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2013年2月8日金曜日

県立美術館「田中一光 デザインの世界」展へ*


奈良市出身の世界的グラフィックデザイナー田中一光氏の没後10周年となる回顧展「田中一光 デザインの世界」展へ行ってきました。
田中一光さんのデザインは学生時代から好きだったので、久しぶりに開催されるこの特別展を楽しみにしていました。

まずは40年もの長きにわたって手がけ続けた「産経観世能」のポスターがずらりと。能面のような具象的なモチーフをグラフィックデザインの要素として突き詰め昇華したポスターは、未だ色褪せることのないもの。ポスター1枚で能の魅力を瞬時に伝えることのできるデザインの力って素晴らしいと思いました。

仕事としてデザインされた代表作のポスター群と
それとは対照的な、ライフワークとしてのグラフィックアート作品。

グラフィックアートは、デザインで汚染された頭の中をリセットしてくれる造形活動なのだそうで、綱やロープのシリーズ、正三角形シリーズ、文字シリーズ、切り紙による植物シリーズといった造形活動について、形を突き詰め抽象形態化していく手順など詳しく解説されていて、大変興味深い展覧会でした。

また1階の展示室には、若い頃の習作群、デッサンや油絵も出展されていたのですが、これらがご本人の中で終生大切に保存されていたものだということを知り、「デッサンこそ基本だ」という初心を大切にされていたのだと、デザイン界の巨匠が、ちょっと身近に感じる一コマも。

ところで、この1階展示室には、今まで知らなかった秘密の(笑)和室があったのです! その和室に斬新な作品が意外に合うのですね。
床の間に掛けられていた「花」という作品が素敵でした。
こちらの和室では2/10午後1時より20名様のお茶席もあるそうです。

おびただしい数の作品の中で一番好きなのはこのデザイン。
 JAPAN
このポスターが出来上がるまでの創作過程の展示もあって
充実した内容の展覧会でした。

最後にちょっとおまけの画像>>
一階展示室のキャプションに書いてあった、若き田中一光と吉原治良の出会い。物語として感動して読みました。
そして帰宅して「吉原治良展」の図録を久しぶりに見直したのでした。

 「田中一光 デザインの世界」展

奈良県立美術館で3/20まで開催中。
金土曜日は19時まで開館、関連イベントや割引きチケットなどの情報について詳細はHPをご覧下さい。