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2010年6月10日木曜日

キトラ古墳壁画[四神]特別公開


会期終了間際、何とか時間を作って行ってきました。
2006年から始まった壁画の公開で「朱雀」は今年初公開。
それも今年は「四神」揃っての公開ですから
以前に見れなかった「玄武」も合わせて楽しみにしていました。

平日でも混んでいたら困るなと心配していたのですが
意外にスムーズに館内へ。四神は一部屋に展示されていますが
一つ一つがかなり離れて展示されているので
余裕をもってじっくりと細部まで鑑賞できます。

最初は「青龍」です。昨年も見ましたが
そのほとんどが泥に覆われていて
かなりの想像力を駆使しないと全体像を感じることはできません。
ベロッと巻かれた長い舌の真っ赤な色や
わずかに確認できる鼻先の部分の青色など
泥でほとんど見えない中の、僅かに見える部分の色彩の鮮やかさ。
1300年もの間、消えずに残っている色の不思議に感心しました。

そして、見たかった「玄武」は亀と蛇が絡み合ったユニークな姿で
色も線もはっきり、亀の甲羅や蛇の鱗模様もしっかりとわかります。
ゾクッとするような妖しさを漂わせて神獣の名にふさわしい姿でした。
「白虎」も保存状態がよく躍動感あふれる姿を見せてくれます。

最後が、今回初公開の「朱雀」です。
「青龍」ほどではないですが、両翼のほとんどが泥に覆われていて
全体像は「玄武」や「白虎」ほどはっきりとは見えません。
ただ頭から長い尾の先まで全体に描かれた朱色がとても鮮やかで
目を凝らして両翼が羽ばたいている姿を想像してみました。

中国の伝説上(想像上)の鳥だと思っていた朱雀ですが
四神展示室の次室に、朱雀についての企画展示が行われていて
「朱雀」には 鳳凰に似た孔雀系と、
キトラ古墳の朱雀のような山鳥系があるなどの説明がありました。
薬師寺の薬師寺本尊薬師如来の台座にある朱雀と
キトラ古墳の朱雀とはとてもよく似ているのだそうですよ。
(玄武も似ているそうで)

キトラ古墳については、こうして取り外された壁画の部分にのみ
どうしても目がいってしまうのですが
ここで展示されているのは、あくまでも部分的な「絵」である
ということを、いつも頭に入れておかなければと思うのです。

古墳の中の石室の中の壁に描かれた絵。
資料館の中の展示室のガラスケースの中に飾られた絵が
本当に存在する場はどこなのか。
絵があった石室の空間を想像し、石室がある古墳の場所や時代を
想像してみるということも大事なことですね。
・・・とか言いながらも、こうして本物を見るのも大事大事。
そんなことを思いながら帰途につきました。

・・・というのも
せっかく明日香まで行っておきながら、美しい棚田を見ることもなく
他にどこも寄らずに帰宅の自分に「とりあえずは本物を見た」と
納得させての、仕事の合間に時間を作って見に行った言い訳なのでした。

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キトラ古墳壁画[四神]特別公開

会場:奈良文化財研究所 飛鳥資料館
会期:2010年6/13(日)まで
開館時間:6/12(土)は9:00~21:00(入館は20:30まで)
6/13(日)は9:00~18:00(入館は17:30まで)
イベント:土曜日18:00~21:00 「飛鳥 光の回廊」の再現
その他のイベントの詳細はこちらをご覧下さい。