ページ

2012年3月13日火曜日

二月堂修二会2012*「お水取り」

12日(13日夜中の1:30〜)の「お水取り」を見るのも実は初めてです。
お客さまには「是非お出かけ下さい」とご案内しながら
自分は翌朝のことを考えて無理を避けていた23年間。
今年はできるだけ頑張って出かけようと決めたのですが
やはり翌日の朝食のことを考えて、「お水取り」が行なわれる時間だけをピンポイントで目がけて出かけることにしました。

13日1:15 二月堂裏参道到着。
ここに来ると、いつも思うことなのですが
大湯屋辺りで聞こえてくる小川のせせらぎ、水の流れる音が
今まで私の周りに付いていた雑念や雑事などを振り払って
一瞬にして二月堂に漂う異世界へといざなってくれるのです。

裏参道に漂う気でお清めしてもらったような
ここを通り抜けることで心身を浄化してもらったような
そんな気持ちになって二月堂に向かいます。

ところで、着いてびっくり。
こんな夜更けなのに何ておおぜいの人たちなんでしょう!

二月堂の舞台の上から見るか閼伽井屋周辺で見るかを迷ったのですが
閼伽井屋周辺の人垣から少し下がった所で見学することにしました。

二月堂の南階段の様子も、肉眼では見えにくいのですが
コンパクトカメラのズームで見るとよくわかります。


階段の途中途中には篝火が焚かれています。

階段最上階では、「お水取り」に向かう水取衆(咒師を頭に5人の平衆)が二月堂南出仕口から出堂されるのを待っている童子や庄駆士たちの姿が見えました。

深夜に煌煌と焚かれる篝火の光や揺らめきを見ていると
いやがおうでも気持ちが高ぶってまいります。

1:55 いよいよ出堂されるようです。
写真左手に見えるのが咒師松明。そして大きな御幣も見えます。


下堂の前に、咒師による洒水が行なわれます。


とても大きな珍しい形の咒師松明を担いだ咒師童子を先頭に
雅楽に導かれ篝火の炎が揺らめく中、閼伽井屋に向かわれる水取衆。
奏楽の中を静々と階段を下って行かれる様子は
何とも言えないくらい幻想的でファンタスティック!


途中、興成社に立ち寄ってお祈りをされるのですが
この時、そば近くまで行くことができ(写真はありませんが)
練行衆たちの祈りの言葉を生の声で拝聴できたことは
私にとって心に沁みるような出来事でした。

その後、場所をかえて、階段横の竹矢来のそばで見学しました。
ちょうど閼伽井屋の若狭井から汲み上げた御香水おこうずいを閼伽桶に入れて、二月堂まで運んで行かれる庄駆士の姿が見えました。
閼伽桶は一人で二桶で一荷。二荷ずつ二月堂と閼伽井屋を三往復して、御香水が内陣に納められます。

この閼伽桶が二月堂に上がるときも雅楽が奏でられ
御幣を先頭に、雅やかで厳粛な雰囲気の中で運ばれて行きます。


水取衆が閼伽井屋で御香水を汲み上げる儀式はおよそ1時間程。
その間、咒師松明の火が消えないように絶えず気を配ってらっしゃいます。


閼伽桶を3往復運ばれた後に、御香水の後ろについて
奏楽の中、水取衆が二月堂に帰って行かれます。

時間にして1時間ほどの「お水取り」の儀式。
初めて拝見させていただいて、何とも言えない感動を覚えました。

23年間も近くに居ながら、どうして今まで見ようとしなかったのか
まずそんな小さな後悔も感じました。
修二会を総称して「お水取り」と呼ばれる所以が何となくわかったような気がします。

今日はまだ一度もお詣りしていないので
その後、二月堂に上がって堂外から拝まさせていただきます。

「籠松明」が上がった今晩だけは
二月堂の舞台の様子がこのようになっていました。


初めての拝見で、大きな根本的なものを見せていただき
益々修二会の魅力に取り憑かれそうですが
次回の機会では搬入された御香水を二月堂内で受け取られる様子を拝見できればと思いました。

とても寒く凍てついた夜でしたが
その寒さをも忘れるような感動の時間、有り難いことでした。