前日のブログにも書きましたがお昼前後で80分待ちの行列ができていたこの催し。期間中は奈良倶楽部も満室になるほど、遠方からこのために奈良にお越しになる方も多く、大変関心の高い催しだと思っていたのですが、初日だから少々並ぶくらいかなと、気楽な気持ちで出かけました・・・。
見通しが甘かったですね。
はい、そのようでした・・・。
この日にチェックインされたお客さまにお尋ねしましたら
9時頃から並んだとか、15時以降は1時間待ちになっていたとか
観光するのに並ぶ時間が勿体無いから諦めました・・等々のお話が。
限られたスペースでの公開なので、入場制限はやむを得ません。
長時間の行列は大変ですが、どうぞ心の準備をしてお出かけ下さい。
では、楽しみにしていた本坊での襖絵はどのような印象だったのでしょうか。以下、個人的な感想ですが、よかったらどうぞお付き合い下さい。
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最初の本坊の大広間には、襖16面長さ20mにもなる大作「蓮池」が。
この大広間には、中に入って、襖絵をかなりの至近距離で行列しながら見ていきます。もし行列がなく、ゆっくりと大広間に座って鑑賞したと想像してみれば・・・。
眼前には蓮池のある前庭があり、蓮の花開く季節には、庭の蓮池と襖に描かれた蓮池の蓮の花が渾然一体となって素晴らしい世界を作り出すのでは・・・などと思ってみました。
かなり近くで鑑賞できた絵の中の蓮の花はぐんと力強い線で描かれていて、ゆっくり行列に合わせて一本ずつ花を鑑賞していくので、高島屋で見た時よりも印象が鮮明で濃いなと感じます。
次の部屋には「吉野の桜」「しだれ桜」「東大寺本坊の桜」が
同室の三面の襖絵になっています。こちらは部屋の中には入られず
外からの鑑賞です。折しも庭には満開の桜の木々。
「東大寺本坊の桜」のモデルになった枝垂れ桜はまだ蕾でしたが
ソメイヨシノの古木が見事に美しく、それにも負けないくらい美しく咲き誇っている襖絵の中の桜の花々。見ている人達から洩れてくるのは「綺麗〜」という言葉のみ。狭いスペースで覗き込むような鑑賞でしたが、うっとりするくらいの素晴らしい世界でした。
そして次は、聖武天皇・光明皇后御影が正面に、両壁面の襖には「鳳凰」と「飛天」が描かれた部屋に進みます。こちらも部屋の外からの鑑賞です。
大阪高島屋で見た時は、これらの作品にあまり魅力を感じなかったのですが、今回この本坊で、お祀りされている「御影」と、「鳳凰」と「飛天」で荘厳された部屋に、きちんと完結された静謐さを感じました。蓮の花や桜の花が生命力に溢れ、画家の渾身の力がエネルギーになって輝いているのと同列に見たから、大阪高島屋では、こちらはちょっと固い印象を受けたのだと思います。
ここまで、本坊の中は、ずっと行列で進んで鑑賞していきますが
その後、天皇殿と持仏堂の特別拝観はかなり人が少なくなって
ゆっくりとお参りすることができよかったです。
天皇殿では復元制作された「聖武天皇・光明皇后御礼服」も展示されていますが、これが中々興味深かったです。(光明皇后の御礼服は韓服のチョゴリのような形で、今の着物のように裾まで一体となっているのではなく上着と下とに分かれているのですね)
また理源大師坐像が祀られている持仏堂は堂内自体が大変美しくて
2009年に特別参拝させていただいた時以来、またここを拝観できることが嬉しかったです。( 持仏堂に客仏として安置されている阿弥陀如来坐像も好きな仏像なのです。)
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聖武天皇・光明皇后御影並びに東大寺本坊襖絵 一般公開
天皇殿(御礼服展示)・持仏堂 特別拝観
天皇殿(御礼服展示)・持仏堂 特別拝観
2011年4月5日〜4月10日
◇5日~7日は10時~17時、8日~10日は10時~20時
※来場は閉門30分前まで。
※4/8から4/10までの夜間は経庫や桜がライトアップされます。
◇受付: 本坊勅使門(南大門北側すぐ)
◇拝観料: 1,000円(中学生以上)小学生以下無料
※ 入場収益はすべて東日本大震災被災者の方々の義捐金になります。