『木津川アート2010』鑑賞記の最後は上狛エリアの「松原邸」です。
松原邸は上狛環濠集落内の庄屋さんだったお宅です。
ご当主一家は、今はご近所にお住まいで、こちらは無住のお家ですが
風を入れたり手を加えたりされているので建物は荒れていなくて
どっしりとした昔のままの風格を漂わせています。
明治42年建築の主屋に、今回は5人の作家が作品を発表されています。
5人の作家の一人、加藤史江さんの墨アートを撮らせていただきました。
加藤さんは奈良倶楽部がギャラリーをしていた頃からのお付き合い。
松原邸では広いスペースを使って、今までにない大きな作品を制作されていました。
渡り廊下のある衣装蔵や竃。
普段拝見できないところも見せていただけるので
作品よりも建築物につい目が行ってしまいます。
(正直に言うと、これっていいのかどうか・・・)
裏庭に出たら母校の小学校が見えてびっくり。こんなに近かったんだ。
上狛エリアはこの松原邸一軒だけが会場ですが
町内の南の方には風情のある茶問屋が街道筋に建ち並んでいます。
この日は実家で自転車を借りたので、ぶらりとまわってみました。
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今まで実家に立ち寄るだけで、こんなにぶらりと町中を探訪することもなかったので、このような立派な碑がたって、茶問屋街を訪ね歩くコースもあったりと、観光化されつつある故郷に対して、ちょっと戸惑ってしまいました。
ちょっと前までは、自分の生まれ故郷にこれほどよそから人が来てくれるとは想像もしていなかったし、それほどの観光資源があるとも思ってなかった・・・故郷に対する自分が持っていたイメージが大きく変わって、そんな自分の感情が、奈良では割と客観的に物事を捉えられるのに不思議なことと可笑しく思います。
木津と上狛を回った2日間は純粋にアートイベントを楽しみながらも
ある意味では、私にとって故郷発見の時間でした。
きっと新しく引っ越してこられた方達が頑張っているんだと思いますが
自分の街をこのように発見してもらって本当はすごく嬉しかったのです。
素敵なイベントの企画、ありがとうございました。
来年も楽しみにしています。
(『木津川アート2010』は来年開催の『第26回 国民文化祭』が本番で、今年のはプレイベントだそうです。)