に大きく天高く感じたこと。
この椿の紅い色の華やぎや積み上げられたお壇供の美しさが、厳しい行法の束の間の慰めになっているのではと、ふと思ったり。
拝聴した「初夜」「後夜」の時導師さんの様子、処世界さんや権処世界さんの動きも垣間みえ、祈りを捧げにお参りしたことを忘れそうなくらい食い入るように内陣の様子を拝見していました。
視覚がクリアになると聴覚も冴えるのか、「後夜」での「南北点呼」もはっきりと耳に聞こえたこと。
その他に「散華行道」での様子も、ゆっくりと時々立ち止まっての「初夜」の行道から、足を踏み鳴らしての「後夜」の行道、「晨朝」では走ってと、それぞれの様子の違いを拝見でき、最後の「晨朝」では体育会系の叫ぶようなナムカンの「宝号」も耳に残りました。
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修二会の一コマが映像として目に焼き付き、午前1時に大鐘の撞かれているのも耳に入ってきて、五感が研ぎすまされてきていることに、もっと聴聞を続けていたいと少々ハイな気分になるのでしたが・・・。
練行衆も下堂されたあと、最後にもう一度 須弥壇へ向って十一面観音さまへ心を合せて局を後にしました。